残業が少ない業界は、数字で見ると医療・福祉、教育・学習支援、金融・保険などです。会社が自ら公表している法定時間外・休日労働の月平均を業種ごとに集計すると、中央値が最も短いのは医療・福祉の3.8時間、最も長いのは運輸・郵便の21.9時間でした(Mixum の会社名鑑、公表している会社が50社以上ある業種)。
国の毎月勤労統計調査でも、医療,福祉の所定外労働時間は月6.7時間と産業別で最も短く、運輸業,郵便業は24.1時間と最も長くなっています。業界の差ははっきりありますが、同じ業界の中の会社の差はそれ以上に大きいので、業界は目安にとどめて応募先の数字を確かめることが大切です。
会社の公表値で比べる業種ごとの残業
会社ごとの数字は、厚生労働省の「しょくばらぼ」で、会社が自ら公表しています。Mixum の会社名鑑で、業種ごとに法定時間外・休日労働の月平均を集計しました(2026年9月18日に取り込んだ公表値を、2026年10月2日に集計)。
| 業種 | 公表している社数 | 中央値 | 10時間以下の会社 | 30時間以上の会社 |
|---|---|---|---|---|
| 医療・福祉 | 1,777社 | 3.8時間 | 89.4% | 0.5% |
| 複合サービス | 128社 | 8.1時間 | 62.5% | 3.1% |
| 教育・学習支援 | 198社 | 8.2時間 | 62.6% | 1.5% |
| 金融・保険 | 456社 | 9.5時間 | 53.9% | 0.9% |
| 生活関連サービス・娯楽 | 221社 | 10.0時間 | 51.1% | 3.6% |
| その他のサービス | 1,847社 | 10.9時間 | 46.9% | 4.0% |
| 卸売・小売 | 2,030社 | 11.2時間 | 45.2% | 3.7% |
| 不動産・物品賃貸 | 288社 | 11.3時間 | 44.1% | 3.8% |
| 学術研究・専門・技術サービス | 634社 | 11.4時間 | 45.0% | 3.8% |
| 情報通信 | 1,299社 | 12.0時間 | 41.0% | 1.8% |
| 電気・ガス・熱供給・水道 | 93社 | 12.1時間 | 40.9% | 0% |
| 建設 | 1,400社 | 12.9時間 | 41.8% | 5.6% |
| 製造 | 3,341社 | 13.6時間 | 32.6% | 2.8% |
| 宿泊・飲食サービス | 368社 | 18.0時間 | 26.4% | 16.8% |
| 運輸・郵便 | 440社 | 21.9時間 | 16.4% | 28.9% |
| 全業種 | 14,702社 | 11.0時間 | ― | ― |
上位の医療・福祉と、下位の宿泊・飲食サービス、運輸・郵便を除くと、多くの業種の中央値は月8〜14時間の範囲に収まっています。業種の順番の差は数時間ほどで、業種の中の会社の差(たとえば製造業の4分の1の会社は8.5時間以下、4分の3の会社は19.0時間以下)のほうが大きくなっています。
これは数字を公表している会社だけの値で、業種全体の平均ではありません。
国の統計で比べる業種ごとの残業
毎月勤労統計調査(常用労働者5人以上の事業所)の2025年の年平均で、フルタイムの人(一般労働者)の所定外労働時間です。
| 業種 | 所定外労働時間(月) |
|---|---|
| 医療,福祉 | 6.7時間 |
| 複合サービス事業 | 8.3時間 |
| 生活関連サービス等 | 10.5時間 |
| 卸売業,小売業 | 11.3時間 |
| 鉱業,採石業等 | 12.4時間 |
| その他のサービス業 | 13.0時間 |
| 建設業 | 13.5時間 |
| 金融業,保険業 | 13.6時間 |
| 学術研究等 | 14.2時間 |
| 不動産・物品賃貸業 | 14.5時間 |
| 製造業 | 14.7時間 |
| 教育,学習支援業 | 14.8時間 |
| 飲食サービス業等 | 15.6時間 |
| 情報通信業 | 16.5時間 |
| 電気・ガス業 | 16.9時間 |
| 運輸業,郵便業 | 24.1時間 |
| 調査産業計 | 13.2時間 |
医療・福祉が最も短く、運輸・郵便が最も長いのは会社の公表値と同じです。一方、教育・学習支援、金融・保険、電気・ガスは、会社の公表値では短い側なのに、国の統計では長い側に入っています。
2つの数字で順番が違う理由
- 数える時間が違う:国の統計の所定外労働時間は、会社が決めた所定の時間を超えた時間です。会社が公表する法定時間外労働は、1日8時間・週40時間の法定の時間を超えた時間です。所定の時間が短い会社では、所定外の時間のほうが長く出ます
- 数える会社が違う:国の統計は5人以上の事業所から選んだ標本です。会社の公表値は、数字を公表している会社だけの値で、規模の大きい会社が多く含まれます
- 平均と中央値の違い:国の統計は平均で、残業の長い職場があると押し上げられます
2つの数字の違いは、月平均残業時間の読み方でくわしく扱っています。
業界の数字の使い方
業界の数字は、応募先の数字が多いか少ないかを判断するための物差しとして使います。
- 応募先が月15時間と公表していれば、医療・福祉の中では長い側、運輸・郵便の中では短い側です
- 業界を変える転職では、職種が同じでも残業の目安が変わります
- 業種の中央値が長い業界でも、短い会社は一定の割合であります
業種ごとの記事では、それぞれの業界の数字をくわしく見ています。IT業界の残業時間、飲食業界の残業と有休、建設業の残業の上限、物流の2024年問題と転職を参考にしてください。
応募先の残業を確かめる手順
- 業界の目安を知る:上の表で、応募先の業種の中央値を確かめる
- 応募先の数字を探す:しょくばらぼで法定時間外の月平均を見る。会社名鑑の残業が少ない会社の一覧では、業種ごとに絞り込める
- 数字の定義を確かめる:所定外か法定時間外か、正社員だけか、いつの年度かを注記で見る
- 求人票で確かめる:固定残業代の有無と時間数、時間外労働の欄を見る
- 面接で聞く:配属される部署の残業の時間と、繁忙期の働き方を尋ねる
探し方の全体は残業が少ない会社の探し方にまとめています。
まとめ
- 会社の公表値の中央値で残業が最も短い業種は医療・福祉(3.8時間)、最も長いのは運輸・郵便(21.9時間)
- 国の統計の所定外労働時間でも、医療,福祉(6.7時間)が最も短く、運輸業,郵便業(24.1時間)が最も長い
- 中間の業種どうしの差は数時間で、業種の中の会社の差のほうが大きい
- 国の統計と会社の公表値は数える時間と会社が違うので、順番が入れ替わる業種がある
- 業界は物差しとして使い、応募先の数字・定義・求人票を確かめる