宿泊業・飲食サービス業は、数字で見ると労働時間が長く、休みが少ない業種です。厚生労働省の毎月勤労統計調査の2025年の確報で、この業種のフルタイムの人(一般労働者)の総実労働時間は月172.6時間と、調査産業計の160.5時間を12時間上回りました。令和7年就労条件総合調査の年次有給休暇の取得率は50.7%で、全業種で最も低くなっています。

会社が自ら公表している数字でも、法定時間外・休日労働の月平均の中央値は18.0時間で、全業種の11.0時間より長めでした。ただし、10時間以下の会社も4社に1社あり、同じ業種でも会社による差は大きくあります。業種の傾向を知ったうえで、応募先の数字を一社ずつ確かめることが大切です。

国の統計で見る宿泊業・飲食サービス業

労働時間

毎月勤労統計調査(常用労働者5人以上の事業所)の2025年の年平均です。

項目宿泊業,飲食サービス業調査産業計
総実労働時間(一般労働者)172.6時間160.5時間
所定内労働時間(一般労働者)157.0時間147.3時間
所定外労働時間(一般労働者)15.6時間13.2時間
出勤日数(一般労働者)20.0日19.2日
総実労働時間(パートを含む全体)88.0時間135.1時間

フルタイムの人は、所定内の時間が月10時間近く長く、出勤日も月0.8日多くなっています。パートタイムで働く人が多いため、全体の平均は88.0時間と短く出ます。業種の「平均の労働時間」を見るときは、フルタイムの人の数字かどうかを確かめる必要があります。

有給休暇と人の出入り

項目宿泊業,飲食サービス業全産業
有給休暇の付与日数15.9日18.1日
有給休暇の取得日数8.0日12.1日
有給休暇の取得率50.7%66.9%
離職率(令和7年)23.7%13.7%
入職率(令和7年)27.8%14.7%

有給休暇の数字は令和7年就労条件総合調査(常用労働者30人以上の企業)、離職率・入職率は令和7年雇用動向調査です。付与日数が少ないのは、勤続年数が短い人が多いことと関係しています。離職率・入職率はどちらも産業別で最も高く、人の出入りが多い業種です。

会社が公表している数字の中央値

会社ごとの数字は、厚生労働省の「しょくばらぼ」と「女性の活躍推進企業データベース」で、会社が自ら公表しています。Mixum の会社名鑑で、宿泊業・飲食サービス業の会社の公表値を集計しました(2026年9月18日に取り込んだ公表値を、2026年10月2日に集計)。

項目公表している社数4分の1の会社中央値4分の3の会社
法定時間外・休日労働の月平均368社10.0時間18.0時間24.3時間
有給休暇の取得率312社39.9%55.0%68.5%
男性の育児休業取得率490社0%37.5%83.3%

法定時間外の月平均が30時間以上の会社は16.8%、10時間以下の会社は26.4%でした。有給休暇の取得率が50%未満の会社は38.5%で、公表している会社が50社以上ある業種の中で最も低い中央値です。

これは数字を公表している会社だけの値で、業種全体の平均ではありません。公表しているのは従業員の多いチェーンやホテルの運営会社が中心で、個人経営の店の働き方は含まれていない点に注意が必要です。

数字から分かる働き方の特徴

所定の時間が長い

フルタイムの人の所定内労働時間が長いのは、会社が決めている所定の労働時間そのものが長いことの表れです。令和7年の就労条件総合調査では、宿泊業,飲食サービス業の1日の所定労働時間は1企業平均で7時間53分、週の所定労働時間は40時間2分と、どちらも産業別で最も長くなっています。

管理監督者の扱いに注意

店長などの役職に就くと残業代が出なくなる、と説明されることがあります。労働基準法の管理監督者に当たるかどうかは、役職名ではなく実態で判断されます。経営の判断に関わる権限、出退勤の自由、地位にふさわしい待遇がない場合は、管理監督者に当たらないことがあります。

応募先の働き方を確かめる手順

  1. 業種の目安を知る:残業の中央値は月18.0時間、有給休暇の取得率は55.0%
  2. 応募先の数字を探す:しょくばらぼで残業時間と取得率を見る。会社名鑑の宿泊・飲食の残業が少ない会社の一覧からも探せる
  3. 求人票の時間を確かめる:所定労働時間、休日の数、固定残業代の時間数と金額を見る
  4. 店舗の働き方を聞く:営業時間と勤務の組み方、繁忙期の残業、店長の勤務時間の管理の仕方を面接で尋ねる
  5. 定着の様子を見る:平均勤続年数や新卒の離職の状況が公表されていれば、合わせて確かめる

数字の探し方の全体は残業が少ない会社の探し方に、有給休暇の数字の読み方は有給取得率の平均と読み方にまとめています。

読み違えやすい点

  • パートを含む平均で判断する:全体の労働時間は短く出ます。フルタイムの人の数字を見ます
  • 業種の中央値を応募先に当てはめる:残業10時間以下の会社も4社に1社あります
  • チェーンの数字を個人店に当てはめる:公表しているのは規模の大きい会社が中心です
  • 店舗ごとの差を見落とす:会社全体の平均は、配属される店舗の働き方とは違うことがあります

まとめ

  • 2025年の毎月勤労統計調査で、宿泊業,飲食サービス業のフルタイムの人の総実労働時間は月172.6時間(調査産業計160.5時間)
  • 令和7年就労条件総合調査の有給休暇の取得率は50.7%で、全業種で最も低い
  • 会社名鑑の公表値では、残業の中央値18.0時間、取得率の中央値55.0%。ただし会社による差が大きい
  • 離職率23.7%・入職率27.8%と、人の出入りが多い業種
  • 応募先の残業・休暇・固定残業代・店舗の勤務の組み方を数字と面接で確かめる

参考資料