有給休暇を取りやすい業界は、数字で見ると電気・ガス・熱供給・水道、製造、金融・保険などです。会社が自ら公表している年次有給休暇の取得率を業種ごとに集計すると、中央値が最も高いのは電気・ガス・熱供給・水道の79.0%、最も低いのは宿泊・飲食サービスの55.0%でした(Mixum の会社名鑑、公表している会社が50社以上ある業種)。
国の令和7年就労条件総合調査でも、取得率が最も高いのは電気・ガス・熱供給・水道業の75.2%、最も低いのは宿泊業,飲食サービス業の50.7%で、両端の業種は同じです。業界の差ははっきりありますが、同じ業界の中の会社の差も大きいため、業界は目安にとどめ、応募先の数字を確かめることが大切です。
会社の公表値で比べる業種ごとの取得率
会社ごとの数字は、厚生労働省の「しょくばらぼ」で、会社が自ら公表しています。Mixum の会社名鑑で、業種ごとに有給休暇の取得率を集計しました(2026年9月18日に取り込んだ公表値を、2026年10月2日に集計)。
| 業種 | 公表している社数 | 中央値 | 80%以上の会社 | 50%未満の会社 |
|---|---|---|---|---|
| 電気・ガス・熱供給・水道 | 97社 | 79.0% | 44.3% | 13.4% |
| 製造 | 3,572社 | 74.9% | 33.6% | 8.0% |
| 金融・保険 | 456社 | 74.7% | 29.4% | 4.2% |
| 不動産・物品賃貸 | 284社 | 74.2% | 34.5% | 7.4% |
| 情報通信 | 1,223社 | 74.0% | 28.7% | 6.9% |
| その他のサービス | 1,763社 | 73.7% | 35.4% | 10.9% |
| 学術研究・専門・技術サービス | 486社 | 72.5% | 29.4% | 12.6% |
| 医療・福祉 | 1,630社 | 72.4% | 32.4% | 11.2% |
| 運輸・郵便 | 608社 | 68.3% | 27.8% | 21.1% |
| 生活関連サービス・娯楽 | 206社 | 66.2% | 29.6% | 23.3% |
| 建設 | 1,221社 | 66.0% | 22.9% | 22.2% |
| 複合サービス | 127社 | 65.0% | 18.9% | 14.2% |
| 卸売・小売 | 1,881社 | 64.9% | 16.2% | 19.8% |
| 教育・学習支援 | 184社 | 62.7% | 20.7% | 20.1% |
| 宿泊・飲食サービス | 312社 | 55.0% | 15.1% | 38.5% |
| 全業種 | 14,249社 | 71.7% | ― | ― |
中央値が70%を超える業種が8つあり、上位の業種どうしの差は数ポイントです。下位では、宿泊・飲食サービスで取得率が50%未満の会社が38.5%と、ほかの業種より際立って多くなっています。
これは数字を公表している会社だけの値で、業種全体の平均ではありません。
国の統計で比べる業種ごとの取得率
令和7年就労条件総合調査(常用労働者30人以上の民間企業)の、労働者1人あたりの数字です。
| 業種 | 付与日数 | 取得日数 | 取得率 |
|---|---|---|---|
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 19.5日 | 14.7日 | 75.2% |
| 鉱業,採石業,砂利採取業 | 18.2日 | 13.5日 | 74.3% |
| 製造業 | 18.8日 | 13.7日 | 72.8% |
| 金融業,保険業 | 19.6日 | 14.3日 | 72.8% |
| サービス業(他に分類されないもの) | 16.4日 | 11.4日 | 69.7% |
| 医療,福祉 | 17.7日 | 12.1日 | 68.4% |
| 情報通信業 | 18.9日 | 12.7日 | 66.9% |
| 学術研究,専門・技術サービス業 | 18.4日 | 12.3日 | 66.8% |
| 不動産業,物品賃貸業 | 17.8日 | 11.6日 | 65.5% |
| 運輸業,郵便業 | 17.4日 | 11.4日 | 65.3% |
| 建設業 | 18.3日 | 11.1日 | 60.7% |
| 教育,学習支援業 | 18.3日 | 11.1日 | 60.5% |
| 卸売業,小売業 | 17.5日 | 10.5日 | 59.9% |
| 生活関連サービス業,娯楽業 | 17.7日 | 10.6日 | 59.6% |
| 複合サービス事業 | 19.7日 | 11.2日 | 57.1% |
| 宿泊業,飲食サービス業 | 15.9日 | 8.0日 | 50.7% |
| 全産業 | 18.1日 | 12.1日 | 66.9% |
取得日数で見ても、電気・ガス・熱供給・水道業の14.7日から宿泊業,飲食サービス業の8.0日まで、6日以上の差があります。全体の平均と会社の規模による差は、有給取得率の平均と読み方で扱っています。
業界の数字の使い方
取得率と取得日数を並べる
取得率は「与えられた日数のうち何日取ったか」です。付与日数が少ない業種や会社では、同じ日数を取っても率が高く出ます。たとえば複合サービス事業は付与日数が19.7日と多いため、取得日数が11.2日でも取得率は57.1%にとどまります。休みの多さを比べるときは、取得日数も並べて見ます。
年間休日と合わせる
有給休暇は、会社が決めた休日とは別の休みです。年間休日の数が違えば、同じ取得率でも1年に休める日数は変わります。求人票の年間休日の欄とあわせて確かめます。
応募先の位置を確かめる
業界の中央値は、応募先の取得率が高いか低いかを判断する物差しです。応募先が70%と公表していれば、宿泊・飲食サービスの中では高い側、電気・ガスの中では低い側になります。
業種ごとの記事では、それぞれの業界の数字をくわしく見ています。製造業の有給取得率、小売業の有給取得率、医療・福祉の有休取得率と男性の育休を参考にしてください。
応募先の休みやすさを確かめる手順
- 業界の目安を知る:上の表で、応募先の業種の中央値を確かめる
- 応募先の数字を探す:しょくばらぼで取得率と取得日数を見る。会社名鑑の有休取得率が高い会社の一覧では、業種ごとに絞り込める
- 数字の定義を確かめる:正社員だけの数字か、いつの年度かを注記で見る
- 休日の制度を見る:年間休日の数、計画的付与の有無を求人票と就業規則で確かめる
- 面接で聞く:配属される部署の取得日数と、休暇の申請の流れを尋ねる
まとめ
- 会社の公表値の中央値で取得率が最も高い業種は電気・ガス・熱供給・水道(79.0%)、最も低いのは宿泊・飲食サービス(55.0%)
- 国の就労条件総合調査でも、最も高いのは電気・ガス・熱供給・水道業(75.2%)、最も低いのは宿泊業,飲食サービス業(50.7%)
- 上位の業種どうしの差は数ポイントで、業界の中の会社の差のほうが大きい
- 取得率は付与日数で変わるので、取得日数や年間休日と並べて見る
- 業界は物差しとして使い、応募先の数字を確かめる