上場していない会社の年収は、調べるのが難しい情報の一つです。平均年間給与を載せる有価証券報告書は、上場している会社などが出すもので、上場していない会社の多くは出していません。しょくばらぼにも、給与の額そのものは載っていません。
それでも、求人票の賃金と賞与の実績と、国の賃金の統計の規模別・業種別の数字を組み合わせると、年収の見当をつけられます。この記事では、その手順と、規模による差がどこで開くのかを整理します。
規模による差は、賞与で大きく開く
国税庁の民間給与実態統計調査(令和7年分)で、1年を通じて勤務した人の平均給与を株式会社の資本金の規模別に見ると、次のとおりでした。
| 資本金の規模(株式会社) | 平均給料・手当 | 平均賞与 | 平均給与(合計) | 賞与の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 2,000万円未満 | 380万円 | 36万円 | 416万円 | 9.4% |
| 2,000万円以上5,000万円未満 | 397万円 | 60万円 | 457万円 | 15.2% |
| 5,000万円以上1億円未満 | 386万円 | 69万円 | 455万円 | 17.8% |
| 1億円以上10億円未満 | 423万円 | 86万円 | 509万円 | 20.4% |
| 10億円以上 | 533万円 | 159万円 | 692万円 | 29.9% |
賞与の割合は、平均給料・手当に対する平均賞与の割合です。資本金2,000万円未満の会社と1億円以上10億円未満の会社では、給料・手当の差は43万円ですが、賞与の差は50万円あります。
事業所の規模で見ると、差の開き方はもっとはっきりします。従事員10〜29人の事業所と5,000人以上の事業所では、平均給料・手当は409万円と436万円でほとんど変わりませんが、平均賞与は45万円と112万円で、2倍以上の開きがありました。
つまり、上場していない中小の会社の年収を見積もるときは、月々の給料よりも賞与の見通しが分かれ目になります。
月給は規模でどのくらい違うか
厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)では、一般労働者の月々の賃金(6月分の所定内給与額)を企業規模別に見ると、大企業(常用労働者1,000人以上)が38.5万円、中企業(100〜999人)が32.6万円、小企業(10〜99人)が30.6万円でした。大企業を100とすると、中企業は84.7、小企業は79.4です。
年齢が上がるほど差は開きます。
| 年齢 | 大企業 | 中企業 | 小企業 |
|---|---|---|---|
| 25〜29歳 | 30.2万円 | 27.1万円 | 25.8万円 |
| 30〜34歳 | 34.5万円 | 29.9万円 | 28.7万円 |
| 35〜39歳 | 38.6万円 | 32.2万円 | 30.5万円 |
| 40〜44歳 | 42.2万円 | 34.6万円 | 31.9万円 |
| 45〜49歳 | 43.9万円 | 36.2万円 | 33.0万円 |
20代後半では大企業との差が月3〜4万円ほどですが、40代では月8〜11万円ほどに広がります。応募先の規模と自分の年齢に近い行を、比べる目安にします。業種ごとの差は業種別の平均年収、地域の差は都道府県別の平均年収で扱っています。
求人票から年収を組み立てる手順
- 基本給と手当を分ける:求人票の賃金の欄で、基本給と、毎月決まって出る手当を確かめる。固定残業代が含まれているなら、その額と何時間分かを確かめる
- 賞与の実績を見る:「賞与 年2回・計◯か月分(前年度実績)」のような書き方で、何か月分か、何を元にした月数かを確かめる。賞与を基本給を元に決める会社では、基本給に月数をかける
- 年収を組み立てる:(基本給+毎月の手当)×12か月+賞与の見込み、で見当をつける。固定残業代を除いた額でも計算しておくと、残業が少ない月の手取りの見当もつく
- 統計と比べる:組み立てた額を、上の規模別・年齢別の数字と比べる。大きく下回るなら、昇給の実績や評価の仕組みを面接で確かめる
- 昇給の実績を見る:求人票の昇給の欄で、前年度に昇給があったか、いくらだったかを見る。入社後の伸びの見当がつく
賞与と昇給の実績は前年度のもので、約束ではありません。求人票の欄の読み方は求人票の見方にくわしくまとめています。
会社の稼ぐ力から見当をつける
株式会社は、決算の内容を公告することが会社法で求められています。上場していない会社でも、官報や会社のホームページで貸借対照表などを見られることがあります。会社の利益が安定しているかは、賞与の見通しに関わります。調べ方は転職先の経営状態の調べ方と中小企業の情報の調べ方にまとめています。
読み違えやすい点
- 月給×12を年収と思う:賞与は別です。反対に、固定残業代を含んだ月給をそのまま基本給と思うと、賞与の見積もりが大きくなりすぎます
- 賞与の実績を約束と思う:前年度の実績で、業績で変わります
- 大企業の平均と比べて落ち込む:規模で差が出るのは統計でも同じです。同じ規模・同じ年齢の数字と比べます
- 統計の平均を自分の額と思う:統計は多くの人の平均です。職種や経験で大きく違います
まとめ
- 上場していない会社の多くは有価証券報告書を出さず、平均年収の公表値がほとんどない
- 会社の規模による年収の差は、月々の給料よりも賞与で大きく開く
- 賃金構造基本統計調査の月々の賃金は、大企業を100とすると中企業84.7、小企業79.4。年齢が上がるほど差は開く
- 求人票の基本給・手当・固定残業代・賞与の実績を分けて、年収を組み立てる
- 組み立てた額を、同じ規模・同じ年齢の統計と比べる