残業が少ない会社は、会社が自ら公表している残業時間の数字、ハローワークの求人票の時間外労働の欄、求人の固定残業代の書き方の3つを組み合わせると、応募前にかなり絞り込めます。

目安になるのは、令和7年(2025年)の毎月勤労統計調査でフルタイムの人(一般労働者)の所定外労働時間が月13.2時間という国の数字です。ただし「残業時間」には、法定時間外だけを数えるものと、会社の所定時間を超えた分を全部数えるものがあり、定義が違えば数字も変わります。どの定義の数字かを確かめてから比べるのが、探し方の前提です。

「残業時間」には定義が2つある

呼び方数える範囲主な出どころ
所定外労働時間会社が決めた所定労働時間を超えて働いた時間(早出・残業・臨時の呼出・休日出勤)毎月勤労統計調査、しょくばらぼ(若者雇用促進法の項目)
法定時間外・休日労働法律の上限(1日8時間・週40時間)を超えた時間と、法定休日の労働女性の活躍推進企業データベース、しょくばらぼ

所定労働時間が1日7時間30分の会社で8時間働くと、30分は所定外労働ですが、法定時間外労働には入りません。そのため、同じ会社でも法定時間外の数字のほうが小さく出ます。2社を比べるときは、同じ定義の数字どうしを並べます。

国の統計で見る目安

毎月勤労統計調査の2025年の確報(常用労働者5人以上の事業所)では、一般労働者の1か月の労働時間は次のとおりでした。

業種総実労働時間所定外労働時間
調査産業計160.5時間13.2時間
建設業164.3時間13.5時間
製造業162.3時間14.7時間
運輸業、郵便業175.3時間24.1時間

パートタイムの人も含めた全体の所定外労働時間は9.8時間です。転職先をフルタイムで探すなら、一般労働者の13.2時間を目安にします。

探し方1:会社が公表している数字を見る

しょくばらぼ

厚生労働省の「しょくばらぼ」は、若者雇用促進総合サイト、女性の活躍推進企業データベース、両立支援のひろばの3つで公表された職場の情報と、国の認定の情報をまとめて見られるサイトです。会社名で探すと、残業の時間や有給休暇の取得の数字が並びます。

公表の決まり

会社がこれらの数字を出すのには、法律の決まりがあります。

  • 若者雇用促進法:新卒を募集する会社は、「募集・採用」「職業能力の開発」「雇用管理」の3つの区分ごとに1つ以上の情報を出す。月平均の所定外労働時間や平均勤続年数は、その選択肢の一つ
  • 女性活躍推進法:公表する項目の選択肢に「残業時間の状況」「有給休暇取得率」がある

どちらも選択肢の中から会社が選ぶ仕組みなので、残業の数字を載せていない会社もあります。載っていないことを、残業が多いしるしと読むことはできません。会社の規模によって何の公表が義務になるかは、中小企業の情報の調べ方で整理しています。

会社名鑑の中央値

Mixum の会社名鑑に載せている会社のうち、法定時間外・休日労働の月平均を公表している14,702社の中央値は11.0時間でした(半数が5.3〜18.0時間の間)。所定外労働時間の月平均を公表している2,760社の中央値は7.7時間です(半数が3.1〜12.6時間の間)。いずれも厚生労働省「しょくばらぼ」「女性の活躍推進企業データベース」の公表値を、2026年10月1日に集計したものです(所定外労働時間は、しょくばらぼの数字)。

これは数字を公表している会社だけの値で、業種全体の平均ではありません。公表しているのは比較的規模の大きい会社や、働き方の改善に積極的な会社に偏りうるため、国の統計より低めに出ている可能性があります。

探し方2:ハローワークの求人票の欄を見る

ハローワークの求人票の「労働時間」の欄には、時間外労働の月平均の時間と、36協定の特別条項の有無・内容が書かれます。大阪労働局が求人を出す会社向けに示している注意点では、月平均は届け出ている36協定の範囲内で書き、特別条項を結んでいる場合でも月平均は30時間以内(1年単位の変形労働時間制なら27時間以内)とする必要があります。特別条項を結んでいる会社は、「1日何時間まで、何回を限度として1か月何時間まで」のように、その内容が分かるように書くことになっています。

36協定の上限は、原則が月45時間・年360時間です。臨時の特別な事情があって特別条項を結ぶ場合でも、年720時間以内、時間外と休日労働の合計が単月100時間未満、2〜6か月の平均が80時間以内、月45時間を超えられるのは年6か月まで、という上限があります。求人票の月平均は上の範囲に収まるように書かれるので、それだけでは繁忙期の長さは分かりません。特別条項の欄に書かれた時間と回数を見て、どの時期にどのくらい延びるのかを面接で尋ねる手がかりにします。

探し方3:固定残業代の書き方を見る

一定時間分の残業代を毎月の給与に含めて払う「固定残業代」を設けている会社は、求人に次の3つをすべて書く必要があります。

  1. 固定残業代を除いた基本給の額
  2. 固定残業代に当たる労働時間数と金額などの計算方法
  3. 固定残業の時間を超えた分は、割増賃金を追加で支払うこと

架空の求人で読み方を見ます。「月給30万円(固定残業代:月20時間分・4万2千円を含む。超過分は別途支給)」とあれば、基本給は25万8千円で、20時間は残業がある前提の設計と読めます。固定残業の時間は、実際の残業時間とは限りません。公表されている月平均の数字と並べて確かめます。

探す手順

  1. 目安を決める:一般労働者の所定外労働時間13.2時間、会社名鑑の法定時間外の中央値11.0時間を手元に置く
  2. しょくばらぼで数字を探す:応募先の残業の数字と、それがどちらの定義かを確かめる
  3. 求人票の欄を見る:月平均の時間と、特別条項の時間・回数を見る
  4. 固定残業代を分解する:基本給と固定分の時間・金額を分けて書き出す
  5. 面接で配属先の実際を聞く:会社全体の平均と、配属予定の部署の繁忙期の時間を分けて尋ねる

休みの取りやすさも合わせて見るなら、有給取得率の平均と読み方が使えます。年収と残業を一緒に比べる考え方は、有価証券報告書で年収を確かめる方法にまとめています。

読み違えやすい点

  • 定義の違う数字を並べる:所定外と法定時間外では、同じ会社でも数字が変わります
  • 会社全体の平均を自分の見込みにする:残業は部署や時期でばらつきます。平均が低くても、繁忙期だけ長い職場があります
  • 固定残業の時間を実際の残業と思う:固定分より少ない月もあれば、超える月もあります
  • 管理職の時間が入っているか確かめない:管理監督者の時間を含めるかどうかで平均は変わります。数字の注記を見ます

30代からの転職で使える記事は、30代からの転職の一覧にまとめています。

まとめ

  • 残業時間には「所定外」と「法定時間外・休日」の2つの定義があり、同じ定義どうしで比べる
  • 国の目安は、一般労働者の所定外労働時間が月13.2時間(2025年の毎月勤労統計調査)
  • 会社名鑑で法定時間外を公表している14,702社の中央値は11.0時間。公表している会社に偏った数字
  • ハローワークの求人票では、月平均の時間と36協定の特別条項の有無が分かる
  • 固定残業代は、基本給・時間と金額・超過分の支払いの3つが書かれているかを見る

参考資料