「働きやすい会社ランキング」は、転職先を探すときに目に入りやすい情報です。ただ、ランキングの順位は、どの数字を使い、どう組み合わせたかで大きく変わります。総合点の上位の会社が、自分にとって大事な点でも上位とは限りません。

この記事では、会社が公表している数字を実際に集計し、項目ごとの上位がどのくらい重なるのかを示したうえで、ランキングを読むときに確かめることを整理します。

項目ごとの上位は、ほとんど重ならない

Mixum の会社名鑑で、従業員101人以上の会社が公表している4つの数字について、それぞれ上位10%に入る境目を出しました(2026年9月18日に取り込んだ公表値を、2026年10月2日に集計)。

項目数字のある会社上位10%に入る境目
年次有給休暇の取得率11,272社88.2%以上
法定時間外・休日労働の月平均(少ないほう)10,719社3.0時間以下
管理職に占める女性の割合25,360社50.0%以上
男性の育児休業等の取得率14,221社100%

そのうえで、項目どうしの上位がどのくらい重なるかを見ました。

  • 有給休暇の取得率と残業の時間の両方を公表している6,409社のうち、有給休暇の取得率で上位10%に入る631社で、残業の少なさでも上位10%に入ったのは93社(14.7%)でした
  • 4つの数字をすべて公表している4,918社のうち、4つすべてで上位10%に入ったのは5社でした。どれか1つでも上位10%に入った会社は1,358社、どの項目でも上位10%に入らなかった会社は3,560社(72.4%)です

つまり、ある項目で上位の会社が、ほかの項目でも上位とは限りません。有給休暇が取りやすい会社と残業が少ない会社は、かなり別の顔ぶれです。総合点にすると、この違いが見えなくなります。

業種の構成で順位が偏る

もう一つ、ランキングを読むときに気をつけたいのが、業種による偏りです。残業の少なさで上位10%に入った1,072社のうち、医療・福祉の会社が568社(53.0%)を占めていました。残業の時間を公表している会社全体では、医療・福祉は13.4%です。

同じように、女性管理職比率は女性の従業員が多い業種ほど高く出ます。全体の順位だけを見ると、自分の働きたい業種の会社がほとんど出てこないこともあります。応募先を比べるときは、同じ業種の中での位置を見るのが確実です。業種ごとの目安は、残業が少ない業種、有給休暇が取りやすい業種、女性管理職の比率が高い会社で扱っています。

同じ点がたくさん並ぶ項目もある

男性の育児休業等の取得率は、14,221社のうち4,036社(28.4%)が100%でした。上位10%の境目も100%で、ここでは順位の差がつきません。

このように、数字の性質によっては、順位の差が意味を持たない項目もあります。

ランキングを読むときに確かめること

  1. 何の数字を使ったか:会社が公表した数字か、口コミの点数か、アンケートか。出典が書かれているか
  2. どう組み合わせたか:総合点なら、どの項目に何点の重みを付けたか
  3. いつの数字か:数字の対象の年度と、ランキングを作った時期
  4. どの会社を対象にしたか:数字を公表している会社だけか、規模の条件はあるか。数字を公表していない会社は、ランキングに出てこない
  5. 業種をそろえているか:全業種の順位か、業種ごとの順位か

自分に合った使い方

  1. 大事な項目を2つか3つに絞る:残業の少なさ、有給休暇、男性の育児休業、女性の登用、勤続年数のうち、自分にとって外せないものを決める
  2. 項目ごとの一覧で探す:Mixum の会社名鑑の有給休暇の取得率が高い会社、残業が少ない会社、男性の育休取得率が高い会社などを、業種や都道府県で絞り込んで見る
  3. 候補の会社を項目ごとに並べる:候補が決まったら、会社ページやしょくばらぼで、ほかの項目の数字も確かめる
  4. 数字のない項目は面接で聞く:公表されていない項目は、配属先の様子として面接で尋ねる

読み違えやすい点

  • 総合点の上位なら自分にも合うと思う:総合点は、作った人の重みの付け方で決まります
  • 全業種の順位で比べる:業種の構成で上位が偏ります
  • ランキングに出てこない会社は働きにくいと思う:数字を公表していない会社は、そもそも順位に入りません
  • 100%の会社に差がないと思う:育児休業の日数や、取った人の数は会社ごとに違います

まとめ

  • 働きやすい会社のランキングは、使った数字と組み合わせ方で順位が大きく変わる
  • 会社名鑑の集計では、4つの数字すべてで上位10%に入る会社は4,918社のうち5社だった
  • 残業の少なさの上位10%は、半分以上が医療・福祉の会社だった。業種の中での位置で比べる
  • 総合点より、自分に大事な項目を絞り、項目ごとに確かめる

参考資料