静岡県は、国の上位の認定を受けた会社の割合が高い一方で、会社ごとの公表値では育休や女性の登用が全国を下回るという、2つの面を持つ県です。厚生労働省の一覧(2026年7月末時点)では、プラチナくるみんの社数がくるみんの社数の23.1%にあたり、47都道府県で最も高い割合でした。

一方、Mixum の会社名鑑で、静岡県に本店がある従業員101人以上の会社の公表値を集計すると、男性の育休取得率の中央値は50.0%(全国66.7%)、女性管理職比率は7.1%(全国10.5%)で、女性管理職比率は47都道府県の中で低いほうから3番目です。この記事では、この2つの面の読み方と、製造業の多い業種の構成、国の統計を整理します。

集計の条件

会社ごとの数字は、厚生労働省の「しょくばらぼ」と「女性の活躍推進企業データベース」で会社が自ら公表しているものです。Mixum の会社名鑑で、本店の所在地が静岡県で従業員101人以上の会社を集計しました(2026年9月18日に取り込んだ公表値を、2026年10月2日に集計)。率の指標は100%以下の値、残業時間は0より大きい値だけを使っています。

数字を公表している会社だけの値で、静岡県の会社全体の平均ではありません。総合点や会社の順位は付けず、指標ごとに働きやすさを数字で比べます。会社名鑑に載っている従業員101人以上の会社のうち、静岡県に本店があるのは803社です。

業種の構成:製造が3割超、サービス系は少なめ

業種静岡県の割合全国の割合
製造32.5%24.1%
医療・福祉17.2%15.5%
卸売・小売12.5%14.6%
その他のサービス12.0%13.5%
運輸・郵便7.6%6.5%
建設3.6%4.2%
情報通信2.5%6.1%
学術研究・専門・技術サービス0.7%1.7%
不動産・物品賃貸0.6%1.7%

製造は全国の約1.35倍の32.5%で、47都道府県の中で6番目に高い割合です。反対に、情報通信、学術研究・専門・技術サービス、不動産・物品賃貸は、どれも全国の4割前後にとどまります。

5つの数字の中央値

指標公表している社数静岡県の中央値全国の中央値業種の構成をならした差
有休取得率244社72.7%72.2%+0.5
法定時間外・休日労働(月平均)241社12.3時間12.0時間+0.5時間
男性の育休取得率316社50.0%66.7%−11.6
女性管理職比率578社7.1%10.5%−1.5
男女の賃金の差異(男性=100)545社72.072.1−0.2

「業種の構成をならした差」は、会社ごとに「その会社の数字」と「同じ業種の全国の中央値」の差を出し、その差の中央値を求めたものです。有休、残業、賃金の差異は全国とほぼ同じで、男性の育休と女性管理職が全国を下回る形です。

有休:製造と卸売・小売は全国の同業より高め

有休取得率は、業種をならした差が+0.5で、43都道府県の中で8番目でした。取得率80%以上の会社は32.4%です。

  • 製造:静岡県93社の中央値76.8%(全国の業種の中央値75.1%)
  • 卸売・小売:37社で69.0%(同65.0%)
  • 医療・福祉:37社で72.1%(同72.6%)

もともと取得率の高い製造業の中でも、全国の同業より高めの会社が多い形です。業種ごとの取得率は有給休暇を取りやすい業界にまとめています。

残業は月12.3時間で全国並みですが、卸売・小売(34社)は15.3時間で、全国の同業の12.3時間より3時間長くなっています。製造(91社)は14.7時間で、全国の製造業の14.0時間に近い値でした。

男性の育休:業種をならしても全国より低い

男性の育休取得率の中央値50.0%は、業種をならした差が−11.6で、45都道府県の中で低いほうから8番目でした。取得率0%の会社は26.9%、100%の会社は26.3%です。

業種静岡県の中央値全国の業種の中央値
製造(126社)60.0%74.2%
卸売・小売(41社)48.3%55.0%
医療・福祉(46社)46.4%61.2%
その他のサービス(35社)0%57.1%

県の会社の3割を占める製造業で、全国の同業より14ポイント低くなっています。その他のサービスは35社の中央値が0%で、半数以上の会社で男性の育休の取得者がいなかったことになります。育休を考えている人は、静岡県で男性の育休取得率が高い会社のように、会社ごとの数字を確かめてください。取得率の読み方は男性の育休取得率が高い会社で扱っています。

女性管理職:0%の会社が4社に1社

女性管理職比率の中央値7.1%は、47都道府県の中で低いほうから3番目です。管理職に女性が1人もいない(0%の)会社は27.5%で、全国の17.7%を大きく上回りました。

製造(193社)は3.2%で全国の製造業の4.5%を、その他のサービス(67社)は6.9%で全国の同業の13.3%を下回り、運輸・郵便(36社)は中央値が0%でした。医療・福祉(99社)は52.2%で全国の同業の50.0%を上回っていて、業種で大きく分かれています。女性の登用を重視する人は、女性管理職の比率が高い会社の読み方も参考にしてください。

認定の割合が高いことと、中央値が低いことの関係

プラチナくるみんの割合が全国で最も高いのに、男性の育休の中央値は低い。この2つは矛盾していません。

  • 認定は一部の会社の数字:くるみん・プラチナくるみんは、基準を満たして申請した会社が受ける認定です。静岡県のくるみんは156社、プラチナくるみんは36社で、本店がある従業員101人以上の会社の一部です
  • 中央値は公表している会社全体の真ん中:男性の育休取得率を公表している316社の真ん中の値です

認定を受けた会社の中には、より高い水準まで取り組みを進めた会社が多い一方、県全体ではまだ取得の少ない会社も多い、と読むのが自然です。応募先が認定を受けているかどうかと、最新の取得率の両方を確かめます。一覧は静岡県のくるみん認定の会社で見られます。

厚生労働省の一覧(2026年7月末時点)では、静岡県のくるみんプラス・プラチナくるみんプラスは3社です。プラチナくるみんの36社は、東京都、大阪府、愛知県に次いで4番目に多い社数です。

国の統計で見る静岡県

令和7年賃金構造基本統計調査は、静岡県にある事業所で働く人の数字です。

項目静岡県全国
平均年齢44.0歳44.4歳
男性の平均勤続年数14.6年14.2年
超過実労働時間(月)12時間11時間
所定内給与額314.5千円340.6千円
年間賞与その他特別給与額911.9千円1,009.6千円

平均年齢44.0歳は、47都道府県の中で若いほうから6番目です。年収の目安は506.2万円で15番目です(都道府県別の平均年収)。女性の所定内給与額は男性の74.5%(男性347.3千円、女性258.7千円)で、全国の76.6%より差が大きく、47都道府県の中で低いほうから5番目でした。会社の公表値の男女の賃金の差異(72.0)とは対象と数え方が違うため、そのまま比べることはできません。

浜松・静岡で応募先を比べる手順

  1. 一覧で候補を出す:会社名鑑の静岡県の会社の一覧から、業種と所在地で候補を絞ります。浜松、静岡、沼津・富士など、通勤できる範囲で見ます
  2. 認定と最新の数字を並べる:プラチナくるみんの会社は県内に多くあります。認定を受けた年と、最新の男性の育休取得率をあわせて確かめます
  3. 製造業は育休を確かめる:有休は全国の同業より高めでも、男性の育休は低めでした。指標ごとに分けて見ます
  4. 女性の登用は複数の数字で見る:女性管理職比率に加えて、男女の賃金の差異と女性の勤続年数を並べます

読み違えやすい点

  • 認定の多さを県全体の傾向と思う:認定を受けた会社は一部で、県の中央値とは別の数字です
  • 県の中央値を応募先に当てはめる:男性の育休は、0%の会社と100%の会社がどちらも4社に1社あります
  • 本店の所在地を勤務地と思う:会社全体の数字で、県外の工場や支店で働く人も入っています
  • 国の統計と会社の公表値を混ぜる:国の統計は県内の事業所で働く人の数字です

まとめ

  • 静岡県に本店がある従業員101人以上の会社は803社で、製造が32.5%と全国より多い
  • プラチナくるみんはくるみんの23.1%の社数で、47都道府県で最も高い割合(2026年7月末時点)
  • 一方、男性の育休取得率は50.0%で、業種をならしても全国より11.6ポイント低い
  • 女性管理職比率は7.1%で低いほうから3番目、0%の会社が27.5%
  • 有休は製造と卸売・小売で全国の同業より高め
  • 国の統計では、女性の所定内給与額が男性の74.5%と、男女の差が大きめ

参考資料