建設業にも、2024年4月から時間外労働の上限規制がすべて適用されています。原則は月45時間・年360時間で、臨時の特別な事情があって労使が合意する場合でも、年720時間以内などの上限を超えることはできません。例外は、災害の復旧・復興の事業に限った一部の規制だけです。
残業時間の平均は、2025年の毎月勤労統計調査で、建設業のフルタイムの人が月13.5時間でした。全産業の13.2時間とほぼ同じですが、建設業は所定の労働時間が長く、出勤日が多いのが特徴です。上限だけでなく、休日の数まで含めて会社を比べるのが、建設業の会社選びのポイントです。
2024年4月から何が変わったか
働き方改革の法改正で、2019年4月(中小企業は2020年4月)から時間外労働の上限規制が始まりました。工作物の建設の事業は、業界の事情から5年間の猶予があり、2024年4月から適用されました。
| 項目 | 上限(2024年4月から) | 災害の復旧・復興の事業 |
|---|---|---|
| 時間外労働の原則 | 月45時間・年360時間 | 同じ |
| 特別条項での年間の上限 | 年720時間 | 同じ |
| 時間外+休日労働の単月の上限 | 100時間未満 | 適用されない |
| 時間外+休日労働の2〜6か月の平均 | 80時間以内 | 適用されない |
| 月45時間を超えられる回数 | 年6か月まで | 同じ |
月100時間未満と2〜6か月平均80時間以内の規制は、休日労働も含めて数えます。災害の復旧・復興の事業では、この2つだけが適用されません。
工期の決まりも変わった
働く時間を守るには、無理のない工期が前提になります。2024年6月14日に公布された改正建設業法では、長時間労働を正して週休2日を確保していくために、受注する側から言い出して著しく短い工期で請負契約を結ぶことも禁止され、この部分は2024年12月13日に施行されました。
求人票の書き方も変わった
大阪労働局は求人を出す会社向けの注意点で、2024年4月から、建設の事業も含めて、ハローワークの求人票の時間外労働の「月平均」を30時間以内(1年単位の変形労働時間制の場合は27時間以内)にする必要があると示しています。月平均が収まっていても、特別条項を結んでいる会社は、その内容を求人票に書くことになっています。
建設業の残業時間の平均
国の統計
毎月勤労統計調査の2025年の確報(常用労働者5人以上の事業所、一般労働者)です。
| 建設業 | 調査産業計 | |
|---|---|---|
| 総実労働時間 | 164.3時間 | 160.5時間 |
| 所定内労働時間 | 150.8時間 | 147.3時間 |
| 所定外労働時間(残業) | 13.5時間 | 13.2時間 |
| 出勤日数 | 20.0日 | 19.2日 |
残業の時間は全産業とほとんど変わりませんが、所定内の労働時間が月3.5時間長く、出勤日が0.8日多くなっています。つまり、建設業の働く時間の長さは、残業よりも所定の時間と休日の少なさに表れています。
休みの取り方でも差があります。令和7年の就労条件総合調査では、建設業の年次有給休暇の取得率は60.7%(付与18.3日、取得11.1日)で、全産業の66.9%を下回っています。
会社が公表している数字
Mixum の会社名鑑に載せている建設業の会社のうち、法定時間外・休日労働の月平均を公表している1,400社の中央値は12.85時間で、4分の1の会社が6.3時間以下、4分の1の会社が20.0時間以上でした。有給休暇の取得率は、公表している1,221社の中央値が66.0%で、4分の1の会社が51.0%以下です(厚生労働省「しょくばらぼ」「女性の活躍推進企業データベース」の公表値、2026年10月1日の集計)。
これは数字を公表している会社だけの値で、建設業全体の平均ではありません。公表しているのは比較的規模の大きい会社や、働き方の改善に積極的な会社に偏りえます。同じ業種の中でも、残業の時間には3倍以上の開きがあることが分かります。
応募先で確かめること
| 確かめること | どこで・どう確かめるか |
|---|---|
| 残業の月平均 | しょくばらぼ、求人票の時間外労働の欄 |
| 特別条項の中身 | 求人票の「36協定における特別条項」の欄。何時間まで、年何回か |
| 休日の数と組み方 | 求人票の年間休日数と休日の欄。現場が閉まる日と、交代で休む日の違いを面接で尋ねる |
| 有給休暇の取り方 | 取得率と取得日数。繁忙期に取れるか |
| 移動や準備の時間 | 現場への移動、朝礼や片付けの時間を、会社がどう扱っているかを面接で尋ねる |
| 工期への考え方 | 工期が遅れそうなときに、人の手配と休日のどちらで調整するか |
架空の例で考えます。Fさんは、施工管理の求人2件を比べていました。G社は求人票の月平均が20時間で特別条項なし、年間休日が105日。H社は月平均が25時間で特別条項あり(年6回まで月60時間)、年間休日が120日です。残業の欄だけならG社が短く見えますが、休日の差の15日を働く日数に直すと、年間の働く時間は逆転する可能性があります。残業の時間と休日の数は、必ず並べて見ます。
読み違えやすい点
- 上限を会社の平均と思う:月45時間は「これ以上は原則だめ」という線で、平均がその近くでよいという意味ではありません
- 求人票の月平均で繁忙期を判断する:求人票の月平均は30時間以内に書くことになっているので、繁忙期の長さは特別条項の欄で見ます
- 残業の時間だけで比べる:建設業は所定の時間と休日の数の差が大きく、残業が短くても年間の労働時間が長いことがあります
- 会社全体の数字を現場の数字と思う:現場や工期で大きく違います。配属予定の現場の様子を尋ねます
建設業で多い労働災害の型は労働災害の統計で見る業種ごとのリスクに、会社選び全体の流れは安全な職場の見分け方にまとめています。同じ2024年4月に上限が変わった物流の仕事については、物流の2024年問題と会社の選び方で扱っています。現場の仕事の記事は、製造・建設・物流の会社選びの一覧から探せます。
まとめ
- 建設業には2024年4月から上限規制がすべて適用。原則は月45時間・年360時間、特別条項でも年720時間まで
- 災害の復旧・復興の事業では、単月100時間未満と2〜6か月平均80時間以内の規制だけが適用されない
- 2025年の建設業の残業は月13.5時間で全産業並み。所定の時間が長く、出勤日が多い
- 会社名鑑で公表している建設業1,400社の法定時間外の中央値は12.85時間。公表している会社に偏った数字
- 残業の時間と年間休日の数を並べ、特別条項の中身まで確かめる