東京都に本店がある会社の働きやすさを数字で比べると、男性の育休取得率が全国より高く、残業はやや長めという形が見えてきます。Mixum の会社名鑑で、従業員101人以上の会社が公表している数字を集計すると、男性の育休取得率の中央値は74.2%(全国66.7%)、法定時間外・休日労働の月平均は13.3時間(全国12.0時間)でした。

東京都は情報通信や金融、不動産の会社が多く、医療・福祉の法人が少ないという、ほかの道府県とはかなり違う顔ぶれです。この記事では、業種の構成、5つの数字の中央値、国の認定、国の統計の数字を並べ、東京で応募先を比べるときの読み方を整理します。

集計の条件

会社ごとの数字は、厚生労働省の「しょくばらぼ」と「女性の活躍推進企業データベース」で、会社が自ら公表しているものです。Mixum の会社名鑑で、本店の所在地が東京都で従業員101人以上の会社を集計しました(2026年9月18日に取り込んだ公表値を、2026年10月2日に集計)。

  • 率の指標は100%以下の値だけを使い、残業時間は0より大きい値だけを使っています(0と書いている会社が中央値をゆがめるため)
  • 数字を公表している会社だけの値で、東京都の会社全体の平均ではありません

会社名鑑に載っている従業員101人以上の会社は全国で32,293社、このうち東京都に本店がある会社は8,344社(25.8%)です。全国の4社に1社が東京都の会社ということになります。

業種の構成:情報通信は全国の2.4倍

東京都の会社は、業種の構成が全国とかなり違います。会社名鑑に載っている従業員101人以上の会社を業種ごとに数えると、次のとおりです。

業種東京都の割合全国の割合
その他のサービス18.9%13.5%
製造17.8%24.1%
情報通信14.8%6.1%
卸売・小売14.5%14.6%
運輸・郵便5.0%6.5%
医療・福祉4.4%15.5%
金融・保険3.9%2.2%
不動産・物品賃貸3.5%1.7%
学術研究・専門・技術サービス3.1%1.7%

情報通信は全国の約2.4倍、不動産・物品賃貸は約2.1倍、金融・保険と専門サービスは約1.8倍の割合です。反対に、医療・福祉は全国の3分の1以下、製造も全国より少なめです。

この構成の違いは、数字の読み方に大きく効きます。たとえば女性管理職比率は医療・福祉で高く出やすい指標なので、医療・福祉の法人が少ない東京都は、それだけで低めに出やすくなります。

5つの数字の中央値

指標公表している社数東京都の中央値全国の中央値業種の構成をならした差
有休取得率3,391社73.0%72.2%+0.4
法定時間外・休日労働(月平均)3,279社13.3時間12.0時間+0.3時間
男性の育休取得率4,202社74.2%66.7%+5.0
女性管理職比率6,934社11.5%10.5%+1.6

「業種の構成をならした差」は、会社ごとに「その会社の数字」と「同じ業種の全国の中央値」の差を出し、その差の中央値を求めたものです。プラスなら、同じ業種の全国の会社より高い(残業ならより長い)会社が多いことを表します。

男性の育休:業種をならしても全国より高い

男性の育休取得率は、東京都が全国を最もはっきり上回った指標です。公表している会社が50社以上ある45都道府県の中で、中央値は高いほうから8番目、業種の構成をならした差(+5.0)も上位に入りました。取得率が0%の会社は12.0%にとどまります。

業種ごとに見ると、全国との差が大きいのは次の業種です。

  • 運輸・郵便:東京都187社の中央値66.6%(全国の業種の中央値50.0%)
  • 卸売・小売:576社で67.5%(同55.0%)
  • 医療・福祉:167社で75.0%(同61.2%)

同じ業種で比べても高いため、東京都の会社の高さは業種の構成だけでは説明できません。

残業:中央値は全国より長め

法定時間外・休日労働の月平均は、東京都の中央値が13.3時間でした。公表している会社が50社以上ある38都道府県の中では、長いほうから3番目(群馬県と同じ値)です。月20時間以上の会社は22.3%、10時間以下の会社は33.9%でした。

業種の構成をならすと差は+0.3時間に縮みます。建設(東京都169社の中央値19.5時間、全国の業種の中央値17.8時間)や金融・保険(同11.9時間、9.8時間)は全国より長めで、卸売・小売(同11.5時間、12.3時間)は短めです。

有休と女性管理職

有休取得率の中央値は73.0%で、43都道府県の中ほどより上です。業種ごとでは、金融・保険が77.9%(全国の業種の中央値74.8%)、宿泊・飲食サービスが61.8%(同55.2%)と全国を上回り、専門サービスは67.9%(同72.8%)と下回りました。都道府県ごとの取得率は都道府県で見る有給休暇の取得率にまとめています。

女性管理職比率は11.5%で、そのままの中央値では47都道府県の中ほどですが、業種の構成をならすと+1.6で、高いほうから7番目に上がります。医療・福祉が少ないぶん低く見えているだけで、同じ業種の全国の会社と比べると、女性の登用が進んでいる会社が多い形です。

国の認定:くるみんの3社に1社が東京都

厚生労働省の一覧(2026年7月末時点)では、子育てサポートの認定であるくるみんの会社は東京都が1,964社で、全国5,979社の32.8%を占めます。より高い水準のプラチナくるみんは376社で、全国913社の41.2%です。くるみんプラス・プラチナくるみんプラス(不妊治療と仕事の両立の認定)は62社でした。

女性の活躍推進の認定であるえるぼしは、会社名鑑に載っている会社のうち東京都が1,972社で、全国の43.5%にあたります。認定の社数が多いのは会社が多いからでもあるので、東京都のくるみん認定の会社のように一覧で個別に確かめます。

国の統計で見る東京都

令和7年賃金構造基本統計調査は、東京都にある事業所で働く人を集計しています。本店の所在地で集計した会社名鑑とは数え方が違う点に注意してください。

項目東京都全国
平均年齢43.4歳44.4歳
平均勤続年数12.6年12.7年
所定内実労働時間(月)159時間162時間
超過実労働時間(月)10時間11時間
所定内給与額418.3千円340.6千円
年間賞与その他特別給与額1,397.8千円1,009.6千円

平均年齢は愛知県(43.2歳)に次いで2番目に若く、所定内実労働時間の159時間は47都道府県で最も短くなっています。超過実労働時間(残業など)も全国より1時間短い月10時間です。

会社の公表値では東京都の残業は全国より長めだったのに、国の統計では短めに出ています。会社の公表値は全国の支店を含む会社全体の数字で、法定時間外と休日の労働を数えたもの、国の統計は東京都内の事業所の2025年6月分の数字です。どちらが正しいというより、見ている範囲が違うと読みます。

給与の水準は都道府県別の平均年収で扱っています。年収の目安は東京都が678.0万円で、47都道府県で最も高い水準です。

東京で応募先を比べる手順

  1. 業種の中央値を先に見る:東京都は業種の幅が広いため、都の中央値より、応募先と同じ業種の全国の中央値と比べます。情報通信の残業はIT業界の残業時間にまとめています
  2. 一覧で候補を出す:会社名鑑の東京都の会社の一覧や、東京都で有休取得率が高い会社から候補を出します
  3. 男性の育休は取得日数も見る:取得率だけでは、何日取ったかは分かりません。取得率の読み方は男性の育休取得率が高い会社で扱っています
  4. 勤務地を確かめる:本店が東京でも、配属は全国の拠点のことがあります。配属先の事業所の残業と休みは面接で尋ねます

読み違えやすい点

  • 「東京の会社」を「東京で働く人」と思う:会社名鑑の数字は本店の所在地で分けた会社全体の数字です
  • 都の中央値を応募先に当てはめる:東京都の中でも会社の差は大きく、有休取得率は半数が64.8〜80.4%の範囲に散らばっています
  • 認定の社数を割合と思う:くるみんの社数が多いのは、東京都に会社が集まっているためでもあります
  • 国の統計と会社の公表値を混ぜる:国の統計は事業所の所在地、会社の公表値は本店の所在地で集計しています

まとめ

  • 東京都に本店がある従業員101人以上の会社は、会社名鑑の全国の25.8%を占める
  • 情報通信は全国の2.4倍の割合で、医療・福祉は全国の3分の1以下と、業種の構成が大きく違う
  • 男性の育休取得率の中央値は74.2%(全国66.7%)で、業種をならしても全国より高い
  • 残業の中央値は月13.3時間で全国より長めだが、業種をならした差は+0.3時間にとどまる
  • くるみんの32.8%、プラチナくるみんの41.2%が東京都の会社(2026年7月末時点)
  • 都の中央値は目安にとどめ、応募先と同じ業種の全国の数字と比べる

参考資料