大阪府に本店がある会社の働き方の数字は、ほとんどの指標で全国の中央値とほぼ同じです。Mixum の会社名鑑で、従業員101人以上の会社が公表している数字を集計すると、有休取得率の中央値は72.5%(全国72.2%)、法定時間外・休日労働は月12.2時間(全国12.0時間)、男性の育休取得率は66.9%(全国66.7%)でした。

全国より低く出たのは女性管理職比率の8.7%(全国10.5%)です。ただしこれは、大阪府の業種の構成によるところが大きく、業種をならすと全国との差は0になります。この記事では、その読み方と、製造・建設の会社が多い大阪府ならではの見方を整理します。

集計の条件

会社ごとの数字は、厚生労働省の「しょくばらぼ」と「女性の活躍推進企業データベース」で会社が自ら公表しているものです。Mixum の会社名鑑で、本店の所在地が大阪府で従業員101人以上の会社を集計しました(2026年9月18日に取り込んだ公表値を、2026年10月2日に集計)。率の指標は100%以下の値、残業時間は0より大きい値だけを使っています。

数字を公表している会社だけの値で、大阪府の会社全体の平均ではありません。総合点や会社の順位は付けず、指標ごとに働きやすさを数字で比べます。会社名鑑に載っている従業員101人以上の会社のうち、大阪府に本店があるのは2,553社で、全国32,293社の7.9%です。

4つの数字の中央値

指標公表している社数大阪府の中央値全国の中央値業種の構成をならした差
有休取得率942社72.5%72.2%±0
法定時間外・休日労働(月平均)868社12.2時間12.0時間−0.5時間
男性の育休取得率1,192社66.9%66.7%+0.8
女性管理職比率1,928社8.7%10.5%±0

「業種の構成をならした差」は、会社ごとに「その会社の数字」と「同じ業種の全国の中央値」の差を出し、その差の中央値を求めたものです。残業はマイナスなら、同じ業種の全国の会社より短い会社が多いことを表します。

大阪府の残業は、そのままの中央値では全国より0.2時間長いのに、業種をならすと0.5時間短くなります。もともと残業が長めの業種の会社が多いぶん、全体の中央値が押し上げられている形です。

業種の構成:製造と建設が多く、医療・福祉が少ない

会社名鑑に載っている従業員101人以上の会社を業種ごとに数えると、大阪府は次の構成です。

業種大阪府の割合全国の割合
製造28.1%24.1%
卸売・小売15.9%14.6%
その他のサービス14.6%13.5%
医療・福祉11.0%15.5%
運輸・郵便6.5%6.5%
建設5.3%4.2%
情報通信4.5%6.1%

製造は全国より4ポイント多く、建設は全国の約1.3倍です。医療・福祉は全国より4.5ポイント少なくなっています。

女性管理職比率は「業種の差」で低く見える

女性管理職比率は、業種によって大きく違う指標です。会社名鑑の全国の中央値は、医療・福祉の50.0%に対して、製造は4.5%、建設は3.4%です(従業員101人以上の会社)。

大阪府は、比率が高く出やすい医療・福祉が少なく、低く出やすい製造・建設が多いため、府全体の中央値は8.7%と、47都道府県の中で低いほうから8番目あたりになります。ところが、会社ごとに同じ業種の全国の中央値と比べると、その差の中央値はちょうど0でした。同じ業種どうしで比べれば、大阪府の会社は全国並みです。

業種ごとに見ると、その他のサービス(大阪府279社の中央値14.8%、全国の業種の中央値13.3%)は全国より高く、不動産・物品賃貸(37社で5.6%、全国9.3%)や教育・学習支援(42社で21.5%、全国24.8%)は低めでした。業種ごとの中央値は女性管理職の比率が高い会社にまとめています。

業種ごとに見た大阪府の特徴

府全体の中央値が全国並みでも、業種ごとに見ると全国との差がある業種があります。公表している会社が30社以上ある業種から、差の目立つものを挙げます。

指標業種大阪府の中央値全国の業種の中央値
残業(月平均)製造(279社)12.7時間14.0時間
残業(月平均)情報通信(51社)11.5時間14.0時間
残業(月平均)建設(52社)20.3時間17.8時間
有休取得率医療・福祉(73社)78.0%72.6%
有休取得率運輸・郵便(46社)64.5%68.7%
男性の育休取得率卸売・小売(198社)64.3%55.0%
男性の育休取得率宿泊・飲食サービス(39社)37.5%44.0%

大阪府で最も会社の多い製造は、残業が全国の同業より短めです。反対に建設は全国の同業より長く、月20時間を超えています。業種ごとの残業の違いは残業が少ない業界で扱っています。

国の認定:くるみんプラスは0社

厚生労働省の一覧(2026年7月末時点)では、大阪府のくるみんは356社、プラチナくるみんは53社で、くるみんの社数は東京都に次いで多くなっています。一方、不妊治療と仕事の両立を支えるくるみんプラス・プラチナくるみんプラスは0社でした。全国では200社が受けている認定で、東京都の62社、北海道の8社と比べても目立つ違いです。

国の統計で見る大阪府

令和7年賃金構造基本統計調査は、大阪府にある事業所で働く人の数字です(本店の所在地で集計した会社名鑑とは数え方が違います)。

項目大阪府全国
平均年齢43.9歳44.4歳
平均勤続年数12.0年12.7年
女性の平均勤続年数9.2年10.4年
超過実労働時間(月)10時間11時間
所定内給与額348.9千円340.6千円
年間賞与その他特別給与額986.4千円1,009.6千円

所定内給与額は全国を上回る47都道府県の4番目ですが、賞与は全国をわずかに下回ります。平均勤続年数は12.0年で全国より短く、女性の平均勤続年数9.2年は沖縄県(9.0年)に次いで短い値です。

女性の所定内給与額は男性の78.6%(男性380.3千円、女性299.1千円)で、全国の76.6%より男女の差が小さく出ています。都道府県ごとの年収の目安は都道府県別の平均年収にまとめています。

大阪で応募先を比べる手順

  1. 応募先の業種を決めてから比べる:府の中央値より、同じ業種の全国の中央値と比べます。とくに女性管理職比率は業種で大きく違います
  2. 一覧で候補を出す:会社名鑑の大阪府の会社の一覧や、大阪府で残業が少ない会社から候補を出します
  3. 建設・運輸は数字を細かく見る:大阪府の建設は残業が全国の同業より長めでした。月の残業時間と、固定残業代の時間を求人票で確かめます
  4. 勤続年数を面接で尋ねる:府全体の勤続年数は短めです。応募先の平均勤続年数や、中途で入った人の定着の様子を確かめます

読み違えやすい点

  • 女性管理職比率の府の順位をそのまま読む:業種の構成をならすと全国並みです
  • 本店の所在地を勤務地と思う:会社全体の数字で、府外の支店や工場で働く人も入っています
  • 国の統計の勤続年数を会社の数字と思う:国の統計は府内の事業所で働く人の平均です
  • 全国並みを「差がない」と読む:府の中でも会社の差は大きく、有休取得率は半数が62.0〜80.1%の範囲に散らばっています

まとめ

  • 大阪府に本店がある従業員101人以上の会社は2,553社で、会社名鑑の全国の7.9%
  • 有休・残業・男性の育休の中央値は、どれも全国とほぼ同じ
  • 女性管理職比率は8.7%と低めだが、業種の構成をならすと全国との差は0
  • 製造は残業が全国の同業より短め、建設は長め
  • くるみんは356社、くるみんプラス・プラチナくるみんプラスは0社(2026年7月末時点)
  • 国の統計では所定内給与額が全国4番目、女性の平均勤続年数は9.2年と短め

参考資料