令和7年賃金構造基本統計調査の数字から年収の目安を出すと、全国は545.6万円でした。都道府県別では東京都が678.0万円で最も高く、青森県が400.8万円で最も低く、上と下で277万円ほどの開きがあります。

年収の目安は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」で計算しています。国が公表している「賃金」は月の所定内給与額(残業代などを除いた基本の給与)で、全国は340.6千円です。年収の目安とは数字の意味が違うので、記事や求人を見比べるときは、どちらの数字かを先に確かめてください。

調査の概要と、年収の目安の出し方

賃金構造基本統計調査は、厚生労働省が毎年行う、給与についていちばん大きな調査です。令和7年の調査は2025年6月分の給与を尋ね、常用労働者10人以上の民間の事業所のうち52,242事業所を集計しています。結果は2026年3月24日に公表されました。

この記事の数字は、フルタイムで働く「一般労働者」の男女計です。調査の項目は次の3つを使っています。

項目中身全国(男女計)
きまって支給する現金給与額2025年6月分の月の給与。残業代や深夜手当などを含み、税金や社会保険料を引く前の額370.5千円
所定内給与額上の額から、残業代・休日出勤の手当などの超過労働給与額を除いたもの340.6千円
年間賞与その他特別給与額2024年1月〜12月の1年間に支給された賞与・期末手当など1,009.6千円

年収の目安は、370.5千円×12+1,009.6千円=5,455.6千円、つまり約545.6万円です。6月分の月給を12倍しているので、月ごとの残業の増減や、年の途中の昇給は反映されません。賞与は前の年の1年分です。あくまで「その地域で働く人の平均的な水準」をつかむための目安として読んでください。

47都道府県の年収の目安

都道府県の数字は、その都道府県にある事業所で働く人の給与です。住んでいる場所ではなく、勤め先の事業所がある場所で集計しています。年収の目安の高い順に並べました(年収の目安は千円の単位で計算し、万円に直して小数第1位までにしています)。

順位都道府県所定内給与額(千円)年間賞与など(千円)年収の目安(万円)
—全国340.61,009.6545.6
1東京都418.31,397.8678.0
2神奈川県368.61,086.3592.1
3愛知県341.61,138.9570.4
4大阪府348.9986.4550.4
5兵庫県334.91,026.0545.5
6千葉県339.1892.5534.9
7滋賀県327.0991.6533.7
8京都府337.4935.0533.7
9茨城県330.7986.3533.4
10栃木県317.7963.9517.4
11三重県321.1883.0516.6
12埼玉県325.4851.7513.6
13広島県320.2910.5513.3
14山梨県317.3924.2510.3
15静岡県314.5911.9506.2
16奈良県321.8803.2501.0
17福岡県314.3890.9500.3
18宮城県313.7885.6499.3
19香川県310.1899.7498.2
20山口県306.7914.9498.2
21岐阜県311.8879.9496.1
22群馬県308.4882.0494.5
23長野県308.9899.3491.7
24石川県305.6877.6485.8
25岡山県300.6852.9483.9
26富山県304.8877.7483.4
27福井県301.6888.5480.5
28和歌山県301.9814.0476.8
29徳島県305.9775.8471.1
30北海道297.1792.0466.6
31新潟県291.8826.1462.7
32愛媛県290.8806.9460.9
33熊本県291.0802.4460.8
34大分県295.2751.2457.3
35福島県293.6731.3455.2
36鹿児島県289.3771.7452.9
37長崎県284.6770.8446.8
38島根県282.6724.7446.5
39佐賀県279.7790.9446.1
40高知県285.8629.8431.0
41鳥取県278.7706.4429.6
42岩手県275.0651.8426.5
43秋田県275.8726.2426.4
44山形県272.2715.8423.8
45宮崎県268.3664.7411.6
46沖縄県277.4576.8411.4
47青森県263.9619.0400.8

滋賀県と京都府、香川県と山口県は万円の単位では同じ値で、千円の単位で比べた順に並べています。年収の目安が全国を上回ったのは東京都・神奈川県・愛知県・大阪府の4都府県で、所定内給与額で比べても全国(340.6千円)を上回るのは同じ4都府県です。

地域の差はどこから生まれるか

都道府県の差は、その地域で働く人の「同じ仕事の給与の差」だけでできているわけではありません。次の3つが重なっています。

1. 業種と会社の規模の構成

同じ調査の産業別の数字では、所定内給与額が最も高い電気・ガス・熱供給・水道業は444.0千円、最も低い宿泊業,飲食サービス業は277.2千円です。会社の規模別では、1,000人以上が385.1千円、10〜99人が305.6千円でした。本社や大きな事業所、給与の高い業種が集まる地域ほど、平均は高く出ます。

2. 賞与の差

月の給与よりも、年間賞与の差のほうが大きく開いています。東京都の1,397.8千円に対して、沖縄県は576.8千円、青森県は619.0千円です。所定内給与額では東京都は青森県の約1.6倍ですが、賞与では約2.3倍になります。愛知県は所定内給与額では4位ですが、賞与が1,138.9千円と東京都に次いで多く、年収の目安では3位に上がります。

3. 残業の多さ

「きまって支給する現金給与額」から「所定内給与額」を引いた額は、残業代などの超過労働給与額にあたります。東京都は30.2千円、愛知県は38.8千円、青森県は18.5千円で、地域の業種構成によって残業代の厚みも違います。

転職先の地域の水準を確かめる手順

  1. 勤め先になる事業所の都道府県を確かめる:本社と勤務地が違う求人は多いので、勤務地の県で見ます
  2. 月の給与と賞与を分けて比べる:求人票の月給は「所定内」に近い数字です。上の表の所定内給与額と比べ、賞与は前年の実績を面接で尋ねます
  3. 業種の全国の数字と並べる:地方の平均が低くても、応募先が全国の同じ業種の平均に近ければ、地域の中では高い水準です
  4. 会社が公表している数字を見る:上場している会社なら、有価証券報告書の平均年間給与も手がかりになります。読み方は有価証券報告書の平均年収の読み方にまとめています
  5. 働き方の数字も並べる:給与が高くても残業が多ければ時間あたりの額は下がります。残業が少ない会社の探し方の手順で、残業時間も確かめます

地域ごとに会社を探すときは、厚生労働省の「しょくばらぼ」などで会社が公表している数字を集めたMixumの会社名鑑で、東京都の会社のように都道府県から一覧できます。

読み違えやすい点

  • 所定内給与額を年収と思う:国が「賃金」として公表しているのは月の所定内給与額です。年収の目安とは別の数字です
  • 住んでいる県の数字だと思う:集計は事業所の所在地です。都心に通勤する人の給与は、住まいの県ではなく勤め先の都や府の数字に入ります
  • 平均を「真ん中の人」と思う:平均は高い給与の人に引き上げられます。全国の所定内給与額の中央値は296.6千円で、平均の340.6千円より44千円低い値です
  • 生活費の違いを無視する:統計は額面の給与で、家賃や物価の違いは調整していません。地方への転職では、手取りと生活費の両方で比べます
  • 年齢や勤続年数の違いを見落とす:平均年齢は東京都が43.4歳、青森県が46.8歳、平均勤続年数は沖縄県が10.3年、新潟県が14.2年と、地域で働く人の顔ぶれも違います
  • 転職後の年収の変化と混ぜる:都道府県の平均は「その地域で働く人全体」の水準です。転職でどれだけ変わるかは、転職で年収が上がる割合を参考にしてください

まとめ

  • 令和7年賃金構造基本統計調査から出した年収の目安は全国545.6万円。東京都678.0万円が最も高く、青森県400.8万円が最も低い
  • 年収の目安は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」。国の公表する「賃金」(所定内給与額)とは別の数字
  • 都道府県の数字は、その都道府県の事業所で働く人の給与で、住まいの県ではない
  • 地域の差は、業種と会社の規模の構成、賞与の厚み、残業の多さが重なって生まれる
  • 転職先を比べるときは、勤務地の県・業種の全国の数字・会社の公表値を並べて確かめる

参考資料