愛知県に本店がある会社の数字は、有休は取りやすい一方で、残業は長めという形です。Mixum の会社名鑑で、従業員101人以上の会社が公表している数字を集計すると、有休取得率の中央値は73.2%(全国72.2%)、法定時間外・休日労働の月平均は15.2時間(全国12.0時間)でした。残業の中央値は、公表している会社が50社以上ある38都道府県の中で最も長い値です。

女性管理職比率の中央値は5.6%(全国10.5%)で、47都道府県で最も低くなりました。愛知県は製造業の会社が3割を占めるため、業種の構成をならしてから読むのが大切です。

集計の条件

会社ごとの数字は、厚生労働省の「しょくばらぼ」と「女性の活躍推進企業データベース」で会社が自ら公表しているものです。Mixum の会社名鑑で、本店の所在地が愛知県で従業員101人以上の会社を集計しました(2026年9月18日に取り込んだ公表値を、2026年10月2日に集計)。率の指標は100%以下の値、残業時間は0より大きい値だけを使っています。

数字を公表している会社だけの値で、愛知県の会社全体の平均ではありません。総合点や会社の順位は付けず、指標ごとに働きやすさを数字で比べます。会社名鑑に載っている従業員101人以上の会社のうち、愛知県に本店があるのは1,978社です。

業種の構成:製造が31.5%、運輸も多い

業種愛知県の割合全国の割合
製造31.5%24.1%
卸売・小売15.4%14.6%
その他のサービス12.2%13.5%
医療・福祉11.5%15.5%
運輸・郵便8.7%6.5%
建設4.4%4.2%
情報通信4.1%6.1%

製造は全国より7.4ポイント多く、運輸・郵便も全国の約1.3倍の割合です。反対に、医療・福祉と情報通信は全国より少なめです。

5つの数字の中央値

指標公表している社数愛知県の中央値全国の中央値業種の構成をならした差
有休取得率716社73.2%72.2%+1.6
法定時間外・休日労働(月平均)667社15.2時間12.0時間+2.1時間
男性の育休取得率896社70.0%66.7%+2.3
女性管理職比率1,549社5.6%10.5%−2.6
男女の賃金の差異(男性=100)1,494社69.072.1−2.7

「業種の構成をならした差」は、会社ごとに「その会社の数字」と「同じ業種の全国の中央値」の差を出し、その差の中央値を求めたものです。製造業の多さをならしたうえで、全国の同じ業種の会社と比べた差と読めます。

有休は業種をならしても全国より高い

有休取得率は、業種の構成をならした差が+1.6で、43都道府県の中で沖縄県、千葉県に次いで3番目に高くなりました。取得率80%以上の会社は32.5%で、全国の業種の中央値より高い業種が多く見られます。

  • 製造:愛知県245社の中央値76.7%(全国の業種の中央値75.1%)
  • 情報通信:44社で77.3%(同74.0%)
  • 医療・福祉:66社で75.1%(同72.6%)

製造業の会社は、もともと有休取得率が高い業種です。愛知県はその製造業の中でも、全国の同業より高めの会社が多い形です。業種ごとの取得率は有給休暇を取りやすい業界にまとめています。

残業は業種をならしても最も長い

法定時間外・休日労働の月平均は、そのままの中央値でも、業種の構成をならした差(+2.1時間)でも、38都道府県の中で最も長くなりました。月20時間以上の会社は30.0%です。

業種愛知県の中央値全国の業種の中央値
製造(242社)17.5時間14.0時間
情報通信(37社)19.4時間14.0時間
卸売・小売(102社)14.8時間12.3時間
その他のサービス(83社)13.8時間12.0時間
医療・福祉(76社)4.6時間4.0時間

製造業の多さだけでなく、同じ業種の中でも残業が長めの会社が多いことが分かります。「有休は取れるが、ふだんの残業は長め」という組み合わせの会社が多いと読めるため、休みと残業を分けて確かめることが大切です。業種ごとの残業は残業が少ない業界で扱っています。

女性管理職と賃金の差異

女性管理職比率は5.6%で、管理職に女性が1人もいない(0%の)会社が26.2%ありました。業種をならした差も−2.6で、製造(490社の中央値2.4%、全国の業種の中央値4.5%)、その他のサービス(185社で7.9%、同13.3%)、情報通信(67社で7.6%、同11.6%)と、主な業種で全国の同業を下回っています。

男性を100としたときの女性の賃金(男女の賃金の差異)も、中央値69.0で47都道府県の中で最も低い値でした。製造(468社で69.0、全国の業種の中央値72.2)や卸売・小売(241社で61.4、同66.5)で差が目立ちます。一方、男性の育休取得率は70.0%と全国より高く、情報通信(49社で87.5%、同78.3%)が全国を大きく上回りました。

男女の賃金の差異の読み方は男女の賃金格差の統計で扱っています。

国の認定と国の統計

厚生労働省の一覧(2026年7月末時点)では、愛知県のくるみんは286社で、東京都、大阪府に次いで多く、プラチナくるみんは46社、くるみんプラス・プラチナくるみんプラスは7社です。

令和7年賃金構造基本統計調査(愛知県にある事業所で働く人の数字)では、次のような特徴があります。

項目愛知県全国
平均年齢43.2歳44.4歳
超過実労働時間(月)13時間11時間
男性の超過実労働時間(月)16時間13時間
男性の平均勤続年数15.0年14.2年
所定内給与額341.6千円340.6千円
年間賞与その他特別給与額1,138.9千円1,009.6千円

平均年齢43.2歳は47都道府県で最も若く、超過実労働時間の月13時間は兵庫県と並んで最も長い値です。会社の公表値と国の統計のどちらでも、残業が長めに出ています。賞与は東京都に次いで2番目に多く、年収の目安では3番目です(都道府県別の平均年収)。

愛知で応募先を比べる手順

  1. 休みと残業を分けて見る:有休取得率が高くても残業が長いことがあります。会社名鑑の愛知県で残業が少ない会社と、愛知県で有休取得率が高い会社の両方で候補を確かめます
  2. 製造業は全国の同業と比べる:県の中央値ではなく、製造業の全国の中央値(残業14.0時間、有休75.1%)と比べます
  3. 繁忙期の残業を尋ねる:公表値は年間の月平均です。工場の稼働や決算期など、時期による差を面接で確かめます
  4. 女性の登用は複数の数字で見る:女性管理職比率に加えて、男女の賃金の差異と女性の育休の取得率を並べます

一覧から探すときは、愛知県の会社の一覧で所在地や業種を確かめられます。

読み違えやすい点

  • 県の中央値を応募先に当てはめる:有休取得率は半数が63.1〜82.3%、残業は半数が7.8〜20.8時間の範囲に散らばっています
  • 製造業の多さだけで説明する:業種をならしても、残業は長め、女性管理職比率は低めです
  • 本店の所在地を勤務地と思う:県外の工場や支店で働く人の数字も入っています
  • 国の統計と会社の公表値を混ぜる:国の統計は県内の事業所、会社の公表値は本店の所在地で集計しています

まとめ

  • 愛知県は製造業が31.5%を占め、運輸・郵便も全国より多い
  • 有休取得率は73.2%で、業種をならすと43都道府県で3番目に高い
  • 残業は月15.2時間で、そのままでも業種をならしても38都道府県で最も長い
  • 女性管理職比率5.6%と男女の賃金の差異69.0は、どちらも47都道府県で最も低い
  • 国の統計でも超過実労働時間は兵庫県と並んで最も長く、平均年齢は最も若い
  • 休みと残業を分けて、応募先と同じ業種の全国の数字と比べる

参考資料