神奈川県に本店がある会社の数字でいちばん目立つのは、有休取得率の高さです。Mixum の会社名鑑で、従業員101人以上の会社が公表している数字を集計すると、有休取得率の中央値は74.3%(全国72.2%)で、公表している会社が50社以上ある43都道府県の中で3番目に高い値でした。

一方で、法定時間外・休日労働の月平均は13.1時間(全国12.0時間)と、全国よりやや長めです。この記事では、運輸や専門サービスが多い神奈川県の業種の構成、5つの数字、国の認定と国の統計を並べ、応募先を比べるときの読み方を整理します。

集計の条件

会社ごとの数字は、厚生労働省の「しょくばらぼ」と「女性の活躍推進企業データベース」で会社が自ら公表しているものです。Mixum の会社名鑑で、本店の所在地が神奈川県で従業員101人以上の会社を集計しました(2026年9月18日に取り込んだ公表値を、2026年10月2日に集計)。率の指標は100%以下の値、残業時間は0より大きい値だけを使っています。

数字を公表している会社だけの値で、神奈川県の会社全体の平均ではありません。総合点や会社の順位は付けず、指標ごとに働きやすさを数字で比べます。

本店がある会社は、働く人の数に比べて少なめ

会社名鑑に載っている従業員101人以上の会社のうち、神奈川県に本店があるのは1,412社で、全国32,293社の4.4%です。

一方、令和7年賃金構造基本統計調査の推計では、神奈川県の事業所で働く一般労働者は全国の6.1%を占めます。県内で働く人の割合に比べて、本店を置く会社の割合が小さいということです。国の統計の数字には、東京都など県外に本店がある会社の、県内の支店や工場で働く人も含まれます。県内で働く場所を探すなら、本店が県外の会社も候補に入ると読めます。

業種の構成:運輸と専門サービスが多い

業種神奈川県の割合全国の割合
製造25.4%24.1%
その他のサービス15.8%13.5%
医療・福祉14.6%15.5%
卸売・小売12.8%14.6%
運輸・郵便8.4%6.5%
情報通信6.2%6.1%
学術研究・専門・技術サービス2.6%1.7%
建設2.5%4.2%

運輸・郵便は全国の約1.3倍、学術研究・専門・技術サービスは約1.5倍の割合です。建設は全国の6割ほどにとどまります。

5つの数字の中央値

指標公表している社数神奈川県の中央値全国の中央値業種の構成をならした差
有休取得率532社74.3%72.2%+1.3
法定時間外・休日労働(月平均)502社13.1時間12.0時間+1.0時間
男性の育休取得率684社67.0%66.7%+0.8
女性管理職比率1,111社8.6%10.5%−0.8
男女の賃金の差異(男性=100)1,081社73.672.1+1.3

「業種の構成をならした差」は、会社ごとに「その会社の数字」と「同じ業種の全国の中央値」の差を出し、その差の中央値を求めたものです。

有休:運輸と情報通信が全国の同業より高い

有休取得率は、業種をならしても+1.3で、43都道府県の中で5番目に高い差でした。全国の同業との差が目立つのは次の業種です。

  • 運輸・郵便:神奈川県42社の中央値72.9%(全国の業種の中央値68.7%)
  • 情報通信:52社で77.7%(同74.0%)
  • 医療・福祉:45社で73.9%(同72.6%)

運輸・郵便は全国では取得率が低めの業種ですが、神奈川県の会社は全国の同業より4ポイントほど高くなっています。都道府県ごとの取得率は都道府県で見る有給休暇の取得率にまとめています。

残業:短い会社と長い会社に分かれる

残業の中央値は13.1時間で、38都道府県の中では長いほうから5番目です。ただし、月10時間以下の会社も40.0%あり、月30時間以上の会社は4.8%です。製造(143社の中央値15.9時間、全国の業種の中央値14.0時間)は長め、その他のサービス(69社で9.9時間、同12.0時間)は短めと、業種で向きが分かれました。

女性管理職と賃金の差異

女性管理職比率は8.6%で全国より低めですが、業種をならした差は−0.8にとどまります。宿泊・飲食サービス(33社で9.4%、全国の業種の中央値14.3%)や情報通信(70社で8.5%、同11.6%)で全国を下回りました。

男女の賃金の差異は73.6で、全国の72.1より女性の賃金の割合が高めです。業種をならしても+1.3でした。

国の認定

厚生労働省の一覧(2026年7月末時点)では、神奈川県のくるみんは185社、プラチナくるみんは33社、くるみんプラス・プラチナくるみんプラスは2社です。くるみんのうちプラチナくるみんも受けている会社の目安として、プラチナくるみんの社数をくるみんの社数で割ると17.8%で、全国(913社÷5,979社=15.3%)を上回ります。

国の統計で見る神奈川県

令和7年賃金構造基本統計調査は、神奈川県にある事業所で働く人の数字です。

項目神奈川県全国
平均年齢44.6歳44.4歳
所定内実労働時間(月)160時間162時間
超過実労働時間(月)12時間11時間
女性の平均勤続年数9.6年10.4年
所定内給与額368.6千円340.6千円
年間賞与その他特別給与額1,086.3千円1,009.6千円

所定内給与額と賞与はどちらも全国を上回り、年収の目安は東京都に次いで2番目です(都道府県別の平均年収)。所定内実労働時間は160時間で、東京都の159時間に次いで短い水準です。

ただし、国の統計で女性の所定内給与額を男性と比べると75.2%(男性406.3千円、女性305.5千円)で、全国の76.6%より差が大きく出ています。会社の公表値(73.6)とは対象と数え方が違うため、そのまま比べることはできません。男女の賃金の差異の読み方は男女の賃金格差の統計で扱っています。

神奈川で応募先を比べる手順

  1. 本店が県外の会社も含めて探す:県内の事業所に配属される求人は、本店が東京都などの会社にも多くあります。勤務地で絞り込みます
  2. 一覧で候補を出す:会社名鑑の神奈川県の会社の一覧や、神奈川県で有休取得率が高い会社から候補を出します
  3. 有休は取得日数と年間休日も見る:取得率は与えられた日数のうち取った割合です。読み方は有給取得率の平均と読み方にまとめています
  4. 製造業は残業を確かめる:県内の製造業は残業が全国の同業より長めでした。部署ごとの残業を面接で尋ねます

読み違えやすい点

  • 神奈川県の会社=神奈川県で働ける会社と思う:本店の所在地で分けた会社全体の数字です
  • 県内で働く人の多さと本店の多さを混ぜる:県内の事業所で働く人の割合に比べ、本店がある会社は少なめです
  • 国の統計に東京通勤の人が入っていると思う:国の統計は事業所の所在地で集計しています
  • 中央値を応募先に当てはめる:有休取得率は半数が64.3〜81.4%の範囲に散らばっています

まとめ

  • 神奈川県に本店がある従業員101人以上の会社は1,412社で、会社名鑑の全国の4.4%
  • 有休取得率の中央値は74.3%で、43都道府県の中で3番目に高い
  • 運輸・郵便は、全国では取得率が低めの業種だが、神奈川県では全国の同業より4ポイントほど高い
  • 残業は月13.1時間とやや長めで、製造は長め、その他のサービスは短め
  • くるみんは185社、プラチナくるみんは33社(2026年7月末時点)
  • 国の統計では年収の目安が全国2番目、所定内実労働時間は東京都に次いで短い

参考資料