広島県に本店がある会社の数字でいちばん目立つのは、残業の長さです。Mixum の会社名鑑で、従業員101人以上の会社が公表している数字を集計すると、法定時間外・休日労働の月平均の中央値は14.4時間(全国12.0時間)で、公表している会社が50社以上ある38都道府県の中で、愛知県に次いで2番目に長い値でした。有休取得率の中央値も68.9%(全国72.2%)と低めです。

一方で、卸売・小売の会社の男性の育休取得率は全国の同業を大きく上回るなど、業種によって逆の向きの数字もあります。この記事では、広島県の業種の構成、残業の分布、業種ごとの差、国の認定と国の統計を整理し、応募先を比べる手順をまとめます。

集計の条件

会社ごとの数字は、厚生労働省の「しょくばらぼ」と「女性の活躍推進企業データベース」で会社が自ら公表しているものです。Mixum の会社名鑑で、本店の所在地が広島県で従業員101人以上の会社を集計しました(2026年9月18日に取り込んだ公表値を、2026年10月2日に集計)。率の指標は100%以下の値、残業時間は0より大きい値だけを使っています。

数字を公表している会社だけの値で、広島県の会社全体の平均ではありません。総合点や会社の順位は付けず、指標ごとに働きやすさを数字で比べます。会社名鑑に載っている従業員101人以上の会社のうち、広島県に本店があるのは718社です。残業時間を公表しているのは209社で、数社の違いで中央値が動きやすい点に注意してください。

業種の構成:運輸が全国の1.3倍

業種広島県の割合全国の割合
製造25.6%24.1%
医療・福祉17.7%15.5%
卸売・小売16.4%14.6%
その他のサービス11.8%13.5%
運輸・郵便8.2%6.5%
建設3.5%4.2%
宿泊・飲食サービス2.5%3.7%
情報通信2.2%6.1%

製造、医療・福祉、卸売・小売の割合は全国に近く、運輸・郵便が全国の約1.3倍です。情報通信は全国の4割ほどにとどまります。業種の構成は全国から大きく外れていないため、残業の長さは業種の構成だけでは説明しにくいと読めます。

5つの数字の中央値

指標公表している社数広島県の中央値全国の中央値業種の構成をならした差
有休取得率226社68.9%72.2%−2.0
法定時間外・休日労働(月平均)209社14.4時間12.0時間+2.0時間
男性の育休取得率303社60.0%66.7%−4.6
女性管理職比率535社8.7%10.5%−1.1
男女の賃金の差異(男性=100)481社70.172.1−2.2

「業種の構成をならした差」は、会社ごとに「その会社の数字」と「同じ業種の全国の中央値」の差を出し、その差の中央値を求めたものです。5つの指標すべてで、業種をならしても全国の同業より少し不利な向きに出ています。

残業:業種をならしても2番目に長い

残業は、そのままの中央値でも、業種の構成をならした差(+2.0時間)でも、38都道府県の中で愛知県に次いで2番目に長くなりました。分布を見ると、短い会社と長い会社の両方が多いのが特徴です。

残業(月平均)広島県の会社の割合
10時間以下35.9%
20時間以上27.3%
30時間以上6.7%

業種ごとに見ると、製造(65社)の中央値が17.8時間で、全国の製造業の14.0時間より4時間近く長くなっています。医療・福祉(30社)は2.5時間、卸売・小売(31社)は12.1時間で、全国の同業とほぼ同じか短めでした。県全体の残業の長さは、製造業の会社の残業の長さによるところが大きいと読めます。

製造業で応募先を探す人は、広島県で残業が少ない会社で候補を確かめ、部署ごとの残業を面接で尋ねてください。業種ごとの残業は残業が少ない業界にまとめています。

有休:製造と医療・福祉で全国の同業より低め

有休取得率の中央値68.9%は、公表している会社が50社以上ある43都道府県の中で低いほうから8番目です。取得率80%以上の会社は23.5%でした。製造(64社)は73.2%で全国の製造業の75.1%を、医療・福祉(35社)は69.5%で全国の同業の72.6%を下回ります。卸売・小売(34社)は66.5%で、全国の同業の65.0%をわずかに上回りました。都道府県ごとの取得率は都道府県で見る有給休暇の取得率にまとめています。

業種で向きが分かれる男性の育休と賃金の差異

男性の育休取得率は、業種によって全国との差の向きが逆になります。

業種広島県の中央値全国の業種の中央値
卸売・小売(49社)83.3%55.0%
製造(81社)66.7%74.2%
医療・福祉(51社)50.0%61.2%
その他のサービス(40社)46.9%57.1%

卸売・小売は全国の同業より28ポイント高く、ほかの主な業種は全国の同業より低めでした。県の中央値60.0%だけを見ると、この違いが隠れてしまいます。

男女の賃金の差異(男性を100としたときの女性の賃金)の中央値は70.1で、47都道府県の中で低いほうから5番目です。卸売・小売(85社)は60.8で全国の同業の66.5を、運輸・郵便(36社)は64.7で全国の同業の69.3を下回りました。女性管理職比率も8.7%で全国より低く、その他のサービス(66社)は6.9%で全国の同業の13.3%の半分ほどです。読み方は男女の賃金格差の統計で扱っています。

国の認定:くるみんは多く、プラチナくるみんは少ない

厚生労働省の一覧(2026年7月末時点)では、広島県のくるみんは110社で、中国・四国の9県の中で最も多くなっています。一方、プラチナくるみんは4社で、くるみんプラス・プラチナくるみんプラスは0社でした。

プラチナくるみんの社数をくるみんの社数で割ると3.6%で、全国(913社÷5,979社=15.3%)を大きく下回り、47都道府県の中で低いほうから2番目です。くるみんを受けた会社は多いものの、より高い水準の認定まで進んだ会社は少ないと読めます。

国の統計で見る広島県

令和7年賃金構造基本統計調査は、広島県にある事業所で働く人の数字です。

項目広島県全国
平均年齢44.8歳44.4歳
平均勤続年数12.9年12.7年
超過実労働時間(月)12時間11時間
男性の超過実労働時間(月)14時間13時間
所定内給与額320.2千円340.6千円
年間賞与その他特別給与額910.5千円1,009.6千円

超過実労働時間は全国より1時間長く、会社の公表値と同じく残業が長めに出ています。年収の目安は513.3万円で、47都道府県の中で13番目です(都道府県別の平均年収)。女性の所定内給与額は男性の75.2%(男性351.8千円、女性264.6千円)で、全国の76.6%より差が大きく出ています。

広島で応募先を比べる手順

  1. 一覧で候補を出す:会社名鑑の広島県の会社の一覧から、業種と所在地で候補を絞ります
  2. 製造業は残業を最初に確かめる:県内の製造業は全国の同業より残業が長めでした。応募先の公表値と、配属先の部署の繁忙期を確かめます
  3. 育休は業種の傾向に引きずられない:卸売・小売は高め、医療・福祉やその他のサービスは低めでした。応募先の取得率と取得日数を確かめます
  4. 認定は種類まで見る:くるみんの会社は多い一方、プラチナくるみんは4社です。認定の種類と年、最新の数字をあわせて確かめます

読み違えやすい点

  • 残業の長さを県全体の特徴と思う:月10時間以下の会社も3社に1社あります
  • 県の中央値を業種に当てはめる:男性の育休は、卸売・小売とほかの業種で向きが逆です
  • 本店の所在地を勤務地と思う:会社全体の数字で、県外の支店や工場で働く人も入っています
  • 国の統計と会社の公表値を混ぜる:国の統計は県内の事業所で働く人の数字です

まとめ

  • 広島県に本店がある従業員101人以上の会社は718社で、業種の構成は全国に近く、運輸・郵便がやや多い
  • 残業は月14.4時間で、業種をならしても38都道府県で2番目に長い。製造の中央値は17.8時間
  • 有休取得率は68.9%で、43都道府県の中で低いほうから8番目
  • 卸売・小売の男性の育休取得率は83.3%で、全国の同業を28ポイント上回る
  • 男女の賃金の差異は70.1で、47都道府県の中で低いほうから5番目
  • くるみんは110社で中国・四国で最多、プラチナくるみんの割合は3.6%で低いほうから2番目(2026年7月末時点)

参考資料