令和7年の雇用動向調査によると、転職した人のうち賃金が前の勤め先より増えた人は40.8%、減った人は31.0%、変わらない人は25.5%でした。増えた人の割合は前年の40.5%をわずかに上回っています。

年齢で分けると差がはっきりします。30〜34歳は48.6%、35〜39歳は43.5%、40〜44歳は44.9%が増えた一方、50代からは減った人のほうが多くなります。この割合は転職した本人の回答で、金額の見込みを示すものではありません。自分に近い年齢と働き方の行を選んで、分布として読むのが使い方です。

この数字は何を数えているか

雇用動向調査は、厚生労働省が常用労働者5人以上の事業所を対象に行う調査で、令和7年は約1万5千の事業所が対象です。賃金の増減は、次の条件に当てはまる人の回答をまとめたものです。

  • 転職入職者:入職する前の1年間に仕事をしていた人
  • そのうち、前の勤め先で雇われて働いていた人
  • 調査の時点でも、転職先に在籍している人

増減は「1割以上増えた」「1割未満増えた」「変わらない」「1割未満減った」「1割以上減った」の5区分です。答えのない人(不詳)を含めて割合を出しているため、各行の合計は100にならないことがあります。令和7年の転職入職者は約506万人、転職入職率は9.9%でした。

年齢別に見た賃金の増減

男女を合わせた、年齢別の結果です(単位は%。差は「増えた」から「減った」を引いたもの)。

年齢増えたうち1割以上変わらない減ったうち1割以上差
25〜29歳49.834.225.023.916.525.9
30〜34歳48.632.820.829.019.019.6
35〜39歳43.532.828.123.916.119.6
40〜44歳44.929.924.627.417.617.5
45〜49歳41.130.028.030.116.111.0
50〜54歳29.418.426.742.028.3−12.6
55〜59歳25.516.833.038.930.6−13.4
全年齢40.828.225.531.021.99.8

30代から40代の前半までは、増えた人が減った人を17〜20ポイント上回っています。45〜49歳で差は11.0ポイントに縮み、50〜54歳で逆転します。

もう1つ見ておきたいのは「1割以上減った」の列です。30〜34歳でも19.0%、つまり転職した人のおよそ5人に1人は、賃金が1割以上下がったと答えています。増えた人が多い年齢でも、大きく下がる人は一定の割合でいます。

男女別に見た30〜40代

同じ調査の統計表から、男女別に30〜40代を抜き出しました(単位は%)。

年齢男性 増えた男性 減った女性 増えた女性 減った
30〜34歳54.519.342.738.5
35〜39歳45.224.841.722.9
40〜44歳40.526.548.328.1
45〜49歳40.524.741.533.2
全年齢40.431.741.330.4

全年齢では男女の差はほとんどありません。年齢で分けると、30〜34歳の女性は減った人が38.5%と多く、男性との差が大きくなっています。この表だけでは理由は分かりませんが、次の雇用形態の違いが関係している可能性があります。

雇用形態が変わると結果が大きく違う

前の勤め先と転職先の雇用形態の組み合わせで分けると、結果がかなり変わります。

前 → 後の雇用形態増えた減った
一般労働者 → 一般労働者42.031.5
うち、期間の定めのない雇用どうし44.529.0
一般労働者 → パートタイム労働者9.072.7
パートタイム → パートタイム39.021.8

フルタイムからパートタイムに移った人は、7割以上が減ったと答えています。働く時間が短くなれば賃金が減るのは当然なので、全体の割合を見るときは、この組み合わせが混ざっていることを頭に置きます。

フルタイムの正社員どうしに近い「一般労働者で、期間の定めのない雇用どうし」に絞ると、増えた人と減った人の割合は次のとおりです。

年齢男女計 増えた / 減った男性 増えた / 減った女性 増えた / 減った
30〜34歳54.0 / 24.355.8 / 19.951.2 / 31.1
35〜39歳44.1 / 23.246.2 / 22.339.6 / 25.1
40〜44歳44.5 / 31.640.9 / 29.350.4 / 35.4

30〜34歳の女性でも、同じ働き方どうしの転職に絞ると、増えた人が51.2%と半数を超えます。先の男女別の表で見えた差の一部は、働き方の変化によるものと読めます。

自分に近い行の探し方

  1. 年齢の行を選ぶ:5歳刻みの表で、自分の年齢の行と、その前後の行を見る
  2. 働き方の組み合わせを決める:正社員から正社員への転職なら、「期間の定めのない雇用どうし」の数字を使う
  3. 「1割以上減った」の割合も見る:増えた割合だけでなく、大きく下がった人の割合を確かめる
  4. 応募先の水準は別に調べる:この表は全国の転職者の分布です。応募先の給与水準は、有報や求人票の数字で確かめる

上場している会社の給与水準の調べ方は、有価証券報告書で年収を確かめる方法で説明しています。有報の平均年間給与に何が含まれるかは、平均年間給与の意味で整理しています。

読み違えやすい点

  • 「4割が上がる」を自分の見込みにする:割合は転職した人全体の分布で、個人の結果を予想するものではありません
  • 増えた人の割合だけを見る:増えた割合が高い年齢でも、1割以上減った人が2割近くいます
  • 賃金だけで比べる:賃金が同じでも、残業の時間や休みの取りやすさが変われば、働き方は大きく変わります。残業の数字の調べ方は残業が少ない会社の探し方にまとめています
  • 理由を読み込みすぎる:この表は増減の分布だけで、なぜ増えたか・減ったかは示していません

30代からの転職で使える記事は、30代からの転職の一覧にまとめています。内定時に示された賃金の条件が求人の内容と違うなど、労働条件で困ったときは、ハローワークや総合労働相談コーナーで相談できます。

まとめ

  • 令和7年の転職入職者のうち、賃金が増えた人は40.8%、減った人は31.0%
  • 30代から40代前半は、増えた人が減った人を17〜20ポイント上回る。50代から逆転する
  • 30〜34歳でも、賃金が1割以上減った人が19.0%いる
  • フルタイムからパートタイムに移った人は7割以上が減っており、全体の割合を押し下げている
  • 正社員どうしの転職に近い行を選び、分布として読む

参考資料