卸売業・小売業は、有給休暇が取りにくい側の業種です。厚生労働省の令和7年就労条件総合調査で、卸売業,小売業の年次有給休暇の取得率は59.9%と、全産業の66.9%を7ポイント下回りました。1人あたり17.5日が与えられ、取得は10.5日です。

会社が自ら公表している数字でも同じ傾向で、取得率を公表している卸売業・小売業の1,881社の中央値は64.9%でした。全業種の中央値(71.7%)より約7ポイント低く、取得率が80%以上の会社は16.2%にとどまります。一方で残業の時間は全業種並みで、休みの少なさが、この業種の働き方の課題の中心だといえます。

国の統計で見る卸売業・小売業の休み

就労条件総合調査は、常用労働者30人以上の民間企業を対象に、厚生労働省が毎年行う調査です。令和7年の調査で、取得率が低い業種を並べます。

業種付与日数取得日数取得率
宿泊業,飲食サービス業15.9日8.0日50.7%
複合サービス事業19.7日11.2日57.1%
生活関連サービス業,娯楽業17.7日10.6日59.6%
卸売業,小売業17.5日10.5日59.9%
教育,学習支援業18.3日11.1日60.5%
建設業18.3日11.1日60.7%
全産業18.1日12.1日66.9%

取得率が低いのは、店舗や施設で人が接客にあたる業種に多い傾向があります。卸売業,小売業は取得日数でも10.5日と、全産業より1.6日少なくなっています。

残業は全産業並み

毎月勤労統計調査の2025年の確報で、卸売業,小売業のフルタイムの人(一般労働者)の所定外労働時間は月11.3時間で、調査産業計の13.2時間より短めでした。

会社が公表している数字の中央値

会社ごとの数字は、厚生労働省の「しょくばらぼ」と「女性の活躍推進企業データベース」で、会社が自ら公表しています。Mixum の会社名鑑で、卸売業・小売業の会社の公表値を集計しました(2026年9月18日に取り込んだ公表値を、2026年10月2日に集計)。

項目公表している社数4分の1の会社中央値4分の3の会社
有給休暇の取得率1,881社53.0%64.9%74.7%
正社員の有給休暇の取得日数141社9.5日11.2日13.1日
法定時間外・休日労働の月平均2,030社6.0時間11.2時間17.7時間

取得率が50%未満の会社は19.8%と、5社に1社でした。公表している会社が50社以上ある業種の中央値を並べると、卸売業・小売業の64.9%は、宿泊業・飲食サービス業(55.0%)、教育・学習支援業(62.7%)に次いで低い水準です。残業は中央値11.2時間で、10時間以下の会社が45.2%ありました。

これは数字を公表している会社だけの値で、卸売業・小売業全体の平均ではありません。従業員101人以上の会社に絞っても取得率の中央値は65.0%で、規模による差はほとんど見られませんでした。

店舗の多い業種で休みにくくなる理由

店を開けるのに決まった人数が要る

店舗は営業時間中に一定の人数を置く必要があり、一人が休むと誰かが代わりに入る必要があります。シフトを組む段階で休みを織り込んでいない職場では、休暇を申し出にくくなります。法律上は、勤務のシフトを組み替えて代わりの人を置ける場合、会社は休暇の日を変えるよう求めること(時季変更権)ができないとされています。

土日・祝日・年末年始が繁忙期

小売の店舗は、多くの人が休む日に忙しくなります。休みが平日に偏り、連休を取りにくい働き方になりがちです。

卸売と小売で働き方は違う

この業種には、店舗で販売する小売と、会社どうしで商品を売り買いする卸売(商社など)が入っています。卸売は平日の日中が中心の会社が多く、小売とは休みの形が違います。業種の数字は両方が混ざった値です。

応募先の休みやすさを確かめる手順

  1. 業種の目安を知る:卸売・小売の会社の取得率の中央値は64.9%、取得日数は11.2日
  2. 応募先の数字を探す:しょくばらぼで取得率と取得日数を見る。会社名鑑の卸売・小売の有休取得率が高い会社の一覧からも探せる
  3. 休日の制度を見る:年間休日の数、シフト制か固定休か、連休を取れる制度があるかを求人票で確かめる
  4. 配属先で聞く:店舗の正社員がどのくらい休めているか、休暇の申請からシフトへの反映までの流れを面接で尋ねる
  5. 残業と並べる:休暇が少ない会社で残業も多いと負担が重なるので、残業時間も見る

有給休暇の数字の全体の読み方は有給取得率の平均と読み方に、残業の数字の探し方は残業が少ない会社の探し方にまとめています。

読み違えやすい点

  • 会社全体の率を店舗の数字と思う:本部・店舗、正社員・パートが混ざった平均です
  • 取得率だけで決める:付与日数の少ない人が多い会社では率が高めに出ます。取得日数と並べます
  • 卸売と小売を同じに見る:休みの形が違うので、応募先がどちらの仕事かを確かめます
  • 年度の違う数字を比べる:会社の公表値は年度がそろっていないことがあります

30代からの転職で使える記事は、30代からの転職の一覧にまとめています。

まとめ

  • 令和7年就労条件総合調査で、卸売業,小売業の取得率は59.9%、取得日数は10.5日(全産業66.9%・12.1日)
  • 会社名鑑で取得率を公表している1,881社の中央値は64.9%、80%以上の会社は16.2%
  • 残業は全産業並みかやや短く、休みの少なさが課題の中心
  • 店舗の人員配置と土日の繁忙が、休みにくさの背景にある
  • 応募先の取得率・取得日数・休日の制度を並べ、配属先の様子を面接で確かめる

参考資料