製造業は、有給休暇を比較的取りやすい業種です。厚生労働省の令和7年就労条件総合調査では、製造業の年次有給休暇の取得率は72.8%で、全産業の66.9%を約6ポイント上回りました。1人あたり18.8日が与えられ、13.7日が取られています。

会社ごとに見ても同じ傾向で、取得率を公表している製造業の会社3,572社の中央値は74.9%でした。ただし、半数の会社が66.1〜82.8%の間に散らばっており、同じ製造業でも会社によって差があります。業種の数字を目安にしつつ、応募先の数字を一社ずつ確かめるのが確実です。

国の統計で見る製造業の有給休暇

就労条件総合調査は、常用労働者30人以上の民間企業を対象に、厚生労働省が毎年行う調査です。令和7年の調査の有給休暇の数字は、2024年(または2023会計年度)の1年間の実績です。

業種付与日数取得日数取得率
電気・ガス・熱供給・水道業19.5日14.7日75.2%
製造業18.8日13.7日72.8%
金融業,保険業19.6日14.3日72.8%
医療,福祉17.7日12.1日68.4%
情報通信業18.9日12.7日66.9%
建設業18.3日11.1日60.7%
卸売業,小売業17.5日10.5日59.9%
全産業18.1日12.1日66.9%

製造業は取得率で電気・ガス等に次ぐ水準で、金融業,保険業と並びます。取得日数の13.7日も全産業の12.1日より1.6日多く、率だけでなく実際に休めている日数でも上位です。付与日数は繰越分を除いた日数で、取得率は「取得した日数の合計÷与えられた日数の合計」で出しています。

会社が公表している数字の中央値

会社ごとの数字は、厚生労働省の「しょくばらぼ」と「女性の活躍推進企業データベース」で、会社が自ら公表しています。Mixum の会社名鑑で、製造業の会社の公表値を集計すると次のとおりです(2026年9月18日に取り込んだ公表値を、2026年10月2日に集計)。

項目公表している社数4分の1の会社中央値4分の3の会社
有給休暇の取得率3,572社66.1%74.9%82.8%
正社員の有給休暇の取得日数570社11.9日13.7日15.6日
法定時間外・休日労働の月平均3,341社8.5時間13.6時間19.0時間

取得率が80%以上の会社は33.6%、50%未満の会社は8.0%でした。全業種の中央値は71.7%なので、製造業は会社の数字で見ても高めです。公表している会社が50社以上ある業種で中央値を並べると、電気・ガス・熱供給・水道業の79.0%に次いで2番目でした。

これは数字を公表している会社だけの値で、製造業全体の平均ではありません。公表しているのは比較的規模の大きい会社に偏っており、従業員101人以上の会社に絞った中央値は75.1%と、ほとんど変わりませんでした。

残業はやや多め

有給休暇が取りやすい一方で、残業の時間は全業種よりやや長めです。法定時間外・休日労働の月平均の中央値は13.6時間で、全業種の11.0時間を上回ります。ただし月30時間以上の会社は2.8%と少なく、8割の会社が月20時間以下に収まっていました。

国の統計でも同じ傾向で、毎月勤労統計調査の2025年の確報では、製造業のフルタイムの人(一般労働者)の所定外労働時間は月14.7時間と、調査産業計の13.2時間より1.5時間長くなっています。

製造業の数字を読むときの注意

中分類で働き方は変わる

ここでいう製造業は、日本標準産業分類の大分類です。食料品、化学、鉄鋼、電子部品、輸送用機械など、作るものによって設備の動かし方や繁忙期が違い、休みの取り方も変わります。業種の中央値は「製造業の会社の真ん中あたり」の目安で、応募先の数字そのものではありません。

一斉休業の扱いで率が変わる

工場の夏季や年末年始の長期休業を、労使協定による計画的付与(有給休暇を使って一斉に休む方法)で組んでいる会社では、取得率が高く出ます。令和7年の就労条件総合調査では、計画的付与の制度がある会社は全体の40.8%でした。率の高さが、自分で選んで休める日の多さとは限らない点に注意が必要です。

交替制の職場は休み方が違う

24時間動く工場の交替制勤務では、休日の曜日が固定されないことがあります。休日の数え方や夜勤の扱いは、交替制の工場の会社選びで詳しく扱っています。

メーカーの休みやすさを確かめる手順

  1. 業種の目安を知る:製造業の取得率の中央値は74.9%、取得日数は13.7日。これを基準にする
  2. 応募先の数字を探す:しょくばらぼで取得率と取得日数、残業時間の公表値を見る。会社名鑑の製造業の有休取得率の一覧からも探せる
  3. 率と日数を並べる:率が高く日数が少ない会社は、付与日数が少ない(勤続の短い人が多い)可能性がある
  4. 一斉休業の扱いを聞く:夏季・年末年始の休みが有給休暇の計画的付与か、会社の休日かを求人票や面接で確かめる
  5. 配属先の勤務形態を確かめる:日勤か交替制か、繁忙期はいつかを聞き、会社全体の数字との違いを考える

有給休暇の取得率の全体の読み方は有給取得率の平均と読み方に、残業の数字の探し方は残業が少ない会社の探し方にまとめています。

読み違えやすい点

  • 業種の中央値を応募先の数字と思う:同じ製造業でも半数の会社が66〜83%の範囲に散らばっています
  • 取得率だけで休みやすさを決める:一斉休業を計画的付与にしている会社では、率が高くても自由に使える日は少ないことがあります
  • 年度の違う数字を比べる:会社の公表値は年度がそろっていないことがあります
  • 有給休暇だけで判断する:製造業は残業がやや長めの業種です。休暇と残業を並べて見ます

現場の仕事の会社選びの記事は、製造・建設・物流の会社選びの一覧から探せます。

まとめ

  • 令和7年就労条件総合調査で製造業の取得率は72.8%(全産業66.9%)、取得日数は13.7日
  • 会社名鑑で取得率を公表している製造業3,572社の中央値は74.9%で、業種別で上位
  • 残業は月平均の中央値13.6時間と、全業種の11.0時間よりやや長い
  • 一斉休業を計画的付与で組んでいると率が高く出るので、休日の扱いを確かめる
  • 応募先の取得率・取得日数・残業時間を並べ、業種の中央値と比べる

参考資料