北海道に本店がある会社の働き方の数字は、残業は短めの会社が多い一方で、男性の育休取得率が全国の半分ほどという形です。Mixum の会社名鑑で、従業員101人以上の会社が公表している数字を集計すると、法定時間外・休日労働の月平均の中央値は10.2時間(全国12.0時間)、男性の育休取得率は33.1%(全国66.7%)でした。
北海道は医療・福祉、運輸、宿泊・飲食サービスの会社が多く、製造業の会社が全国の半分ほどの割合です。この記事では、その業種の構成をならした比べ方と、北海道ならではの数字の偏りを整理します。
集計の条件
会社ごとの数字は、厚生労働省の「しょくばらぼ」と「女性の活躍推進企業データベース」で会社が自ら公表しているものです。Mixum の会社名鑑で、本店の所在地が北海道で従業員101人以上の会社を集計しました(2026年9月18日に取り込んだ公表値を、2026年10月2日に集計)。率の指標は100%以下の値、残業時間は0より大きい値だけを使っています。
数字を公表している会社だけの値で、北海道の会社全体の平均ではありません。総合点や会社の順位は付けず、指標ごとに働きやすさを数字で比べます。会社名鑑に載っている従業員101人以上の会社のうち、北海道に本店があるのは977社です。
業種の構成:医療・福祉が2割超、製造は全国の半分
| 業種 | 北海道の割合 | 全国の割合 |
|---|---|---|
| 医療・福祉 | 22.4% | 15.5% |
| 卸売・小売 | 18.9% | 14.6% |
| その他のサービス | 12.4% | 13.5% |
| 製造 | 11.6% | 24.1% |
| 運輸・郵便 | 9.5% | 6.5% |
| 建設 | 5.2% | 4.2% |
| 宿泊・飲食サービス | 5.0% | 3.7% |
| 複合サービス | 1.7% | 1.0% |
医療・福祉は全国の約1.4倍で、北海道で最も多い業種です。運輸・郵便も約1.5倍、宿泊・飲食サービスは約1.4倍です。製造は全国の半分以下の割合にとどまります。
5つの数字の中央値
| 指標 | 公表している社数 | 北海道の中央値 | 全国の中央値 | 業種の構成をならした差 |
|---|---|---|---|---|
| 有休取得率 | 333社 | 70.0% | 72.2% | +0.1 |
| 法定時間外・休日労働(月平均) | 313社 | 10.2時間 | 12.0時間 | ±0 |
| 男性の育休取得率 | 386社 | 33.1% | 66.7% | −29.3 |
| 女性管理職比率 | 730社 | 10.0% | 10.5% | −2.7 |
| 男女の賃金の差異(男性=100) | 649社 | 70.4 | 72.1 | −1.1 |
「業種の構成をならした差」は、会社ごとに「その会社の数字」と「同じ業種の全国の中央値」の差を出し、その差の中央値を求めたものです。
有休と残業:業種の構成で説明できる差
有休取得率は70.0%と全国より2ポイントほど低いものの、業種をならすと差は+0.1で全国並みです。全国では取得率が低めの卸売・小売や医療・福祉が多いため、そのままの中央値が下がって見えています。その他のサービス(47社の中央値78.0%、全国の業種の中央値74.0%)は全国の同業より高めでした。
残業は月10.2時間で、公表している会社が50社以上ある38都道府県の中では短いほうです。月10時間以下の会社が49.2%と約半数にのぼります。ただ、残業の少ない医療・福祉(75社の中央値4.3時間)の法人が多いことが効いていて、業種をならすと全国との差は0でした。月30時間以上の会社も6.4%あり、短い会社と長い会社の両方がある分布です。医療・福祉の働き方は医療・福祉の有休取得率と男性の育休にまとめています。
男性の育休:業種をならしても全国を大きく下回る
男性の育休取得率は、北海道の数字の中で全国との差が最も大きい指標です。中央値33.1%は、公表している会社が50社以上ある45都道府県の中で低いほうから3番目で、業種をならした差も−29.3でした。取得率0%の会社は38.9%あり、100%の会社は20.7%です。
| 業種 | 北海道の中央値 | 全国の業種の中央値 |
|---|---|---|
| 卸売・小売(97社) | 5.0% | 55.0% |
| その他のサービス(41社) | 20.0% | 57.1% |
| 製造(38社) | 50.0% | 74.2% |
| 医療・福祉(86社) | 50.0% | 61.2% |
とくに卸売・小売は、97社の中央値が5.0%で、全国の同業の55.0%と大きく離れています。半数以上の会社で、男性の育休取得率が1割に届いていないということです。育休を考えている人は、業種や地域で判断せず、北海道で男性の育休取得率が高い会社のように、会社ごとの数字を確かめてください。取得率の読み方は男性の育休取得率が高い会社で扱っています。
女性管理職:業種をならすと全国より低め
女性管理職比率の中央値は10.0%で全国とほぼ同じですが、比率が高く出やすい医療・福祉の法人が多いことを差し引くと、業種をならした差は−2.7でした。運輸・郵便は59社の中央値が0%で、半数以上の会社に女性の管理職がいません。宿泊・飲食サービス(38社で8.8%、全国の業種の中央値14.3%)や医療・福祉(177社で44.0%、同50.0%)も全国の同業を下回っています。
国の認定:くるみんプラスは東京都に次ぐ8社
厚生労働省の一覧(2026年7月末時点)では、北海道のくるみんは102社、プラチナくるみんは9社です。不妊治療と仕事の両立の認定であるくるみんプラス・プラチナくるみんプラスは8社で、東京都の62社に次いで多くなっています。くるみんの社数は福岡県(103社)とほぼ同じです。
国の統計で見る北海道
令和7年賃金構造基本統計調査は、北海道にある事業所で働く人の数字です。
| 項目 | 北海道 | 全国 |
|---|---|---|
| 平均年齢 | 45.8歳 | 44.4歳 |
| 平均勤続年数 | 12.0年 | 12.7年 |
| 女性の平均勤続年数 | 9.5年 | 10.4年 |
| 超過実労働時間(月) | 11時間 | 11時間 |
| 所定内給与額 | 297.1千円 | 340.6千円 |
| 年間賞与その他特別給与額 | 792.0千円 | 1,009.6千円 |
平均年齢は全国より1.4歳高く、平均勤続年数は0.7年短くなっています。女性の平均勤続年数9.5年は、沖縄県、大阪府に次いで短い値です。一方、女性の所定内給与額は男性の78.7%(男性325.2千円、女性255.8千円)で、全国の76.6%より男女の差が小さく出ています。年収の目安は466.6万円です(都道府県別の平均年収)。
北海道で応募先を比べる手順
- 一覧で候補を出す:会社名鑑の北海道の会社の一覧から、業種と所在地で候補を絞ります
- 育休は会社ごとに確かめる:卸売・小売やサービスでは、地域の中央値が低く出ています。応募先の取得率と取得日数を確かめます
- 残業は分布で見る:中央値は短めでも、月30時間以上の会社もあります。求人票の固定残業代の時間と、季節による繁閑を面接で尋ねます
- 配属先を確かめる:道内は移動の距離が長いため、本店と勤務地が離れていることがあります。配属先の事業所と、転勤の有無を確かめます
読み違えやすい点
- 残業の短さを道全体の特徴と思う:医療・福祉の多さによる部分が大きく、業種をならすと全国並みです
- 男性の育休の中央値を応募先に当てはめる:0%の会社が4割近くある一方、100%の会社も2割あります
- 本店の所在地を勤務地と思う:会社全体の数字で、道外の支店で働く人も入っています
- 国の統計と会社の公表値を混ぜる:国の統計は道内の事業所で働く人の数字です
まとめ
- 北海道に本店がある従業員101人以上の会社は977社で、医療・福祉が22.4%と最も多く、製造は11.6%
- 残業は月10.2時間と短めで、月10時間以下の会社が約半数。業種をならすと全国並み
- 男性の育休取得率は33.1%で、業種をならしても全国より29.3ポイント低い。卸売・小売の中央値は5.0%
- 女性管理職比率は業種をならすと全国より低め。運輸・郵便の中央値は0%
- くるみんプラス・プラチナくるみんプラスは8社で、東京都に次いで多い(2026年7月末時点)
- 国の統計では平均年齢が高めで、男女の給与の差は全国より小さい