福岡県に本店がある会社の働き方の数字は、有休と残業は全国並みで、男性の育休は全国より低めという形です。Mixum の会社名鑑で、従業員101人以上の会社が公表している数字を集計すると、有休取得率の中央値は71.9%(全国72.2%)、法定時間外・休日労働の月平均は12.1時間(全国12.0時間)、男性の育休取得率は50.0%(全国66.7%)でした。

福岡県は卸売・小売の会社が多く、製造業の会社が全国より少ない構成です。この記事では、その構成をならした比べ方、卸売・小売で目立つ男性の育休の差、国の認定と国の統計の数字を整理します。

集計の条件

会社ごとの数字は、厚生労働省の「しょくばらぼ」と「女性の活躍推進企業データベース」で会社が自ら公表しているものです。Mixum の会社名鑑で、本店の所在地が福岡県で従業員101人以上の会社を集計しました(2026年9月18日に取り込んだ公表値を、2026年10月2日に集計)。率の指標は100%以下の値、残業時間は0より大きい値だけを使っています。

数字を公表している会社だけの値で、福岡県の会社全体の平均ではありません。総合点や会社の順位は付けず、指標ごとに働きやすさを数字で比べます。会社名鑑に載っている従業員101人以上の会社のうち、福岡県に本店があるのは1,067社です。

業種の構成:卸売・小売が最も多い

業種福岡県の割合全国の割合
卸売・小売18.8%14.6%
製造17.9%24.1%
医療・福祉17.0%15.5%
その他のサービス14.1%13.5%
運輸・郵便8.0%6.5%
情報通信4.2%6.1%
不動産・物品賃貸2.6%1.7%
電気・ガス・熱供給・水道1.2%0.4%

全国では製造が最も多い業種ですが、福岡県では卸売・小売が最も多くなっています。不動産・物品賃貸は全国の約1.5倍、電気・ガス・熱供給・水道は13社と少ないものの、割合では全国の3倍です。

5つの数字の中央値

指標公表している社数福岡県の中央値全国の中央値業種の構成をならした差
有休取得率312社71.9%72.2%+0.5
法定時間外・休日労働(月平均)320社12.1時間12.0時間−0.2時間
男性の育休取得率481社50.0%66.7%−11.2
女性管理職比率794社9.9%10.5%−1.2
男女の賃金の差異(男性=100)770社71.272.1−0.2

「業種の構成をならした差」は、会社ごとに「その会社の数字」と「同じ業種の全国の中央値」の差を出し、その差の中央値を求めたものです。

有休:業種をならすと全国よりやや高い

有休取得率は、そのままの中央値では43都道府県の中ほどですが、業種をならした差は+0.5で、上位に入ります。全国では取得率が低めの卸売・小売の会社が多いため、そのままの中央値が下がって見えている形です。

  • 卸売・小売:福岡県62社の中央値68.8%(全国の業種の中央値65.0%)
  • 医療・福祉:41社で76.6%(同72.6%)
  • その他のサービス:44社で68.8%(同74.0%)

取得率が50%未満の会社は13.8%で、取得率の低い会社も一定数あります。卸売・小売の取得率は小売業の有給取得率で扱っています。

残業:月10時間以下の会社が4割超

残業の中央値は全国とほぼ同じ12.1時間で、月10時間以下の会社が42.8%ありました。医療・福祉(54社の中央値2.9時間、全国の業種の中央値4.0時間)は短め、製造(57社で17.1時間、同14.0時間)は長めです。

男性の育休:卸売・小売で差が大きい

男性の育休取得率は、福岡県の数字の中で全国との差がいちばん大きい指標です。中央値50.0%は、公表している会社が50社以上ある45都道府県の中で低いほうに入り、業種をならした差も−11.2でした。取得率0%の会社は24.7%、100%の会社は21.4%と、会社ごとの差が大きく開いています。

業種福岡県の中央値全国の業種の中央値
卸売・小売(116社)36.0%55.0%
製造(91社)53.3%74.2%
その他のサービス(56社)50.0%57.1%
医療・福祉(79社)66.0%61.2%
情報通信(31社)76.0%78.3%

最も会社の多い卸売・小売で全国の同業より19ポイント低く、製造でも21ポイント低くなっています。反対に医療・福祉は全国の同業を上回りました。育休を考えている人は、業種ではなく応募先の数字を必ず確かめてください。取得率の読み方は男性の育休取得率が高い会社にまとめています。

女性管理職:高い会社と低い会社に分かれる

女性管理職比率の中央値は9.9%で全国とほぼ同じですが、分布に特徴があります。30%以上の会社は25.8%で、全国の23.1%より多く、0%の会社も20.3%と全国の17.7%より多くなっています。医療・福祉(139社の中央値51.2%)の法人が多い一方、製造(144社で3.0%)や建設(39社で2.8%)では低く、業種で大きく分かれた形です。

国の認定と国の統計

厚生労働省の一覧(2026年7月末時点)では、福岡県のくるみんは103社、プラチナくるみんは17社、くるみんプラス・プラチナくるみんプラスは3社です。九州・沖縄の8県の中では、くるみんの社数が最も多い県です。

令和7年賃金構造基本統計調査(福岡県にある事業所で働く人の数字)は次のとおりです。

項目福岡県全国
平均年齢44.4歳44.4歳
平均勤続年数12.0年12.7年
超過実労働時間(月)11時間11時間
女性の超過実労働時間(月)6時間7時間
所定内給与額314.3千円340.6千円
年間賞与その他特別給与額890.9千円1,009.6千円

平均勤続年数は12.0年で、全国より0.7年短くなっています。年収の目安は500.3万円で47都道府県の中で17番目、九州・沖縄では最も高い水準です(都道府県別の平均年収)。

福岡で応募先を比べる手順

  1. 一覧で候補を出す:会社名鑑の福岡県の会社の一覧から、業種と所在地で候補を絞ります
  2. 男性の育休は会社ごとに見る:福岡県で男性の育休取得率が高い会社で、取得率の高い会社を確かめます。取得日数は面接で尋ねます
  3. 卸売・小売は有休と育休を並べる:福岡県の卸売・小売は、有休は全国の同業より高く、男性の育休は低めでした。指標ごとに分けて確かめます
  4. 勤続年数を確かめる:県全体の勤続年数は短めです。応募先の平均勤続年数や、中途で入った人の定着の様子を尋ねます

読み違えやすい点

  • 県の中央値を応募先に当てはめる:男性の育休は0%の会社と100%の会社が、どちらも2割以上あります
  • 卸売・小売の多さを見落とす:有休のそのままの中央値は、業種の構成で下がって見えています
  • 本店の所在地を勤務地と思う:会社全体の数字で、県外の支店で働く人も入っています
  • 国の統計と会社の公表値を混ぜる:国の統計は県内の事業所で働く人の数字です

まとめ

  • 福岡県に本店がある従業員101人以上の会社は1,067社で、卸売・小売が18.8%と最も多い
  • 有休取得率は71.9%、残業は月12.1時間で、どちらも全国並み。業種をならすと有休はやや高め
  • 男性の育休取得率は50.0%で、卸売・小売と製造で全国の同業より20ポイント前後低い
  • 女性管理職比率は30%以上の会社と0%の会社が、どちらも全国より多い
  • くるみんは103社で、九州・沖縄の8県で最も多い(2026年7月末時点)
  • 国の統計では、年収の目安が九州・沖縄で最も高く、平均勤続年数は12.0年と短め

参考資料