コンサルや専門職の残業は、統計の上では全産業と同じくらいです。厚生労働省の毎月勤労統計調査の2025年の確報で、学術研究,専門・技術サービス業(コンサル、設計、士業の事務所、研究機関など)のフルタイムの人(一般労働者)の所定外労働時間は月14.2時間と、調査産業計の13.2時間を1時間上回る程度でした。
会社が自ら公表している数字では、法定時間外・休日労働の月平均を公表している634社の中央値は11.4時間で、全業種の11.0時間とほぼ同じです。ただし会社による差は大きく、また専門職には裁量労働制が使われることがあるため、数字の意味を確かめてから比べる必要があります。
国の統計で見る専門サービス業
労働時間
毎月勤労統計調査(常用労働者5人以上の事業所)の2025年の年平均です。
| 項目 | 学術研究,専門・技術サービス業 | 調査産業計 |
|---|---|---|
| 総実労働時間(一般労働者) | 158.5時間 | 160.5時間 |
| 所定内労働時間(一般労働者) | 144.3時間 | 147.3時間 |
| 所定外労働時間(一般労働者) | 14.2時間 | 13.2時間 |
| 出勤日数(一般労働者) | 18.8日 | 19.2日 |
総実労働時間は全産業より短く、所定外の時間がやや長いという形です。
有給休暇と人の出入り
| 項目 | 学術研究,専門・技術サービス業 | 全産業 |
|---|---|---|
| 有給休暇の付与日数 | 18.4日 | 18.1日 |
| 有給休暇の取得日数 | 12.3日 | 12.1日 |
| 有給休暇の取得率 | 66.8% | 66.9% |
| 離職率(一般労働者・令和7年) | 10.0% | 11.4% |
| 入職率(一般労働者・令和7年) | 11.1% | 12.0% |
有給休暇の数字は令和7年就労条件総合調査(常用労働者30人以上の企業)、離職率・入職率は令和7年雇用動向調査のフルタイムの人の数字です。どちらも全産業とほぼ同じ水準でした。
この業種には、経営コンサルタント、法律・会計・税理士などの事務所、デザインや広告の会社、建築設計や測量の会社、研究所などが入っています。
会社が公表している数字の中央値
会社ごとの数字は、厚生労働省の「しょくばらぼ」と「女性の活躍推進企業データベース」で、会社が自ら公表しています。Mixum の会社名鑑で、専門・技術サービス業の会社の公表値を集計しました(2026年9月18日に取り込んだ公表値を、2026年10月2日に集計)。
| 項目 | 公表している社数 | 4分の1の会社 | 中央値 | 4分の3の会社 |
|---|---|---|---|---|
| 法定時間外・休日労働の月平均 | 634社 | 5.4時間 | 11.4時間 | 18.8時間 |
| 有給休暇の取得率 | 486社 | 60.1% | 72.5% | 80.5% |
| 正社員の有給休暇の取得日数 | 243社 | 11.5日 | 13.4日 | 15.0日 |
| 平均勤続年数 | 245社 | 7.3年 | 11.7年 | 14.8年 |
| 男性の育児休業取得率 | 490社 | 0% | 66.7% | 100% |
法定時間外の月平均が10時間以下の会社は45.0%、20時間以下は79.7%、30時間以上は3.8%でした。従業員101人以上の会社に絞ると、中央値は13.9時間とやや長くなります。
これは数字を公表している会社だけの値で、業種全体の平均ではありません。
裁量労働制の扱いを確かめる
専門職の残業の数字を読むときは、裁量労働制が使われているかを確かめます。
専門業務型裁量労働制は、仕事の進め方や時間の配分を働く人に大きくゆだねる必要がある業務について、労使協定で決めた時間を働いたものとみなす制度です。対象は法令で決められた20の業務に限られ、たとえば次のものが含まれます。
- システムコンサルタントの業務、情報処理システムの分析・設計の業務
- 中小企業診断士、公認会計士、弁護士、税理士、弁理士、不動産鑑定士、建築士の業務
- M&Aアドバイザーの業務(2024年4月に追加)
- デザインの考案、研究開発の業務
2024年4月からは、この制度を使うときに本人の同意を得ることが必要になり、同意しなかったことを理由に不利な扱いをすることは禁じられています。同意を撤回する手続きも決めておく必要があります。
みなしの時間で働いたことになる人が多い会社では、公表される残業の数字が実際に働いた時間と離れることがあります。応募先が裁量労働制を使っているなら、みなしの時間が何時間か、実際の労働時間をどう把握しているかを確かめます。
応募先の働き方を確かめる手順
- 業種の目安を知る:会社の法定時間外の中央値は11.4時間、101人以上の会社では13.9時間
- 応募先の数字を探す:しょくばらぼで残業時間と取得率を見る。会社名鑑の専門・技術サービスの残業が少ない会社の一覧からも探せる
- 労働時間の制度を確かめる:裁量労働制・固定残業代の有無、みなしの時間や固定残業代の時間数を求人票で見る
- 繁忙の形を聞く:案件の締め切りや決算期など、忙しい時期の働き方と休みの取り方を面接で尋ねる
- 定着を見る:平均勤続年数の中央値は11.7年。応募先の数字と比べる
数字の探し方の全体は残業が少ない会社の探し方に、IT企業の残業の数字はIT業界の残業時間にまとめています。
読み違えやすい点
- コンサルの仕事がすべて裁量労働制だと思う:対象は法令で決められた業務だけです
- 裁量労働制の残業の数字を実際の時間と思う:みなしの時間で数えられていることがあります
- 業種の数字をコンサルだけの数字と思う:設計、士業、研究機関なども含んだ数字です
- 会社全体の平均を配属先に当てはめる:案件や部署で忙しさが違います
まとめ
- 2025年の毎月勤労統計調査で、学術研究,専門・技術サービス業のフルタイムの人の所定外労働時間は月14.2時間(調査産業計13.2時間)
- 会社名鑑で公表している634社の法定時間外の中央値は11.4時間、30時間以上は3.8%
- 有給休暇の取得率は国の統計で66.8%と全産業並み
- 専門業務型裁量労働制の対象は20の業務で、2024年4月から本人の同意が必要
- みなしの時間と実際の時間の把握の仕方を確かめてから、残業の数字を比べる