教育業界の残業は、国の統計と会社の公表値で見え方が違います。厚生労働省の毎月勤労統計調査の2025年の確報で、教育,学習支援業のフルタイムの人(一般労働者)の所定外労働時間は月14.8時間と、調査産業計の13.2時間より長めでした。
一方、会社や法人が自ら公表している数字では、法定時間外・休日労働の月平均を公表している198社の中央値が8.2時間と、全業種の11.0時間より短くなっています。有給休暇の取得率は、国の統計で60.5%、会社の公表値の中央値で62.7%と、どちらも全体より低めです。この業種では、残業より休みの取りにくさが目立つ数字になっています。
国の統計で見る教育,学習支援業
労働時間
毎月勤労統計調査(常用労働者5人以上の事業所)の2025年の年平均です。
| 項目 | 教育,学習支援業 | 調査産業計 |
|---|---|---|
| 総実労働時間(一般労働者) | 157.2時間 | 160.5時間 |
| 所定内労働時間(一般労働者) | 142.4時間 | 147.3時間 |
| 所定外労働時間(一般労働者) | 14.8時間 | 13.2時間 |
| 出勤日数(一般労働者) | 19.0日 | 19.2日 |
所定内の時間は全産業より月5時間ほど短く、その分、所定外の時間がやや長いという形です。総実労働時間は全産業より短くなっています。
有給休暇と人の出入り
| 項目 | 教育,学習支援業 | 全産業 |
|---|---|---|
| 有給休暇の付与日数 | 18.3日 | 18.1日 |
| 有給休暇の取得日数 | 11.1日 | 12.1日 |
| 有給休暇の取得率 | 60.5% | 66.9% |
| 離職率(一般労働者・令和7年) | 9.8% | 11.4% |
| 入職率(一般労働者・令和7年) | 9.4% | 12.0% |
有給休暇の数字は令和7年就労条件総合調査(常用労働者30人以上の民間企業)、離職率・入職率は令和7年雇用動向調査のフルタイムの人の数字です。与えられる日数は全産業並みですが、取得は1日少なく、取得率は全産業を6ポイント余り下回りました。フルタイムの人の離職率は9.8%と、全産業より低めです。
この業種には、学校、学習塾、習い事などの教室、図書館などの社会教育施設が入っています。働き方は職場の種類で大きく違います。
会社・法人が公表している数字の中央値
会社ごとの数字は、厚生労働省の「しょくばらぼ」と「女性の活躍推進企業データベース」で、会社や法人が自ら公表しています。Mixum の会社名鑑で、教育・学習支援の会社・法人の公表値を集計しました(2026年9月18日に取り込んだ公表値を、2026年10月2日に集計)。
| 項目 | 公表している数 | 4分の1 | 中央値 | 4分の3 |
|---|---|---|---|---|
| 法定時間外・休日労働の月平均 | 198 | 3.3時間 | 8.2時間 | 13.3時間 |
| 有給休暇の取得率 | 184 | 51.0% | 62.7% | 76.1% |
| 男性の育児休業取得率 | 315 | 0% | 42.0% | 75.0% |
| 管理職に占める女性の割合 | 632 | 16.2% | 26.2% | 44.5% |
法定時間外の月平均が10時間以下の会社・法人は62.6%、30時間以上は1.5%でした。有給休暇の取得率が50%未満は20.1%、80%以上は20.7%です。取得率の中央値62.7%は、公表している会社が50社以上ある業種の中で、宿泊業・飲食サービス業に次いで低い水準でした。
管理職に占める女性の割合の中央値は26.2%で、全業種の中央値(11.1%)を大きく上回ります。
これは数字を公表している会社・法人だけの値で、業種全体の平均ではありません。
国の統計と会社の数字が違う理由
国の統計の所定外労働時間(14.8時間)と、会社の公表値の中央値(8.2時間)には差があります。考えられる理由は次の3つです。
- 数える範囲が違う:所定外労働時間は会社が決めた所定の時間を超えた時間、会社が公表するのは法定の時間を超えた時間です。所定の時間が短い職場では、所定外の時間のほうが長く出ます。教育,学習支援業は所定内の時間が全産業より短い業種です
- 平均と中央値の違い:一部の長い職場が平均を押し上げることがあります
- 公表している会社の偏り:数字を公表しているのは、働き方の改善に取り組んでいる会社が中心と考えられます
応募先の働き方を確かめる手順
- 業種の目安を知る:会社の法定時間外の中央値は8.2時間、取得率の中央値は62.7%
- 応募先の数字を探す:しょくばらぼで残業時間と取得率を見る。会社名鑑の教育・学習支援の残業が少ない会社の一覧からも探せる
- 勤務の時間帯を確かめる:学習塾は夕方から夜の授業が中心になるなど、勤務の時間帯が職場で違うので、始業と終業の時刻を求人票で見る
- 繁忙期を聞く:講習の期間や入試の前後、学期の始まりなど、忙しい時期の勤務と休みの取り方を面接で尋ねる
- 時間外の扱いを確かめる:授業の準備や報告書の作成、保護者との面談の時間がどう扱われるかを確かめる
数字の探し方の全体は残業が少ない会社の探し方に、有給休暇の数字の読み方は有給取得率の平均と読み方にまとめています。
読み違えやすい点
- 国の統計と会社の数字を直接比べる:所定外と法定時間外では数える範囲が違います
- 学校と塾を同じに見る:勤務の時間帯や繁忙期が違うので、応募先の種類で確かめます
- 公立学校の教員の話と混ぜる:公立学校の教員は地方公務員で、決まりが違います
- 残業の短さだけで判断する:この業種では休みの取得率が低めなので、取得率と並べます
まとめ
- 2025年の毎月勤労統計調査で、教育,学習支援業のフルタイムの人の所定外労働時間は月14.8時間(調査産業計13.2時間)
- 会社名鑑で公表している198社の法定時間外の中央値は8.2時間と短め
- 有給休暇の取得率は国の統計で60.5%、会社の公表値の中央値で62.7%と、どちらも全体より低い
- 管理職に占める女性の割合の中央値は26.2%と高い
- 勤務の時間帯・繁忙期・準備の時間の扱いを求人票と面接で確かめる