不動産業界の残業は、国の統計では全産業よりやや長めです。厚生労働省の毎月勤労統計調査の2025年の確報で、不動産業・物品賃貸業のフルタイムの人(一般労働者)の所定外労働時間は月14.5時間で、調査産業計の13.2時間を1.3時間上回りました。
一方、会社が自ら公表している数字では、法定時間外・休日労働の月平均を公表している288社の中央値は11.3時間で、全業種の11.0時間とほぼ同じでした。有給休暇の取得率の中央値は74.2%と、全業種(71.7%)より高めです。国の統計と会社の公表値で見え方が違うので、業種の平均で判断せず、応募先の数字を定義をそろえて比べるのが確実です。
国の統計で見る不動産業・物品賃貸業
労働時間
毎月勤労統計調査(常用労働者5人以上の事業所)の2025年の年平均です。
| 項目 | 不動産業・物品賃貸業 | 調査産業計 |
|---|---|---|
| 総実労働時間(一般労働者) | 162.9時間 | 160.5時間 |
| 所定内労働時間(一般労働者) | 148.4時間 | 147.3時間 |
| 所定外労働時間(一般労働者) | 14.5時間 | 13.2時間 |
| 出勤日数(一般労働者) | 19.3日 | 19.2日 |
所定内の時間と出勤日数は全産業とほぼ同じで、所定外の時間がやや長いという形です。
有給休暇と人の出入り
| 項目 | 不動産業,物品賃貸業 | 全産業 |
|---|---|---|
| 有給休暇の付与日数 | 17.8日 | 18.1日 |
| 有給休暇の取得日数 | 11.6日 | 12.1日 |
| 有給休暇の取得率 | 65.5% | 66.9% |
| 離職率(一般労働者・令和7年) | 10.5% | 11.4% |
| 入職率(一般労働者・令和7年) | 12.6% | 12.0% |
有給休暇の数字は令和7年就労条件総合調査(常用労働者30人以上の企業)、離職率・入職率は令和7年雇用動向調査のフルタイムの人の数字です。どちらも全産業とほぼ同じ水準でした。
この業種には、土地や建物の売買・賃貸・管理を行う不動産業と、機械や車などを貸すリース・レンタルの物品賃貸業が入っています。不動産の会社だけの数字ではない点に注意が必要です。
会社が公表している数字の中央値
会社ごとの数字は、厚生労働省の「しょくばらぼ」と「女性の活躍推進企業データベース」で、会社が自ら公表しています。Mixum の会社名鑑で、不動産業・物品賃貸業の会社の公表値を集計しました(2026年9月18日に取り込んだ公表値を、2026年10月2日に集計)。
| 項目 | 公表している社数 | 4分の1の会社 | 中央値 | 4分の3の会社 |
|---|---|---|---|---|
| 法定時間外・休日労働の月平均 | 288社 | 5.3時間 | 11.3時間 | 18.0時間 |
| 有給休暇の取得率 | 284社 | 67.0% | 74.2% | 82.6% |
| 男性の育児休業取得率 | 340社 | 25.0% | 71.4% | 100% |
| 管理職に占める女性の割合 | 590社 | 3.8% | 10.0% | 20.0% |
法定時間外の月平均が10時間以下の会社は44.1%、30時間以上は3.8%でした。従業員101人以上の会社に絞ると中央値は14.0時間で、規模の大きい会社のほうが長めでした。有給休暇の取得率が80%以上の会社は34.5%あります。
これは数字を公表している会社だけの値で、業種全体の平均ではありません。会社の取得率の中央値(74.2%)が国の統計(65.5%)より高いのは、働き方の改善に取り組んでいる会社が数字を公表しやすいことの表れとも考えられます。
不動産の仕事の働き方で確かめること
事業場外みなし労働時間制
物件の案内などで外に出る仕事では、事業場外みなし労働時間制が使われることがあります。会社の外で働き、労働時間を算定しがたい場合に、決めた時間を働いたものとみなす制度です。ただし、携帯電話などで随時指示を受けながら働く場合など、時間を把握できる場合には適用されないとされています。求人票や面接で、どの労働時間の制度が適用されるかを確かめます。
休日の曜日と年間休日
法律が求めるのは、毎週少なくとも1日、または4週間を通じて4日以上の休日で、土日である必要はありません。顧客の都合に合わせて土日に営業する会社では、平日が休日になります。休日の曜日だけでなく、年間休日の日数で比べるのが確実です。
応募先の働き方を確かめる手順
- 業種の目安を知る:会社の法定時間外の中央値は11.3時間、有給休暇の取得率は74.2%
- 応募先の数字を探す:しょくばらぼで残業時間と取得率を見る。会社名鑑の不動産・物品賃貸の残業が少ない会社の一覧からも探せる
- 労働時間の制度を確かめる:事業場外みなし、固定残業代の有無と時間数を求人票で見る
- 休日の形を確かめる:休日の曜日、年間休日の数、繁忙期の休みの取り方を面接で尋ねる
- 仕事の種類を確かめる:売買の仲介、賃貸の仲介、管理、開発で働き方が違うので、配属される仕事を確かめる
数字の探し方の全体は残業が少ない会社の探し方に、有給休暇の数字の読み方は有給取得率の平均と読み方にまとめています。
読み違えやすい点
- 国の統計と会社の数字を直接比べる:所定外と法定時間外では数える範囲が違い、公表している会社にも偏りがあります
- 業種の数字を不動産だけの数字と思う:リース・レンタルの会社も含まれています
- みなしの時間を実際の時間と思う:事業場外みなしが適用されると、残業の数字は実際より少なく見えることがあります
- 会社全体の平均を配属先に当てはめる:仕事の種類や店舗で働き方が変わります
30代からの転職で使える記事は、30代からの転職の一覧にまとめています。
まとめ
- 2025年の毎月勤労統計調査で、不動産業・物品賃貸業の一般労働者の所定外労働時間は月14.5時間(調査産業計13.2時間)
- 会社名鑑で公表している288社の法定時間外の中央値は11.3時間、取得率の中央値は74.2%
- 国の統計の取得率は65.5%で、公表している会社の数字は高めに出ている
- 事業場外みなし・固定残業代・休日の曜日と年間休日を求人票と面接で確かめる
- 業種にはリース・レンタルも入るので、応募先の数字で判断する