転職の回数が多くても、履歴書の職歴欄は省かずに、古い順に全部書くのが基本です。そのうえで、1社を「入社」と「退社」の 2 行に絞り、派遣やアルバイトの経歴はまとめて書く形を使えば、ほとんどの場合は欄に収まります。仕事の中身や転職の事情は、職務経歴書と面接で伝える役割分担にします。

この記事では、ハローワークの「応募書類の作り方」の記載例と、厚生労働省の履歴書の様式例をもとに、職歴の多い人の職歴欄のまとめ方を整理します。

履歴書と職務経歴書の役割を分ける

「応募書類の作り方」は、履歴書を採用担当者がまず目を通す審査書類と位置づけ、職歴は入社・退社を古い順に書く形を基本にしています。職務経歴書を出さない場合は、事業内容や職務内容を職歴欄に書き添える方法も示されていますが、職歴が多い人は、職歴欄に書き込むほど欄が足りなくなります。

そこで、次のように分けます。

書類職歴の多い人が載せること
履歴書の職歴欄会社名・入社・退社の年月・退職理由(簡潔に)。雇用形態は( )書き
職務経歴書仕事の中身・実績。職務の種類ごとにまとめるキャリア式も選べる
面接転職が多かった理由と、次は長く勤める意思

履歴書で全体の流れを示し、職務経歴書で「何ができるか」を示す形です。職務経歴書の形式の選び方は職務経歴書の形式の選び方で整理しています。

職歴欄のまとめ方

正社員の転職が続いた場合

1社につき「株式会社○○ 入社」「株式会社○○ 一身上の都合により退職」の 2 行にします。「応募書類の作り方」の記載例 1 がこの形です。「退社」の代わりに「退職」と書いてもかまいません。会社名は「(株)」と略さず正式名称で書き、社名が変わった会社は当時の名称に「(現・○○)」を添えます。

派遣で複数の職場を経験した場合

派遣元に登録して複数の派遣先で働いた期間は、派遣先ごとに 2 行ずつ書くより、派遣登録の行の下に派遣先をまとめるほうが短く収まります。記載例 6 は、1 行目に「○○会社に派遣登録し、派遣スタッフとして次の職務に従事」と書き、その下に派遣先の会社名(業種)と仕事、期間を並べる形です。派遣期間が終わって辞めた場合は「派遣期間満了につき退職」と書く例があります。

アルバイト・パートが続いた場合

複数のアルバイトは、記載例 9 のように「以下の事業所にてアルバイトに従事(令和○年○月末まで)」と 1 行目でまとめ、その下に事業所名を並べられます。パートの場合も、「アルバイト」を「パート」に置き換えて同じ形で書けます。学業期間中のアルバイトは通常は書きませんが、卒業後のアルバイトや、応募先の仕事に関係するものは雇用形態を明記して書きます。

空白の期間がある場合

職業訓練を受けていた期間は、記載例 3 のように訓練の実施機関と科の名前、入所と修了の年月を書けます。家業を手伝っていた期間は「家業である○○業に従事」、個人事業主だった期間は「開業」「廃業」と書く用語法も示されています。

いまも働いている場合

職歴の最後の行に「現在に至る」と書き、退職の予定が決まっていれば「現在に至る(令和○年○月末退職予定)」のように添えます。全部書き終えたら、右寄せで「以上」と書きます。

退職理由は短く、そろえて書く

事情職歴欄での書き方の例
自分から辞めた一身上の都合により退職
会社の都合で辞めた会社都合により退職
会社の業績の悪化で希望退職に応じた会社業績不振により希望退職
派遣期間が終わった派遣期間満了につき退職
地元に戻った帰郷のため退職

「応募書類の作り方」は、職歴欄の退職理由は簡潔に書き、前向きな理由は志望の動機の欄で伝える形を勧めています。転職が多い人ほど、職歴欄で事情を長く説明したくなりますが、ここは事実を短く書くだけにとどめます。

書く手順

  1. 在籍した会社を全部書き出す。入社と退社の年月は、雇用契約書や源泉徴収票など手元の記録で確かめる
  2. 雇用形態ごとに分ける。正社員・契約社員・派遣・アルバイトを分け、派遣とアルバイトはまとめて書けるかを見る
  3. 1社 2 行で並べる。事業内容や職務内容の付記は省き、職務経歴書に回す
  4. 退職理由を表の言い方にそろえる
  5. 職務経歴書の年月と突き合わせる。同じ会社の入社・退社の年月が 2 つの書類で食い違わないかを確かめる
  6. 面接で聞かれる 2 つの問いの答えを用意する(次の節)

面接で問われることを先に考える

「職務経歴書の作り方」は、転職が多い場合の記載例をキャリア式で示し、「なぜ転職が多かったのか」「すぐにまた転職するのではないか」と問われることを想定して、転職の前向きな面と、長く勤める意思を伝えるよう勧めています。

長く勤める意思を伝えるには、「次の会社では何がそろっていれば続けられるか」を自分の言葉で説明できることが近道です。たとえば、平均勤続年数を公表している会社を見ると、どのくらい長く勤める人が多い会社かの手がかりになります。厚生労働省『しょくばらぼ』『女性の活躍推進企業データベース』で会社が公表している数字を、Mixum の会社名鑑で集計(2026年10月1日時点。公表値は2026年9月18日に取り込み)すると、平均勤続年数を公表している 2,755 社の中央値は 11.9 年、真ん中の半数は 8.3〜15.1 年でした。公表している会社だけの値で、業種全体の平均ではありません。会社ごとの数字は平均勤続年数が長い会社で確かめられます。

在籍が短い会社の書き方と、退職理由を次の条件と対にして説明する方法は、短期離職の職務経歴書で詳しく整理しています。

読み違えやすい点

職歴を省いても、印象は良くならない。短い在籍を省くと、職務経歴書や面接での説明と年月が合わなくなり、説明がかえって難しくなります。全部書いたうえで、短く整える方向で考えます。

様式例は決まりではない。厚生労働省の履歴書の様式例は、公正な採用選考の観点から示されたもので、法的な拘束力はないと説明されています。応募先が様式を指定していればそれに従い、指定がなければ、職歴欄の行の多い様式を選ぶこともできます。様式例では性別の欄は記載が任意で、通勤時間・扶養家族数・配偶者・配偶者の扶養義務の欄は設けられていません。

履歴書の職歴欄は新しい順にしない。新しい順やキャリア式で工夫できるのは、自由様式の職務経歴書のほうです。冒頭で経歴の全体を伝える書き方は職務経歴書の職務要約で扱っています。

迷ったら窓口で相談する。ハローワークでは、窓口で応募書類の書き方の相談ができ、履歴書や職務経歴書の書き方のセミナーも開かれています。

職務経歴書と面接に関するほかの記事は、キャリア・転職の一覧から探せます。

まとめ

  • 転職が多くても、履歴書の職歴欄は省かずに古い順に全部書く
  • 1社を入社と退社の 2 行に絞り、仕事の中身は職務経歴書に回す
  • 派遣は派遣登録の行の下に、複数のアルバイトは 1 行目でまとめて書く記載例がある
  • 退職理由は「一身上の都合により退職」のように短くそろえ、前向きな理由は志望の動機で伝える
  • 面接の「なぜ転職が多いのか」「またすぐ辞めないか」の答えを、書類と同時に用意する

参考資料