面接の逆質問で「業務の効率化は進んでいますか」と聞いても、返ってくる答えはほぼ「進めています」です。抽象的な質問には、抽象的な答えしか返りません。業務の効率を確かめたいなら、直近の具体的な場面を聞き、答えがどれだけ具体的かで読みます。
聞くのは、会議と資料に使う時間、承認に要る人数、過去の経緯を調べる場所、最近やめた作業の 4 つが軸です。聞く相手は面接の段階ごとに変え、人事には制度と全社の道具、配属先の上長には日々の手順を聞きます。面接で聞き切れないことは、内定後の面談と、労働条件を示す書面で確かめます。
抽象的に聞くと、なぜ中身が分からないのか
「効率化」の意味が、人によって違う
ある人にとっての効率化は、チャットの導入です。別の人にとっては、会議を減らしたことです。質問の言葉が抽象的だと、面接官は自分の頭にある「効率化」の中で、いちばん答えやすいものを答えます。その答えが、あなたの気にしている非効率と同じ話とは限りません。
面接官は、会社の代表として答える立場にある
面接官は、会社の良い面を伝える役割も負っています。「進んでいますか」と聞かれれば、進んでいる部分を答えるのが自然です。嘘をついているわけではなく、質問がそういう答えを引き出す形になっています。
人事は、現場の手順を知らないことがある
一次面接の担当者は人事部門の人であることが多く、配属先で毎日どう仕事が回っているかまでは把握していない場合があります。現場の手順を人事に聞いても、一般的な答えにしかなりません。
この 3 つを避けるには、過去の具体的な場面を、答えられる立場の人に聞くことです。
聞く質問と、答えの読み方
質問は、「いつ・何を・何人で・どこに」が答えに含まれる形にします。次の表は、質問の例と、答えの読み方の目安です。
| 確かめたいこと | 質問の例 | 具体的な答えの例 | 注意したい答え |
|---|---|---|---|
| 会議と資料の重さ | 「配属予定のチームでは、1 週間のうち会議と社内資料の作成にどのくらいの時間を使っていますか」 | 「定例は週 1 回 30 分で、資料は共有の文書に各自が書き込む形です」 | 「そこまで多くないと思います」だけで、数字や形が出てこない |
| 承認の段数 | 「たとえば 10 万円ほどの備品の購入や、取引先への見積もりの提出は、何人の承認で出せますか」 | 「課長の承認だけで出せます。ワークフローの画面で申請します」 | 「ケースによります」のあと、例が 1 つも出てこない |
| 情報の置き場 | 「途中から入った人は、案件の過去の経緯をどこで調べていますか」 | 「案件ごとのフォルダに経緯のメモがあり、まずそこを読んでもらいます」 | 「前任者に聞いてもらう形です」だけで終わる |
| 変える仕組み | 「最近、チームでやめた作業や、やり方を変えた作業はありますか」 | 「月次の集計を手作業でやめ、半年前から自動で出しています。言い出したのは現場の担当者です」 | 「特にないですね」「これから進めていきます」 |
| 入社後の最初の仕事 | 「入社して最初の 1 か月で、どの資料やツールに触れることになりますか」 | 具体的な業務名、ツール名、最初に読む手順書が出てくる | 「慣れてもらいながら」で、中身が語られない |
読むときのポイントは 3 つです。
- 数字か固有の手順が出てくるか。 「週 1 回 30 分」「課長の承認だけ」のように、数字や手順の名前が出てくる答えは、実際にそうなっている可能性が高いと考えられます。
- 誰が決めたかが出てくるか。 「現場の担当者が言い出した」のように、変えた人が語られる会社は、現場の提案が通る道があります。
- 困っていることも話してくれるか。 「ここはまだ手作業で、課題です」と弱い部分も話す答えは、隠していないという意味でむしろ信頼できます。
なお、決め方全般を確かめる基本の質問(直近で変えた業務と、その決め方、決まったことの残し方)は、残るか動くかの判断基準で紹介しています。この記事の質問は、そのうち日々の業務の進め方に絞って掘り下げたものです。職場の IT 環境のどこを見ればよいかの基準は、古いIT環境の会社の見分け方の表と合わせて使ってください。
面接の段階ごとに、聞く相手を変える
同じ質問を全部の面接で繰り返すより、答えられる人に答えられることを聞くほうが、中身のある答えが返ります。
| 段階 | 主な相手 | 聞くとよいこと |
|---|---|---|
| 一次面接 | 人事の担当者 | 全社で使っている道具、勤怠や申請の仕組み、研修の有無 |
| 現場の面接 | 配属先の上長 | 会議と資料の時間、承認の段数、情報の置き場、最近やめた作業 |
| 最終面接 | 役員 | 業務の進め方を変える方針と、そのための予算の考え方 |
| 内定後 | 配属先の社員、人事 | 1 日の流れ、最初の 1 か月の仕事。可能なら職場の見学や社員との面談をお願いする |
公開されている情報で分かることは、面接の前に調べておきます。調べれば分かることを聞くと、準備が足りないと受け取られかねません。公開情報から質問を組み立てる方法は公開データから逆質問を組み立てる方法で扱っています。
最後は書面で確かめる
面接で聞いた話は、口頭のままでは残りません。仕事の中身については、書面で確かめられる部分があります。厚生労働省の案内によると、2024年4月から、求人の募集の際や労働契約を結ぶ際に明示する労働条件に、「従事すべき業務の変更の範囲」と「就業の場所の変更の範囲」が加わりました。「変更の範囲」は入社直後だけでなく、将来の配置転換などの見込みも含みます。
内定後に受け取る労働条件の書面で、面接で聞いた業務の内容とこの範囲が合っているかを確かめてください。面接では「企画の仕事」と聞いていたのに、変更の範囲が「会社の定める業務」だけになっている、といった場合は、入社前に確認しておく価値があります。
角を立てない聞き方
業務の効率を聞く質問は、聞き方によっては「前の職場への不満を持ち込む人」「楽をしたい人」と受け取られます。次の形にすると、印象が変わります。
- 前職の不満から入らない。 「前の会社は紙ばかりだったので」ではなく、「私は前職で申請の手順を整理してきたので、御社での進め方を知りたいです」と、自分の経験から入ります。
- 理由を添える。 「入社後すぐに動けるように、仕事の流れを伺いたいです」と、なぜ聞くのかを先に言います。
- 数を絞る。 1 回の面接で聞くのは 2〜3 問にし、残りは次の段階に回します。表の質問を全部並べると、詰問のように聞こえます。
- 答えをその場でメモする。 段階ごとの答えを比べられるように、面接が終わったらすぐ書き留めます。
見極めで失敗しやすいところ
- ツールの名前を聞いて安心する。 新しいツールを使っていても、使い方の決まりがなければ、情報は散らばります。聞くべきは道具の名前ではなく、その道具で誰が何をどこに残しているかです。
- 1 人の面接官の答えで決める。 答えは、その人の部署やその人の見方に左右されます。人事と現場の上長で答えが食い違うなら、その食い違い自体が確かめるべき点です。
- 非効率がまったくない会社を探す。 どの会社にも手作業や古い手順は残っています。見るのは、非効率があるかどうかではなく、気づいたときに変える道があるかどうかです。
- 聞いた答えを、書面で確かめずに入社を決める。 口頭の話は、入社後に「そういう意味ではなかった」となりがちです。業務の範囲は書面で確認し、分からない点は内定の承諾前に聞きます。
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