面接で退職理由を聞かれたら、「辞めた事実」→「次の職場で求める条件」→「応募先を選んだ理由」の 3 段で、1 分以内に答えるのが基本です。本当の理由が人間関係や給与への不満でも、うそをつく必要はありません。前の会社や人を責める言い方を避け、起きていた事実と、次に何を求めているかに言い換えます。

この記事では、厚生労働省の令和7年雇用動向調査で、転職した人が前の職場をどんな理由で辞めているかを確かめたうえで、理由ごとの例文と、言い換えの手順をまとめます。

辞めた理由は人それぞれで、珍しいものではない

令和7年雇用動向調査は、2025 年の 1 年間に転職した人に、前の職場を辞めた理由を聞いています。

辞めた理由男性女性
定年・契約期間の満了16.1%9.8%
給料等収入が少なかった9.9%8.6%
職場の人間関係が好ましくなかった8.9%11.5%
労働時間、休日等の労働条件が悪かった8.5%12.9%
会社の将来が不安だった6.9%4.3%
会社都合5.3%6.2%
仕事の内容に興味を持てなかった5.2%4.6%
能力・個性・資格を生かせなかった5.2%3.9%

このほか「その他の個人的理由」が男性 16.8%、女性 23.8%あります。調査の説明では、これを除くと、男性は「定年・契約期間の満了」、女性は「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が最も多い理由です。

人間関係や給与、労働時間を理由に辞める人は珍しくありません。面接で聞く側も、そうした事情があること自体は分かっています。見ているのは、同じ理由でまた辞めないかと、それを自分の言葉で整理できているかです。

答え方の 3 段

段話すこと長さの目安
1. 事実何が起きていて、なぜ辞めたか1〜2 文
2. 次の条件次の職場で何を求めているか1 文
3. 応募先との結びつき応募先のどこがその条件に合うか1〜2 文

ハローワークの「職務経歴書の作り方」は、職務経歴書に書く退職理由について、「一身上の都合により退職」のように簡単に書き、具体的に伝えたい場合はていねいに、前向きな表現を心がけ、前の会社の批判は厳禁としています。面接で話すときも同じ考え方で組み立てます。

3 段目は、志望動機と重なります。「応募書類の作り方」は、志望の動機は面接で最もよく質問される項目だとしています。退職理由から志望動機へ自然につながるように話せると、答え全体に筋が通ります。

理由ごとの例文

例文は、職種と状況だけを示したものです。数字は言い方を示すための例で、実在の人や会社の値ではありません。自分の事実に合わせて入れ替えてください。

人間関係

前の職場では、少人数の部署で仕事の進め方を相談できる場が少なく、判断を一人で抱える場面が続きました。次は、担当の範囲がはっきりしていて、チームで進捗を共有しながら進められる職場で働きたいと考えています。御社の求人で、複数人の担当制で顧客を受け持つ体制だと拝見し、応募しました。

「上司と合わなかった」「同僚の態度が悪かった」とは言わず、仕事の進め方の問題として話します。特定の人の話を始めると、聞く側は「うちでも同じことが起きるのでは」と受け取ります。

給与

前職では 5 年間、法人営業で 40 社を担当し、後輩の指導も任されていましたが、評価の仕組み上、担当の範囲が広がっても処遇に反映されにくい状況でした。成果や担当の範囲が評価に結びつく環境で、これまでの経験を生かしたいと考えています。

「給料が安かった」で止めず、担ってきた仕事の範囲と、それが処遇に結びつく環境を求めていることを対にします。転職で年収がどのくらい変わっているかの統計は、転職で年収が上がる割合で整理しています。

労働時間・休日

前の職場では繁忙期の残業が月に 40 時間を超える月が続き、資格の勉強の時間が取れませんでした。残業の時間を把握して管理している職場で、仕事と学習を両立しながら長く働きたいと考えています。

数字で言えることは数字で言います。「きつかった」より、月の残業時間や休日の日数のほうが、聞く側に事情が伝わります。応募先の残業時間は、残業が少ない会社の探し方の手順で確かめられます。

体調

前職では体調を崩し、治療に専念するために退職しました。現在は主治医とも相談のうえ、フルタイムで働ける状態です。

体調の理由は、いまの状態と働ける範囲を中心に話します。働くうえで配慮してほしいこと(通院の日程など)があれば、具体的に伝えておくほうが、入ってからの行き違いを防げます。どこまで働けるかは、自分で決めずに主治医に相談してください。

会社の将来・仕事の内容

前の会社では、担当していた製品の事業が縮小され、別の部署への異動が決まりました。これまでの生産管理の経験を生かせる仕事を続けたいと考え、退職を決めました。

会社の経営や方針を批判せず、自分が続けたかった仕事の側から話します。

会社都合・契約期間の満了

前の会社の業績の悪化で希望退職の募集があり、それに応じました。

事実だけを短く伝え、すぐに次の段(何を求めて応募したか)に移ります。長く説明する必要はありません。

言い換えの手順

  1. 本当の理由を、紙に正直に書く。「上司が嫌だった」でかまいません
  2. その中の「事実」だけを取り出す。何が起きていたか、何時間・何日・いくらだったか
  3. 事実の裏返しで「次に求める条件」を 1 つ決める
  4. 応募先の求人票や公開情報で、その条件が満たされそうかを確かめる
  5. 3 段で 1 分以内に話せるか、声に出して練習する
  6. 履歴書・職務経歴書に書いた退職理由と食い違わないかを確かめる

4 の確かめができていないと、3 段目が言えません。条件の比べ方は転職で隣の芝生が青く見えるときで整理しています。応募先の公表している数字は、Mixum の会社名鑑で見られます。

読み違えやすい点

前向きに言うことと、事実を変えることは違う。辞めた理由を作り変えると、職務経歴書や面接のほかの答えと食い違いが出ます。変えるのは言い方で、事実ではありません。

理由を長く話すほど、不満の印象が残る。退職理由は 1〜2 文で終え、時間は「次に何をしたいか」に使います。

在籍が短い場合は、もう一歩説明する。在籍が短い経歴の伝え方は、短期離職の職務経歴書で扱っています。

辞めた理由が職場の問題なら、相談先もある。パワーハラスメントや残業代の不払いなど、前の職場で法律に関わる問題があった場合は、面接で話すかどうかとは別に、都道府県労働局の総合労働相談コーナーや労働基準監督署に相談できます。次の仕事探しや応募書類の相談は、ハローワークの窓口で受けられます。

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まとめ

  • 退職理由は「事実」→「次の職場で求める条件」→「応募先を選んだ理由」の 3 段で、1 分以内に答える
  • 人間関係・給与・労働時間を理由に辞める人は珍しくなく、聞く側はまた同じ理由で辞めないかを見ている
  • 人や会社を責める言い方を避け、仕事の進め方や数字の事実に言い換える
  • 体調の理由は、いまの状態と働ける範囲を中心に、主治医に相談したうえで話す
  • 履歴書・職務経歴書に書いた退職理由と、面接の答えを食い違わせない

参考資料