ワークライフバランスを理由にした転職は、いまの働き方を数字で示し、空いた時間で何をするかと、応募先で何をしたいかを続けて話すと伝わります。「残業が多くてつらかった」だけで終えると、「楽をしたいのでは」と受け取られかねません。数字があれば事情として伝わり、その先の話があれば前向きな理由になります。
この記事では、働き方を理由に辞める人がどのくらいいるのかを統計で確かめたうえで、残業・休日を数字で説明する例文と、組み立て方をまとめます。
働き方を理由に辞める人は少なくない
厚生労働省の令和7年雇用動向調査で、2025 年に転職した人が前の職場を辞めた理由を見ると、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」は女性で 12.9%、男性で 8.5%でした。女性では、「その他の個人的理由」を除くと最も多い理由です。年齢別では、女性の 20〜24 歳で 18.8%、25〜29 歳で 14.1%と、若い世代で高くなっています。
働き方を変えたいという理由は、珍しいものでも、隠すべきものでもありません。面接で聞く側が気にするのは理由そのものより、同じ理由で入社後に辞めないかと、仕事への意欲です。この 2 点に答えられる形に組み立てます。
数字で示すと、事情として伝わる
「残業が多い」の感じ方は人によって違います。比べられる数字にすると、聞く側にも事情が伝わります。
厚生労働省『しょくばらぼ』『女性の活躍推進企業データベース』で会社が公表している数字を、Mixum の会社名鑑で集計(2026年10月1日時点。公表値は2026年9月18日に取り込み)すると、月の平均の残業時間を公表している 14,702 社の中央値は 11.0 時間で、真ん中の半数は 5.3〜18.0 時間でした。有給休暇の取得率を公表している 14,249 社の中央値は 71.7%でした。いずれも公表している会社だけの値で、業種全体の平均ではありません。
| 伝える数字 | 言い方の例 |
|---|---|
| 月の残業時間 | 繁忙期は月 40 時間を超える月が続いた |
| 休日出勤 | 月に 2 回程度、土曜の出勤があった |
| 有給休暇 | 年に数日しか取れなかった |
| 帰宅の時刻 | 平日の退社が 21 時を過ぎる日が多かった |
| 呼び出し | 休日にも取引先からの連絡に対応していた |
数字は自分の勤怠の記録や給与明細の残業時間の欄で確かめ、記録で説明できる範囲にとどめます。
3 段の組み立て
| 段 | 話すこと |
|---|---|
| 1. いまの働き方 | 残業・休日の事実を数字で 1〜2 文 |
| 2. 変えたい理由 | 空いた時間で何をしたいか(学習・家族・健康など)を 1 文 |
| 3. 応募先で何をしたいか | 仕事の中身と、これまでの経験の生かし方を 1〜2 文 |
3 段目が無いと、働き方の条件だけで会社を選んだように聞こえます。ハローワークの「応募書類の作り方」は、志望の動機には応募先を選んだ理由、自分の経験・能力、意欲の 3 点を盛り込むとしています。働き方は「応募先を選んだ理由」の一部として話し、経験と意欲を必ず添えます。
例文
例文は、職種と状況だけを示したものです。数字は言い方を示すための例で、実在の人や会社の値ではありません。
残業が多かった場合(営業職)
前職では法人営業を担当し、繁忙期には月 40 時間を超える残業が続いていました。顧客への提案の質を上げるために、業界の資格の勉強を続けたいと考えていますが、平日に時間を取るのが難しい状況でした。御社は残業の時間を公表されていて、担当の顧客数も決まっていると伺いました。これまでの法人営業の経験を生かしながら、提案の幅を広げていきたいと考えています。
休日出勤が多かった場合(製造職)
前職では生産の計画が変わるたびに土曜の出勤があり、月に 2 回程度は休日に出ていました。子どもが小学校に上がり、週末は家族と過ごす時間を確保したいと考えるようになりました。御社の求人では休日が土日と確認しています。設備の段取り替えと日常点検の経験を生かし、安定した生産に貢献したいと考えています。
有給休暇が取りにくかった場合(事務職)
前職は少人数の部署で、交代できる人がいないため、有給休暇は年に数日しか取れませんでした。休みを取りやすい体制は、仕事の引き継ぎや手順書の整備ができている職場だと考えています。前職で手順書を作り直した経験を生かし、だれが担当しても回る業務の仕組みづくりにも関わりたいと考えています。
深掘りされたときの答え方
働き方を理由に挙げると、続けて次のように聞かれることがあります。答えを先に用意しておきます。
| 聞かれること | 答えの方向 |
|---|---|
| いまの職場で改善できなかったのですか | 上司に相談した、業務の分担を見直したなど、自分で試したことを 1 つ話す |
| うちも繁忙期は忙しいですが大丈夫ですか | 忙しい時期があること自体は前提とし、続く期間や頻度の違いで答える |
| 空いた時間で何をしますか | 資格の勉強や家族の事情など、2 段目で話した中身を具体的に |
1 つ目の問いに「何もしなかった」と答えると、同じ状況でまた辞めるのではと受け取られます。小さなことでも、自分で動いた事実を話せるようにしておきます。
書類と面接での使い分け
履歴書の職歴欄の退職理由は「一身上の都合により退職」と簡潔に書き、働き方の事情は書きません。ハローワークの「応募書類の作り方」も、前向きな理由は志望の動機の欄で伝える形を示しています。具体的な事情は、面接で聞かれたときに上の 3 段で話します。面接での退職理由の答え方は、面接での退職理由の伝え方で理由ごとに整理しています。
読み違えやすい点
応募先の働き方を先に確かめる。「残業が少ないと伺った」と話すなら、その根拠を自分で確かめておきます。求人票の時間外労働時間の欄や、会社が公表している数字を見る手順は残業が少ない会社の探し方にあります。会社ごとの数字は残業が少ない会社のランキングや、有給休暇の取得率が高い会社で確かめられます。
面接で聞くのは、公開情報で分からないこと。平均の残業時間は調べれば分かります。面接では「繁忙期はいつ頃で、そのときの働き方はどうなりますか」のように、数字の中身を聞きます。逆質問の組み立て方は逆質問で調べれば分かることを聞かないをご覧ください。
いまの職場の働き方に法律の問題があるなら、相談できる。残業代が支払われない、休日が法律の基準を下回るといった場合は、労働基準監督署や、都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談できます。応募書類や面接の準備は、ハローワークの窓口でも相談を受けられます。
職務経歴書と面接に関するほかの記事は、キャリア・転職の一覧から探せます。
まとめ
- 働き方を理由に辞める人は少なくなく、令和7年雇用動向調査では女性の 12.9%、男性の 8.5%が労働時間・休日等を理由に挙げている
- 残業や休日の事情は、月の時間や日数などの数字で示す
- 「いまの働き方」→「空いた時間で何をしたいか」→「応募先で何をしたいか」の 3 段で話す
- 働き方は応募先を選んだ理由の一つとし、経験と意欲を必ず添える
- 応募先の残業時間は公表されている数字で先に確かめ、面接では繁忙期など数字の中身を聞く



