ユースエール認定は、若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況が優良な中小企業を、厚生労働大臣が認定する制度です。若者雇用促進法にもとづき、対象は常時雇用する労働者が300人以下の事業主に限られます。
会社選びで役に立つのは、認定の基準に「直近3事業年度の新卒者等の正社員の離職率が20%以下」「前事業年度の正社員の月平均所定外労働時間が20時間以下」「有給休暇の取得率が平均70%以上、または取得日数が平均10日以上」といった数字の線が入っていることです。マークがあれば、その線を超えていたことが分かります。ここでは、基準の意味と、認定企業の探し方、読み違えやすい点を順に説明します。
認定の基準は「数字の線」と「欠格の条件」の2種類
厚生労働省が示す認定基準は12項目あります。性質で分けると、若者の働き方を数字で見る基準と、法令違反などがないことを求める基準の2種類です。
数字の線がある基準
| 基準 | 線 | 読み取れること |
|---|---|---|
| 新卒者等の正社員の離職率 | 直近3事業年度で20%以下(採用が3〜4人なら離職者1人以下) | 新卒で入った人がどれくらい残っているか |
| 月平均所定外労働時間 | 前事業年度の正社員で20時間以下、かつ法定時間外労働が月平均60時間以上の正社員が1人もいない | 残業が平均で少ないだけでなく、極端に多い人がいないか |
| 有給休暇 | 前事業年度の正社員の取得率が平均70%以上、または取得日数が平均10日以上 | 休みが実際に取られているか |
| 育児休業等 | 直近3事業年度に男性の取得者が1人以上、または女性の取得率が75%以上 | 子育て期の働き方の実績 |
残業の基準は「平均20時間以下」だけでなく、60時間以上の人が1人もいないことも条件になっています。平均だけでは隠れてしまう、一部の人に残業が偏る職場を除く作りです。
育児休業等の基準には例外があります。対象となる労働者がいない場合は育休制度があれば足りること、くるみん認定を受けた会社は一定期間この基準を満たすとみなされることが定められています。
数字の線がない基準
そのほかは、人材育成の方針と教育訓練の計画を定めていること、青少年雇用情報をすべて公表していること、過去3年間に新卒者の内定取消しをしていないこと、過去1年間に事業主都合の解雇や退職勧奨をしていないこと、重大な労働関係法令の違反がないこと、などです。
特に大きいのは青少年雇用情報を全部公表していることです。通常、会社は応募者から求められても3つの分野から1つ以上を示せば足りますが、認定企業は全項目を出しています。会社ごとの離職の数字を自分で探す手順は、新卒の離職率を企業ごとに調べる方法で扱っています。
基準の数字は、国の統計と比べるとどのくらいか
基準の線が厳しいのか緩いのかは、国の統計と並べると見当がつきます。ただし、数え方や対象が同じではないので、目安として見てください。
| 基準 | ユースエールの線 | 並べる国の統計 |
|---|---|---|
| 新卒者の離職 | 直近3事業年度で20%以下 | 就職後3年以内の離職率は大学卒33.8%、事業所規模30〜99人の大学卒では41.9%(令和4年3月卒業者) |
| 所定外労働時間 | 正社員の月平均20時間以下 | 一般労働者の所定外労働時間は月13.2時間(毎月勤労統計調査、2025年分、事業所規模5人以上) |
離職の線は、中小企業の平均的な水準と比べるとかなり低く引かれています。一方、所定外労働時間の線は全国の平均より上にあり、「平均より残業が少ない会社」の印ではなく、極端に多い会社を除く線と読むのが正確です。そのうえで、法定時間外労働が月平均60時間以上の正社員が1人もいないことも求めているので、長時間労働が一部の人に偏る職場は対象から外れます。
採用人数が少ない会社の扱いも決まっています。直近3事業年度の採用が3〜4人の場合は、率ではなく「離職者が1人以下」で判断します。少人数では1人の退職で率が25〜33%まで跳ね上がるため、その不公平を避ける作りです。架空の会社で、3年間に採用4人・離職1人なら基準を満たし、離職2人なら満たしません。
認定は一度きりではなく、毎年度確かめられる
ユースエールは、認定を受けたあとも毎年度、基準を満たしているかの確認があります。厚生労働省の案内では、認定マークに「〇〇年度認定」と入るため、いつから基準を満たし続けているかが分かるようになっています。
認定の取消しを受けた会社や、一部の基準を満たさなくなって認定を辞退した会社は、3年たたないと再び認定を受けられないことも基準に入っています。マークを見たときは、年度の表示もあわせて確かめます。
認定を受けた会社に何があるか
会社側には、次のような優遇があります。求職者にとっては、認定企業がどういう場で情報を出しているかを知る手がかりになります。
- ハローワークで重点的にPRされ、認定企業限定の就職面接会などに参加できる
- 認定マークを商品や広告、求人票に使える
- 日本政策金融公庫の低利融資の対象になる
- 一部の公共調達で加点評価を受けられる
公共調達の加点や融資の対象になる点からも、認定は国が基準を示して確かめる制度であり、会社が自分で名乗るものではないことが分かります。
認定企業の探し方
1. 若者雇用促進総合サイト
厚生労働省の「若者雇用促進総合サイト」では、ユースエール認定企業を地域や業種で探せます。会社ごとのページに、青少年雇用情報がまとまって載っています。
2. しょくばらぼ
「しょくばらぼ(職場情報総合サイト)」でも、ユースエール認定を受けた会社を見ることができます。ほかの職場情報(所定外労働時間や有給休暇の取得など)と並べて見られるのが利点です。
3. 求人票・会社のサイトのマーク
ハローワークの求人票や会社の採用ページに認定マークが載っていることがあります。マークだけを見たときは、上の2つのサイトで認定の年度を確かめると確実です。
認定企業の数は、若者雇用促進総合サイトの案内で1,329社(2024年9月末時点)とされています。中小企業全体から見ればごく一部で、認定がないからといって、その会社の働き方に問題があるとは言えません。
読むときに間違えやすい点
- 大企業は対象外:常時雇用300人以下が条件なので、大企業のページにマークがないのは当然です。大企業は数字を直接見ます
- 認定は会社全体の実績:離職率も所定外労働時間も会社全体の数字です。配属される部署や事業所の働き方は、別に確かめる必要があります
- 正社員の数字:基準は正社員についてのものです。契約社員などで入る場合、同じ水準とは限りません
- 過去の事業年度の実績:認定は直近の事業年度までの結果です。最近の急な事業の変化までは反映されません
認定を入り口にして、実際の数字の読み方に進むと判断がぶれにくくなります。平均継続勤務年数の見方は平均勤続年数の読み方、ユースエール以外も含めた全体の確かめ方は早期離職が少ない会社の見分け方にまとめています。
まとめ
- ユースエールは、若者の採用・育成に積極的で雇用管理が優良な、常時雇用300人以下の中小企業を厚生労働大臣が認定する制度
- 離職率20%以下、所定外労働月平均20時間以下(60時間以上の人がいない)、有給取得率70%以上または10日以上、などの数字の線がある
- 認定企業は青少年雇用情報を全項目公表している
- 認定後も毎年度確認があり、マークの「〇〇年度認定」で継続の長さが分かる
- 探すなら若者雇用促進総合サイトとしょくばらぼ。認定がないことは、それだけで判断材料にしない
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参考資料
- 厚生労働省「ユースエール認定制度」
- 厚生労働省「若者の採用・育成に積極的な企業を認定します(ユースエール認定制度)」リーフレット
- 厚生労働省「若者雇用促進総合サイト ユースエール認定企業とは」(認定企業数は2024年9月末時点)
- 厚生労働省「若者雇用促進総合サイト」
- 厚生労働省「若者雇用促進総合サイト 若者応援宣言企業とは」
- 厚生労働省「職場情報総合サイト(しょくばらぼ)」
- e-Gov法令検索「青少年の雇用の促進等に関する法律」(昭和45年法律第98号)
- 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」(2025年10月24日)
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和7年分結果確報」(2026年2月)