第二新卒の会社選びでは、1社目で困ったことを、それを確かめられる数字に置き換えてから会社を見るのが近道です。求人票の雰囲気や「若手が活躍」といった言葉は、1社目を選んだときにも見ていたはずで、同じ見方では同じ結果になりかねません。

国の調査では、若者が初めての会社を辞めた理由は「労働時間・休日・休暇の条件」「人間関係」「賃金の条件」「仕事が自分に合わない」が上位です(令和5年若年者雇用実態調査)。このうち、公開データで確かめやすいのは労働時間と休みです。理由ごとに見る数字と、第二新卒ならではの情報の取り方を説明します。

1社目を辞めた理由の上位は何か

厚生労働省の令和5年若年者雇用実態調査は、15〜34歳の若年労働者に、学校を出て初めて勤めた会社について尋ねています。在学していない若年労働者のうち、初めての会社で今も働いている人は55.5%、働いていない人は42.7%でした。

初めての会社を辞めた理由(3つまで)の上位は次のとおりです。

順位辞めた理由割合
1労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった28.5%
2人間関係がよくなかった26.4%
3賃金の条件がよくなかった21.8%
4仕事が自分に合わない21.7%

勤続期間別では、1年未満で辞めた人は「人間関係」、1年から10年未満で辞めた人は「労働時間・休日・休暇」を挙げた割合が最も高くなっています。入社して間もなく辞めたのか、数年働いてから辞めたのかで、次に確かめるべき点が変わります。

辞めた理由ごとに、次に見る数字

困ったことをそのまま条件にすると「残業が少ない会社」「人間関係のよい会社」のように曖昧になります。公表されている数字に置き換えると、会社どうしを比べられるようになります。

1社目で困ったこと次の会社で見る数字見る場所
残業が多い、帰れない月平均の所定外労働時間、法定時間外労働の月平均しょくばらぼ、青少年雇用情報
休みが取れない有給休暇の取得率・平均取得日数しょくばらぼ、青少年雇用情報
人が次々に辞める、相談できる人がいない新卒者等の採用者数と離職者数、平均継続勤務年数、メンター制度青少年雇用情報、ユースエール認定
教えてもらえないまま任された研修の内容、計画的な指導の有無青少年雇用情報、求人票、面接
配属・転勤が想定と違った業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲求人票・募集要項(2024年4月から明示が必要)
給与が低い賃金の額、固定残業代の内訳求人票・募集要項

人間関係は数字で直接は測れません。ただ、若手が続けて辞める職場や、相談役がいない職場では問題が表に出やすいため、離職の数字やメンター制度の有無が間接的な手がかりになります。

休みやすさの目安(公表している会社の中央値)

休みの数字は、比べる相手がないと多いのか少ないのかが分かりません。Mixum の会社名鑑に載せている会社のうち、年次有給休暇の取得率を公表している14,249社の中央値は71.7%、正社員の有給休暇の取得日数を公表している2,736社の中央値は12.9日でした(いずれも厚生労働省「しょくばらぼ」の公表値、2026年10月1日の集計)。

業種取得率の中央値取得日数の中央値
全業種71.7%12.9日
製造業74.9%13.7日
情報通信業74.0%12.4日
卸売業、小売業64.9%11.2日
宿泊業、飲食サービス業55.0%—

(宿泊業・飲食サービス業は取得日数の業種別の集計がないため、取得率だけを載せています)

これは数字を公表している会社だけの値で、業種全体の平均ではありません。公表している会社は、比較的規模の大きい会社や開示に積極的な会社に偏っている可能性があります。1社目の会社の数字が分かれば、それと並べて比べると、次の会社が本当に違うのかを確かめられます。

残業の数字は、同じ「月平均」でも所定外と法定時間外で意味が違います。読み分けは月平均残業時間の読み方にまとめています。

第二新卒が使える情報の取り方

新卒枠に応募できるなら、情報提供を求められる

若者雇用促進法にもとづく厚生労働省の指針は、学校を卒業した人も新卒の採用枠に応募できるようにし、卒業後少なくとも3年間は応募できるようにすることを事業主に求めています。

若者雇用促進法の施行規則は、学校を卒業した人のうち新卒者に準ずる人も「学校卒業見込者等」に含めています。新卒者等を条件にした募集に既卒者として応募する場合も、青少年雇用情報の提供を求めることができます。会社は、求められたら3つの分野から1つ以上を示します。求め方は新卒の離職率を企業ごとに調べる方法で説明しています。

中途採用の枠なら、公開データと面接で補う

経験者向けの中途採用の枠は、青少年雇用情報の提供の求めの対象になりません。しょくばらぼなど公開されている数字を先に見て、足りないところを面接で聞きます。第二新卒向けの研修があるかどうかは、新卒向けと違うことが多いので、研修制度のある会社の見分け方の質問を使って確かめてください。

手順:困りごとを3つに絞って数字を当てる

  1. 1社目で困ったことを3つまで書き出す。「残業が月40時間を超える月が多かった」のように、できるだけ具体的に
  2. それぞれに対応する数字を上の表から選ぶ
  3. 候補の会社の数字を、しょくばらぼや採用ページで探す。見つからない数字に印を付ける
  4. 印を付けた数字だけを、面接や面談で聞く。全部を聞こうとせず、自分にとって大事な点に絞る

架空の人物の例で当てはめてみます。新卒で入った会社を2年で辞めたAさんは、困ったことを「繁忙期に休日出勤が続いた」「有給休暇を申し出にくかった」「異動で想定外の職種に回された」の3つに絞りました。対応する数字は、法定時間外労働(休日労働を含む)の月平均、有給休暇の取得率、業務の変更の範囲です。候補の会社について、前の2つはしょくばらぼで見つかり、業務の変更の範囲は募集要項に書かれていました。残ったのは「繁忙期の月の実際の残業」だけだったので、面接ではその1点を尋ねることにしました。

気をつけたいこと

  • 賃金だけで決めない:令和7年雇用動向調査では、転職して入った20〜24歳のうち賃金が前の会社より増えた人は55.2%、減った人は17.5%、25〜29歳では増えた人が49.8%、減った人が23.9%でした。増える人が多い一方、減る人も一定数います。賃金と一緒に、労働時間や休みの数字も確かめます
  • 1社目の反動で条件を1つに絞りすぎない:残業だけを基準にすると、研修や休みの取りやすさを見落とすことがあります
  • 数字は会社全体の平均:配属される部署の実態は、面接で具体的に聞く必要があります

定着している会社を見分ける全体の考え方は、早期離職が少ない会社の見分け方にまとめています。

まとめ

  • 初めての会社を辞めた理由の上位は、労働時間・休日・休暇(28.5%)、人間関係(26.4%)、賃金(21.8%)
  • 困ったことを、所定外労働時間・有給休暇・離職者数・研修の有無などの公表されている数字に置き換えて比べる
  • 有給休暇の取得率は、公表している会社の中央値で71.7%、取得日数は12.9日(しょくばらぼの公表値)
  • 新卒枠に応募できる場合は、卒業後でも青少年雇用情報の提供を求められる
  • 中途採用の枠では、公開データを先に見て、足りない点だけを面接で聞く

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参考資料