令和7年賃金構造基本統計調査の数字から年収の目安を出すと、20〜24歳は361.4万円、25〜29歳は448.2万円です。一方、月の所定内給与額(残業代などを除いた基本の給与)の中央値は20〜24歳が238.4千円、25〜29歳が267.9千円で、平均の242.8千円・279.4千円より低くなっています。
平均は給与の高い人に引き上げられるので、「真ん中の人」の給与は平均より少し下にあります。自分の給与と比べるときは、平均と中央値のどちらの数字かをそろえ、学歴・男女・会社の規模の近い数字と並べるのが確実です。
調査の概要と、年収の目安の出し方
賃金構造基本統計調査は、厚生労働省が毎年行う給与の調査です。令和7年の調査は2025年6月分の給与を尋ね、常用労働者10人以上の民間の事業所を対象にしています。結果は2026年3月24日に公表されました。この記事の数字は、短時間労働者を除いた「一般労働者」のものです。
年収の目安は次の式で計算しています。
年収の目安=きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額
「きまって支給する現金給与額」は6月分の月の給与で、残業代などを含みます。「所定内給与額」はそこから残業代などを除いた基本の給与で、国が「賃金」として公表しているのはこちらです。年間賞与は前の年(2024年1月〜12月)の賞与・期末手当などの合計です。
| 年齢 | 所定内給与額(月・千円) | きまって支給する現金給与額(月・千円) | 年間賞与など(千円) | 年収の目安(万円) |
|---|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 242.8 | 266.8 | 412.1 | 361.4 |
| 25〜29歳 | 279.4 | 312.9 | 727.2 | 448.2 |
| 全年齢 | 340.6 | 370.5 | 1,009.6 | 545.6 |
20〜24歳の平均年齢は23.1歳、平均勤続年数は2.0年、25〜29歳は27.5歳と4.1年です。
平均と中央値:月の所定内給与額で比べる
この調査で中央値や四分位数が公表されているのは、月の所定内給与額です。賞与を含めた年収の中央値は表にありません。中央値は、給与の低い順に並べたときにちょうど真ん中にいる人の額で、第1・四分位数は下から4分の1、第3・四分位数は上から4分の1の位置の額です。
| 区分 | 年齢 | 平均 | 第1・四分位数 | 中央値 | 第3・四分位数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 男女計 | 20〜24歳 | 242.8 | 211.0 | 238.4 | 267.3 |
| 男女計 | 25〜29歳 | 279.4 | 232.8 | 267.9 | 308.1 |
| 男性 | 20〜24歳 | 245.7 | 213.9 | 241.2 | 269.0 |
| 男性 | 25〜29歳 | 288.0 | 240.4 | 274.3 | 315.3 |
| 女性 | 20〜24歳 | 239.6 | 208.0 | 235.0 | 265.2 |
| 女性 | 25〜29歳 | 268.8 | 225.1 | 259.3 | 298.4 |
(単位はいずれも千円。所定内給与額)
たとえば25〜29歳で月の所定内給与額が26万円なら、中央値の267.9千円を少し下回り、第1・四分位数の232.8千円は上回っています。同じ年代の真ん中より少し下、下から4分の1よりは上の位置です。20代は、平均と中央値の差が年齢計(平均340.6千円・中央値296.6千円)より小さく、給与のばらつきは30代以降に広がっていきます。
学歴別に見る20代の給与
学歴によって、入社の年齢も、20代前半の勤続年数も違います。大学卒は20〜24歳の平均勤続年数が1.3年、高校卒は3.1年です。
| 学歴 | 20〜24歳 所定内の中央値 | 20〜24歳 年収の目安 | 25〜29歳 所定内の中央値 | 25〜29歳 年収の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 高校 | 219.8千円 | 358.9万円 | 243.3千円 | 403.3万円 |
| 専門学校 | 234.5千円 | 343.0万円 | 259.4千円 | 409.6万円 |
| 高専・短大 | 240.9千円 | 362.6万円 | 269.1千円 | 445.7万円 |
| 大学 | 256.2千円 | 384.1万円 | 279.6千円 | 484.5万円 |
| 大学院 | 296.3千円 | 376.2万円 | 317.0千円 | 566.6万円 |
(男女計)
20〜24歳の大学院卒は、年収の目安が大学卒より低くなっています。この年代の大学院卒は平均勤続年数が0.5年で、賞与の対象期間がほとんど無い人が多いためです。年間賞与は前の年の分で、前の年の途中から働き始めた人は、働き始めてからの分だけが入ります。入社して間もない人が多い年代ほど、賞与と年収の目安は低めに出ます。
男女別・会社の規模別に見る
男女別
| 区分 | 20〜24歳 年収の目安 | 25〜29歳 年収の目安 |
|---|---|---|
| 男性(学歴計) | 374.6万円 | 474.0万円 |
| 女性(学歴計) | 347.0万円 | 416.3万円 |
| 男性・大学 | 392.2万円 | 508.4万円 |
| 女性・大学 | 376.2万円 | 458.4万円 |
20〜24歳では男女の差は小さく、25〜29歳で開き始めます。差の背景は、業種や職種、残業の多さ、管理職への登用などが重なっています。
会社の規模別
| 年齢 | 1,000人以上 | 100〜999人 | 10〜99人 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 所定内給与額 | 258.4千円 | 237.6千円 | 226.3千円 |
| 20〜24歳 年収の目安 | 396.4万円 | 352.2万円 | 320.5万円 |
| 25〜29歳 所定内給与額 | 301.7千円 | 270.6千円 | 258.2千円 |
| 25〜29歳 年収の目安 | 508.6万円 | 428.4万円 | 384.4万円 |
(男女計・学歴計)
25〜29歳の年収の目安は、1,000人以上の会社と10〜99人の会社で124万円ほど違います。月の所定内給与額の差は43.5千円なので、差の多くは賞与と残業代から生まれています。
自分の給与と比べる手順
- 給与明細から「基本の給与」を出す:基本給と毎月決まって出る手当(役職手当・資格手当・住宅手当など)を足し、残業代・休日出勤の手当・通勤手当を除きます。通勤手当は統計の所定内給与額には含まれますが、会社による差が大きいので、比べるときは除いておくと迷いません
- 同じ年齢・学歴・男女の中央値と比べる:上の表の所定内給与額の中央値と並べます
- 賞与は前の年の実績で比べる:源泉徴収票の支払金額から12か月分の給与を引くと、おおよその賞与の額が分かります
- 会社の規模と業種で補正する:大きい会社と比べて低いのか、同じ規模の会社と比べて低いのかで、意味が変わります
- 給与以外の数字も並べる:20代の給与は、勤め続けた年数で伸びていきます。平均勤続年数の読み方や、早く辞める人が多い会社の見分け方で、長く働ける会社かどうかも確かめます
正社員の平均継続勤務年数を公表している会社は、Mixumの会社名鑑の平均勤続年数が長い会社で一覧できます。厚生労働省「しょくばらぼ」で会社が公表している数字を集計すると(2026年10月1日時点。公表値は2026年9月18日に取り込み)、2,755社の中央値は11.9年でした。公表している会社だけの値で、業種全体の平均ではありません。若者の採用・育成に積極的な会社として国の認定を受けた会社は、ユースエール認定企業の一覧で探せます。
読み違えやすい点
- 「平均年収」と「月給の中央値」を並べる:年収の目安は平均から出した値で、中央値は月の所定内給与額のものです。年収の中央値と書かれた数字を見たら、どの調査の何の数字かを確かめます
- 手取りと比べる:統計は税金や社会保険料を引く前の額面です。手取りの額と比べると、低く見えてしまいます
- 残業代込みの月給と所定内給与額を比べる:残業の多い月の総支給額と比べると、実際より高い位置にいるように見えます
- 20〜24歳の賞与をそのまま信じる:入社して間もない人が多く、賞与の対象期間が短い人が含まれます。25〜29歳の数字のほうが、1年分の賞与の水準に近い値です
- 年収の高さだけで次の会社を選ぶ:初めの数年の給与差より、昇給の仕組みや続けて働けるかどうかが、30代の給与を左右します。数字の見方は第二新卒の会社選びで見る数字にもまとめています
まとめ
- 年収の目安(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与)は、20〜24歳361.4万円、25〜29歳448.2万円
- 中央値が公表されているのは月の所定内給与額で、20〜24歳238.4千円、25〜29歳267.9千円。年収の中央値は表にない
- 学歴では大学卒が25〜29歳で484.5万円、高校卒が403.3万円。男女の差は25〜29歳から開き始める
- 会社の規模の差は賞与と残業代で大きく開き、25〜29歳で1,000人以上と10〜99人の差は124万円ほど
- 自分の給与は、基本の給与を出して同じ年齢・学歴・男女の中央値と並べると位置が分かる