令和7年賃金構造基本統計調査によると、2025年3月に学校を卒業して働き始めた人(新規学卒者)の月の給与(所定内給与額)は、全国の学歴計で248.3千円でした。学歴別では高校207.3千円、専門学校230.7千円、高専・短大235.5千円、大学262.3千円、大学院299.0千円です。
都道府県別に学歴計で並べると、東京都の269.7千円が最も高く、宮崎県の203.3千円が最も低く、差は66.4千円でした。全国の248.3千円以上だったのは、東京都・神奈川県・大阪府・千葉県・京都府・滋賀県の6都府県です。
ただし、都道府県の学歴計には、大学卒と高校卒の割合の違いが混ざっています。地域で比べるときは、学歴をそろえて見るのが基本です。
統計の「初任給」はどの数字か
賃金構造基本統計調査は、厚生労働省が毎年行う給与の調査です。令和7年の調査は2025年6月分の給与を尋ね、常用労働者10人以上の民間の事業所を対象にしています。結果は2026年3月24日に公表されました。
この記事で使う数字は、次の条件のものです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象の人 | 一般労働者のうち、原則として2025年3月に学校などを卒業した人 |
| 給与の時期 | 2025年6月分 |
| 給与の範囲 | 所定内給与額(時間外・深夜・休日出勤の手当などを除き、基本給・通勤手当・家族手当などは含む。税金や社会保険料を引く前の額) |
| 都道府県 | 働いている事業所のある都道府県 |
| 事業所 | 常用労働者10人以上の民間の事業所 |
求人票の「初任給」とは集め方が違います。求人票は会社が示す条件で、統計は実際に支払われた6月分の給与を集計したものです。
全国の学歴別・男女別の新規学卒者の給与
| 学歴 | 男女計(千円) | 前年からの増減 | 男性(千円) | 女性(千円) |
|---|---|---|---|---|
| 高校 | 207.3 | +5.0% | 210.1 | 202.9 |
| 専門学校 | 230.7 | +3.5% | 227.8 | 232.4 |
| 高専・短大 | 235.5 | +5.2% | 241.4 | 230.0 |
| 大学 | 262.3 | +5.6% | 264.9 | 259.7 |
| 大学院 | 299.0 | +4.0% | 301.2 | 292.9 |
(所定内給与額。前年からの増減は男女計)
どの学歴でも前年より3.5%〜5.6%上がっています。会社の規模別に見ると、大学卒は1,000人以上の会社で273.4千円、100〜999人で254.1千円、10〜99人で242.4千円でした。高校卒は同じ順に216.5千円、202.2千円、199.9千円です。
都道府県別の新規学卒者の給与(学歴計・高校・専門学校・大学)
| 順位 | 都道府県 | 学歴計 | 高校 | 専門学校 | 大学 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 東京 | 269.7 | 223.8 | 235.8 | 275.5 |
| 2 | 神奈川 | 257.1 | 218.3 | 244.9 | 259.5 |
| 3 | 大阪 | 255.1 | 215.2 | 238.5 | 262.6 |
| 4 | 千葉 | 255.0 | 218.2 | 245.4 | 268.3 |
| 5 | 京都 | 252.2 | 214.9 | 236.4 | 257.7 |
| 6 | 滋賀 | 251.1 | 213.4 | 244.5 | 261.0 |
| 7 | 愛知 | 246.0 | 208.5 | 238.1 | 259.6 |
| 8 | 兵庫 | 245.1 | 216.4 | 226.3 | 253.3 |
| 9 | 石川 | 244.0 | 207.2 | 230.6 | 274.0 |
| 10 | 徳島 | 243.9 | 198.9 | 251.9 | 251.0 |
| 11 | 奈良 | 241.1 | 217.4 | 226.3 | 248.0 |
| 12 | 大分 | 240.7 | 204.8 | 264.0 | 280.8 |
| 13 | 静岡 | 240.4 | 210.7 | 224.9 | 264.0 |
| 14 | 福岡 | 239.8 | 215.3 | 223.5 | 253.6 |
| 15 | 福井 | 239.1 | 217.0 | 236.2 | 248.1 |
| 16 | 茨城 | 239.0 | 204.7 | 229.4 | 253.9 |
| 17 | 栃木 | 237.5 | 207.7 | 230.9 | 262.4 |
| 18 | 広島 | 237.4 | 210.5 | 238.8 | 243.0 |
| 19 | 長野 | 237.0 | 204.4 | 220.8 | 260.2 |
| 20 | 三重 | 236.4 | 203.3 | 224.1 | 256.4 |
| 21 | 北海道 | 235.5 | 199.8 | 218.9 | 252.4 |
| 22 | 岐阜 | 235.4 | 208.6 | 216.5 | 263.6 |
| 23 | 埼玉 | 235.3 | 209.4 | 211.9 | 261.2 |
| 24 | 香川 | 234.7 | 206.4 | 213.9 | 251.9 |
| 25 | 宮城 | 234.6 | 203.9 | 232.2 | 246.4 |
| 26 | 富山 | 233.3 | 208.1 | 226.5 | 241.5 |
| 26 | 山口 | 233.3 | 207.1 | 243.1 | 251.0 |
| 28 | 群馬 | 231.1 | 207.7 | 215.1 | 245.9 |
| 29 | 高知 | 230.3 | 196.3 | 220.2 | 245.7 |
| 29 | 佐賀 | 230.3 | 203.4 | 222.8 | 266.5 |
| 31 | 岡山 | 230.2 | 206.4 | 229.0 | 235.8 |
| 32 | 山梨 | 229.6 | 205.9 | 206.4 | 251.1 |
| 32 | 長崎 | 229.6 | 199.9 | 211.8 | 263.0 |
| 34 | 島根 | 229.1 | 197.2 | 212.7 | 251.8 |
| 35 | 熊本 | 228.5 | 199.2 | 238.8 | 248.3 |
| 36 | 鹿児島 | 223.7 | 192.1 | 214.3 | 232.4 |
| 37 | 愛媛 | 221.3 | 201.6 | 203.1 | 237.8 |
| 38 | 新潟 | 220.9 | 198.7 | 216.5 | 238.3 |
| 39 | 福島 | 220.1 | 198.8 | 222.5 | 234.1 |
| 40 | 沖縄 | 219.9 | 185.5 | 206.2 | 231.4 |
| 41 | 岩手 | 216.0 | 195.1 | 217.7 | 242.4 |
| 42 | 和歌山 | 215.0 | 190.3 | 189.6 | 242.4 |
| 43 | 秋田 | 212.0 | 188.6 | 213.9 | 274.4 |
| 44 | 鳥取 | 210.1 | 179.0 | 204.1 | 252.4 |
| 45 | 青森 | 209.3 | 186.1 | 196.5 | 248.9 |
| 46 | 山形 | 208.2 | 187.9 | 202.5 | 230.3 |
| 47 | 宮崎 | 203.3 | 187.1 | 183.0 | 231.0 |
| — | 全国 | 248.3 | 207.3 | 230.7 | 262.3 |
(男女計・企業規模計・産業計の所定内給与額、単位は千円。学歴計の高い順で、同じ値は同じ順位)
高校卒では東京都の223.8千円が最も高く、鳥取県の179.0千円が最も低くなっています。大学卒では大分県の280.8千円が最も高く、東京都275.5千円、秋田県274.4千円、石川県274.0千円が続きます。最も低いのは山形県の230.3千円です。
都道府県の数字を読むときの3つの注意
1. 学歴計は学歴の構成で上下する
学歴計は、大学卒・高校卒などをまとめた平均です。大学卒の多い地域ほど、学歴計は高く出ます。秋田県は大学卒が274.4千円と全国の262.3千円より高いのに、学歴計は212.0千円で43番目です。自分に当てはめるときは、学歴をそろえた列で比べてください。
2. 都道府県と学歴を細かく分けると標本が少ない
この調査は、都道府県・産業・事業所の規模ごとに事業所を選んでいます。調査の説明には、学歴のようにこの選び方の基準にない区分は、人数が少ないと大きな誤差を含むことがあると書かれています。都道府県と学歴を組み合わせた数字は、1つの区分に入る人が少なくなりやすい数字です。都道府県別の表には人数が載っていません。大学院卒では岩手県が346.3千円と全国の299.0千円を大きく上回るなど、人数の少ない区分では飛び離れた数字が出ることがあります。「-」は該当する人がいない区分です。
3. 業種と会社の規模も混ざっている
都道府県の数字には、その地域に多い業種や会社の規模が表れます。全国の大学卒では、1,000人以上の会社と10〜99人の会社で31.0千円の差がありました。大きな会社の事業所が集まる地域ほど、数字は高くなりやすいと考えられます。
初任給を比べるときの手順
- 学歴をそろえる:自分の学歴の列で、働きたい都道府県と全国の数字を並べます
- 求人票の内訳を確かめる:基本給・手当・固定残業代を分け、固定残業代があれば何時間分かも見ます
- 手取りと生活費で考える:統計は税金や社会保険料を引く前の額です。家賃などの生活費の差も含めて考えます
- 給与以外の数字も見る:入社3年以内の離職率や有給休暇の取得率など、続けて働けるかどうかの数字も確かめます。新卒の離職率は企業ごとに調べる方法にまとめています
有給休暇の取りやすさは、Mixumの会社名鑑の有給休暇の取得率が高い会社で一覧できます。厚生労働省「しょくばらぼ」で会社が公表している数字をMixumの会社名鑑で集計すると(2026年10月1日時点。公表値は2026年9月18日に取り込み)、14,249社の有給休暇の取得率の中央値は71.7%でした。公表している会社だけの値で、業種全体の平均ではありません。若者の採用と育成で国の認定を受けた会社は、ユースエール認定企業の一覧で探せます。
読み違えやすい点
- 学歴計で地域を比べる:学歴の構成の違いが混ざります。学歴をそろえて比べます
- 出身地の数字と思う:働いている事業所のある都道府県の数字です
- 小さい区分の数字を信じすぎる:都道府県×学歴の数字は標本が少なく、年ごとに動きやすくなります
- 手取りと思う:所定内給与額は税金や社会保険料を引く前の額です
- 4月の給与と思う:統計は6月分の給与です。4月から6月の間に給与が変わる会社では、4月の額と違うことがあります
働き始めてからの給与の伸びは、20代の年収の平均と中央値で、都道府県ごとの年収の目安は都道府県別の平均年収で確かめられます。
まとめ
- 2025年3月卒の新規学卒者の所定内給与額は、全国で大学262.3千円、高校207.3千円、学歴計248.3千円
- 都道府県別の学歴計は東京都269.7千円が最も高く、宮崎県203.3千円が最も低い
- 都道府県の数字は、働いている事業所のある地域のもので、出身地の数字ではない
- 学歴計は学歴の構成で上下するため、自分の学歴の列で比べる
- 都道府県×学歴の数字は標本が少なく、求人票の内訳や離職率とあわせて読む
参考資料
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」(2026年3月24日公表。新規学卒者の性、学歴別賃金及び対前年増減率)
- 政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 新規学卒者」(新規学卒者の所定内給与額、企業規模別)
- 政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 都道府県別」(都道府県別第4表 都道府県別新規学卒者の所定内給与額)
- 政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和7年賃金構造基本統計調査 調査の説明」(新規学卒者の定義・利用上の注意)
- 厚生労働省「職場情報総合サイト(しょくばらぼ)」(会社名鑑の集計に使った公表値は2026年9月18日時点)