離職率が高い業界は、令和7年雇用動向調査で見ると宿泊業,飲食サービス業(23.7%)、サービス業(他に分類されないもの)(21.2%)、生活関連サービス業,娯楽業(20.1%)の順です。最も低いのは金融業,保険業(6.6%)で、複合サービス事業(8.6%)、建設業(8.7%)、電気・ガス・熱供給・水道業(8.8%)が続きます。
ただし、離職率の高い業界は入職率も高く、人の出入りが多い業界です。またパートタイムで働く人の多さが数字に影響します。業界を選ぶときは、フルタイムの人の離職率、入職率、勤続年数を並べて読むと、定着の様子をつかみやすくなります。
業種別の離職率と入職率
雇用動向調査は、常用労働者5人以上の事業所を対象に、厚生労働省が毎年行う調査です。令和7年(2025年)の1年間の数字です。
| 業種 | 離職率(計) | 入職率(計) | 離職率(一般労働者) | 離職率(パート) |
|---|---|---|---|---|
| 宿泊業,飲食サービス業 | 23.7% | 27.8% | 21.5% | 25.0% |
| サービス業(他に分類されないもの) | 21.2% | 21.8% | 20.3% | 23.8% |
| 生活関連サービス業,娯楽業 | 20.1% | 21.3% | 16.1% | 25.1% |
| 教育,学習支援業 | 15.1% | 15.5% | 9.8% | 26.6% |
| 医療,福祉 | 14.3% | 14.5% | 13.6% | 15.9% |
| 不動産業,物品賃貸業 | 12.1% | 14.4% | 10.5% | 19.6% |
| 卸売業,小売業 | 11.9% | 12.6% | 8.5% | 17.6% |
| 学術研究,専門・技術サービス業 | 11.7% | 12.9% | 10.0% | 26.7% |
| 情報通信業 | 10.4% | 13.6% | 10.0% | 21.9% |
| 鉱業,採石業,砂利採取業 | 10.2% | 10.5% | 9.8% | 19.0% |
| 製造業 | 9.8% | 9.6% | 9.2% | 14.2% |
| 運輸業,郵便業 | 9.0% | 9.6% | 8.1% | 12.2% |
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 8.8% | 9.3% | 8.0% | 19.6% |
| 建設業 | 8.7% | 10.4% | 7.9% | 19.3% |
| 複合サービス事業 | 8.6% | 6.3% | 7.7% | 12.6% |
| 金融業,保険業 | 6.6% | 8.7% | 6.3% | 10.6% |
| 産業計 | 13.7% | 14.7% | 11.4% | 19.9% |
「計」はフルタイムの人とパートを合わせた数字、「一般労働者」はフルタイムの人の数字です。
フルタイムの人に絞ると順番が変わる
パートを含む「計」とフルタイムの人の数字では、順番が変わる業界があります。
- 教育,学習支援業:計では15.1%と高い側ですが、フルタイムの人は9.8%で産業計の11.4%より低くなります。パートの離職率(26.6%)が全体を押し上げています
- 卸売業,小売業:計では11.9%ですが、フルタイムの人は8.5%と低い側です
- 医療,福祉:フルタイムの人でも13.6%と、産業計より2ポイント余り高くなっています
正社員として働くことを考えているなら、フルタイムの人(一般労働者)の数字で比べるのが目安になります。
入職率と並べる
入職率が離職率を上回る業界は、辞める人より入る人が多く、働く人が増えている業界です。情報通信業は入職率13.6%・離職率10.4%と、入る人のほうが3ポイント余り多くなりました。反対に、複合サービス事業は入職率6.3%・離職率8.6%と、辞める人のほうが多くなっています。
勤続年数と並べる
離職率は1年間の動きですが、平均勤続年数は長く勤める人の多さを表します。令和7年賃金構造基本統計調査(常用労働者10人以上の民営事業所、フルタイムの人)の数字を並べます。
| 業種 | 平均勤続年数 |
|---|---|
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 17.6年 |
| 複合サービス事業 | 16.8年 |
| 製造業 | 15.3年 |
| 金融業,保険業 | 14.6年 |
| 卸売業,小売業 | 14.5年 |
| 建設業 | 13.7年 |
| 運輸業,郵便業 | 12.9年 |
| 情報通信業 | 12.3年 |
| 学術研究,専門・技術サービス業 | 12.1年 |
| 教育,学習支援業 | 11.7年 |
| 不動産業,物品賃貸業 | 10.7年 |
| 生活関連サービス業,娯楽業 | 10.6年 |
| 医療,福祉 | 9.9年 |
| 宿泊業,飲食サービス業 | 9.6年 |
| サービス業(他に分類されないもの) | 9.3年 |
| 産業計 | 12.7年 |
離職率の低い業界ほど勤続年数が長いという関係がおおむね見られます。勤続年数の数字の読み方は、平均勤続年数の目安と読み方で扱っています。
応募先の定着を確かめる手順
- 業界の目安を知る:上の表で、フルタイムの人の離職率と勤続年数を確かめる
- 新卒の定着を見る:若者雇用促進法にもとづき、新卒の採用者数と離職者数を公表している会社がある。調べ方は新卒の離職率を企業ごとに調べる方法にまとめている
- 平均勤続年数を見る:しょくばらぼで応募先の平均勤続年数を見る。会社名鑑の勤続年数が長い会社の一覧からも探せる
- 会社の数字と業界の数字を比べる:応募先の勤続年数が業界の数字より長いか短いかを見る
- 面接で聞く:配属される部署の人の入れ替わりや、中途で入った人の定着を尋ねる
読み違えやすい点
- パートを含む数字で正社員の定着を判断する:フルタイムの人の数字を見ます
- 離職をすべて自分の都合の退職と思う:定年や契約期間の満了も含みます
- 業界の数字を応募先に当てはめる:同じ業界でも会社による差があります
- 入職率を見ない:離職率が高くても、人が増えている業界があります
まとめ
- 令和7年雇用動向調査で離職率が最も高い業界は宿泊業,飲食サービス業(23.7%)、最も低いのは金融業,保険業(6.6%)
- フルタイムの人に絞ると、教育,学習支援業(9.8%)や卸売業,小売業(8.5%)は産業計より低い
- 離職率の高い業界は入職率も高く、人の出入りが多い
- 平均勤続年数は電気・ガス・熱供給・水道業の17.6年が最も長く、サービス業(他に分類されないもの)の9.3年が最も短い
- 業界は目安にとどめ、応募先の新卒の定着と勤続年数を確かめる