30代の中途採用では、会社は書類でこれまでの経験と、入社後すぐに力を出せるかを見ています。書類選考が続けて通らないときは、①応募先との合い方、②職務経歴書の書き方、③年齢の扱いの順に見直します。

年齢そのものについては、法律で募集・採用の年齢制限が原則として禁止されていて、書類選考で年齢を理由に採否を決めることも法律に反するとされています。この記事では、厚生労働省の調査で会社が転職者のどこを見ているかを確かめ、見直す順番、年齢制限のルールと例外を説明します。

会社が転職者の書類で見ているもの

厚生労働省の令和7年転職者実態調査(事業所調査)では、転職者の賃金を決めるときに考慮した要素(複数回答)は次のとおりでした。

考慮した要素事業所の割合
これまでの経験・能力・知識59.2%
年齢35.3%
賃金の世間相場34.2%

考慮した要素のうち最も重視したものも、「これまでの経験・能力・知識」が38.4%で最も多くなっています。

転職者を採用した理由(3つまでの複数回答)を職種別に見ると、管理的な仕事と専門的・技術的な仕事では「経験を活かし即戦力になるから」がそれぞれ60.7%、64.1%で最も多く、事務・販売・サービスなどの仕事では「離職者の補充のため」が最も多くなっています。

つまり、30代の書類では、応募先の仕事にすぐ使える経験が書かれているかが中心に見られます。

転職者を採る会社は多い

同じ調査では、今後3年間に転職者を採用する予定がある事業所は63.6%でした。そのうち「転職者を優先して採用したい」が40.0%で、「新規学卒者を優先して採用したい」の9.8%を大きく上回っています。転職者を採る会社自体は多いので、通らない原因は、応募先の選び方や書類の側にあることが多いと考えて見直します。

見直す順番

書類選考が通らないときに見直すことを、順番に並べます。

順番見直すこと確かめ方
1応募先との合い方求人の必須の条件のうち、いくつを満たしているかを数える
2職務経歴書の中身応募先の仕事に使える経験が、最初の数行で分かるか
3書き方の形数字、担当の範囲、役割が書かれているか
4年齢の扱い求人に年齢の条件があるか、その理由が示されているか

1. 応募先との合い方

まず、見送られた求人を並べ、必須の条件と自分の経験を照らします。必須の条件を半分も満たしていない求人ばかりに応募しているなら、書類の書き方より先に、応募先の選び方を変えます。

求人の条件だけでなく、会社の規模や業種でも求める経験は変わります。応募先の会社が公表している働き方の数字は、会社名鑑で会社名から引けます。

2. 職務経歴書の中身

30代では、20代より経歴が長くなる分、何でも書き込んで要点が埋もれやすくなります。応募先の仕事に近い経験を先に書き、関係の薄い経験は短くまとめます。

書き方伝わり方
「営業を担当」何をどれだけしたかが分からない
「法人営業として既存顧客40社を担当し、担当先の継続率を記録して改善の打ち手を決めた」担当の範囲と、仕事の進め方が分かる

自己PRの組み立ては職務経歴書の自己PRの書き方、AIで下書きした書類の直し方はAIで書いた職務経歴書の直し方で説明しています。

3. 書き方の形

数字が書けるところは数字にします。売上のように数字にしやすい仕事でなくても、担当した件数、人数、期間、手順を変えた結果などは書けます。役割は「担当」「取りまとめ」「責任者」のように、どこまで任されていたかが分かる言葉を選びます。

求人の年齢制限のルール

労働施策総合推進法(旧・雇用対策法)では、募集・採用で、年齢にかかわりなく均等な機会を与えることが事業主に求められています。厚生労働省の資料では、次のように説明しています。

  • 募集・採用の際には、原則として年齢を不問としなければならない
  • 形式的に求人票を「年齢不問」とすればよいのではなく、年齢を理由に応募を断ったり、書類選考や面接で年齢を理由に採否を決めたりすることは法律に反する
  • ハローワーク、民間の職業紹介、求人広告、会社のホームページでの直接の募集など、広く募集・採用に当てはまる

例外として年齢制限が認められる場合

例外は、省令で限られた場合だけです。

例外内容
1号定年の年齢を上限に、期間の定めのない雇用で募集する
2号労働基準法など法令で年齢の制限がある仕事
3号イ長期勤続でキャリアを築くために、若年者等を期間の定めのない雇用で募集する
3号ロ技能やノウハウを継ぐために、特定の職種で人数が少ない年齢層に限って、期間の定めのない雇用で募集する
3号ハ芸術・芸能で表現の真実性などが求められる
3号ニ60歳以上の人や、国の施策の対象となる年齢層に限って募集する

30代に関わりやすいのは3号イと3号ロです。

  • 3号イ:「若年者等」は基本的に35歳未満を想定していますが、必ずしも35歳未満に限られないとされています。この例外で募集する場合は、「〇〇の経験者」のような職務経験を応募の条件にできません
  • 3号ロ:「特定の年齢層」は30〜49歳のうちの5〜10歳の幅で、同じ幅の上下の年齢層と比べて人数が2分の1以下の場合に限られます。30代を対象にした募集が、この例外で行われることもあります

上限の年齢を付ける場合(65歳未満のものに限る)、会社は求職者などにその理由を書面や電子媒体で示すことになっています。

応募するときの確かめ方

  1. 見送られた求人の条件を並べる:必須の条件と自分の経験の重なりを数える
  2. 職務経歴書の冒頭を直す:応募先の仕事に近い経験を最初に書く
  3. 数字と役割を足す:担当の範囲、件数、期間を書く
  4. 年齢の条件を確かめる:年齢の条件がある求人は、どの例外に当たるかの記載を見る
  5. 記録を取りながら応募する:直した後の通過の数を数え、効いたかどうかを確かめる

読み違えやすい点

  • 通らない原因を年齢だと決めつける:会社が最も見ているのは経験・能力・知識です。先に応募先との合い方と書類を見直します
  • 年齢の上限がある求人はすべて違法と思う:法律で認められた例外があります。例外の種類と理由を確かめます
  • 「年齢不問」なら年齢は見られないと思う:書類や面接で年齢を理由に採否を決めることも法律に反するとされていますが、見送りの理由が示されない場合、応募者からは確かめにくいものです
  • 経歴をすべて同じ重さで書く:30代は経歴が長いので、応募先に近い経験を先に、厚く書きます

年齢を理由に応募を断られたなど、年齢制限のルールに反する扱いを受けたときは、最寄りのハローワークや都道府県労働局に相談できます。面接に進んだ後の準備は中途採用の面接でよく聞かれる質問、転職理由の伝え方は面接での退職理由の伝え方で説明しています。

まとめ

  • 30代の書類では、応募先の仕事にすぐ使える経験が書かれているかが中心に見られる
  • 転職者の賃金を決めるときに考慮した要素は「これまでの経験・能力・知識」が59.2%で最も多い(令和7年転職者実態調査)
  • 見直す順番は、応募先との合い方、職務経歴書の中身、書き方の形、年齢の扱い
  • 募集・採用の年齢制限は原則禁止で、書類選考で年齢を理由に採否を決めることも法律に反する
  • 例外は省令で限られ、30代に関わりやすいのは3号イと3号ロ。上限を付けるときは理由を示すことになっている

参考資料