「自分が休むと仕事が回らない」「あの人がいないと、だれもやり方が分からない」。こうした属人化した仕事は、担当している人が休みにくくなり、異動や退職のときに引き継ぎで大きな手間がかかります。

この記事では、属人化している仕事の見つけ方、棚卸しの項目、手順書の作り方、担当の決め方、上司への提案のしかたを整理します。

属人化しているかを見分ける

次の問いに「はい」が多い仕事ほど、属人化しています。

  • その人が1週間休んだら、止まる仕事があるか
  • やり方を書いたものがなく、本人の頭の中にしかないか
  • 本人しか知らないパスワードや連絡先、置き場があるか
  • 年に数回しかなく、毎回本人が思い出しながらやっているか
  • ほかの人に聞かれても、本人しか答えられないか

仕事を棚卸しする

まず、自分(またはチーム)の仕事を一覧にします。表計算のシートで、次の項目を埋めます。

項目書くこと
仕事の名前月次の請求書の発行
頻度と時期毎月25日
かかる時間2時間
使うもの請求のシステム、取引先の一覧、テンプレートの置き場
関係する人経理の担当者、取引先
できる人自分だけ
手順書なし
止まったときの影響取引先への請求が遅れる

「できる人」が1人で、「止まったときの影響」が大きい仕事から手をつけます。

手順書を短く作る

手順書は、完璧に作ろうとすると完成しません。次の順で、短く作ります。

  1. 次にその作業をするときに、やった順番を箇条書きでメモする:作業しながら書くと、抜けが少ない
  2. 画面の写しを貼る:どのボタンを押すかは、文章で書くより写しのほうが早く伝わる
  3. 判断が要るところを書き分ける:「金額が〇〇円を超えたら上司に確認」のように、迷うところの決まりを書く
  4. 置き場とパスワードの扱いを書く:ファイルの置き場を書く。パスワードは手順書に書かず、会社の決まりに沿って管理する
  5. ほかの人にやってもらい、つまずいたところを直す:書いた本人には抜けが見えません

手順書や引き継ぎ資料の置き場は1か所に決め、一覧から探せるようにします。置き場の台帳の作り方は引き継ぎで「ファイルどこ?」を防ぐ台帳、退職のときの引継ぎの進め方は退職の引継ぎのやり方にまとめています。

担当を決める

手順書があっても、だれもやったことがなければ、いざというときに止まります。仕事ごとに次の役割を決めます。

役割すること
主担当ふだんその仕事をする
副担当主担当が休むときに代わる。数か月に一度は実際にやる
確認する人結果を確かめる、判断が要るときに決める
知らせる人終わったことや結果を知らせる相手

副担当は、手順書を読むだけでなく、実際に一度やってみることが大切です。主担当が隣で見ながら副担当がやると、手順書の抜けも見つかります。役割の決め方は会議で決まったことが実行されないで扱っている役割分担の表も参考になります。

上司に提案する

属人化の解消は、自分だけではできません。副担当を決めるには、上司の判断が要ります。

提案するときは、次の3つをそろえます。

  1. 止まると困る仕事と、その影響:「〇〇の仕事は私しかできません。私が1週間休むと、取引先への請求が遅れます」
  2. やること:「手順書を作り、〇〇さんに副担当をお願いしたい。〇月の作業を一緒にやって、覚えてもらいます」
  3. かかる時間:「手順書に2時間、一緒にやるのに1回分(2時間)です」

最初から全部の仕事を対象にせず、1つの仕事から始めると、上司も判断しやすくなります。1つ目がうまくいけば、ほかの仕事にも広げられます。

読み違えやすい点

  • 手順書を作れば終わりと思う:副担当が実際にやってみるまで、属人化は解消していません
  • 完璧な手順書を目指す:短く作って、使いながら直します
  • パスワードを手順書に書く:会社の決まりに沿って、別に管理します
  • 一度に全部の仕事を対象にする:止まると困る仕事から、1つずつ進めます

まとめ

  • 休むと止まる仕事、本人の頭の中にしかない仕事が、属人化している仕事
  • 仕事を棚卸しし、できる人が1人で、止まると影響の大きい仕事から手をつける
  • 手順書は作業しながら短く書き、ほかの人にやってもらって直す
  • 主担当と副担当を決め、副担当は実際に一度やる。上司には1つの仕事から提案する