パソコンのフォルダ分けで毎回迷うのは、整理が苦手だからではありません。1つの階層の中に、違う基準で作ったフォルダが混ざっているので、1つのファイルに入れ先の候補が2つも3つもできてしまうのです。「A社」「見積書」「2025年度」が同じ段に並んでいれば、A社の2025年度の見積書は、そのどれにも入れられます。

分け方は、次の3つを決めれば固まります。階層ごとに分ける基準を1つだけにする(例:1段目は取引先、2段目は年度)、フォルダ名に番号を付けて並び順を固定する、ファイル名の型を決めて、フォルダをたどらなくても探せるようにする。ここでは、国の文書管理のガイドラインが共有フォルダに求めている構造も参考にしながら、組み直す手順と落とし穴を整理します。デスクトップに溜まる一時的なファイルの片付けはデスクトップを自動で片付ける設定で扱っているので、ここでは残しておくファイルの置き場所と名前に絞ります。

保存先に迷うのはなぜか

同じ段に、違う基準のフォルダが並んでいる

分類の考え方に「MECE(ミーシー)」という言葉があります。漏れなく、重なりなく分けるという意味です。フォルダに当てはめると、どのファイルにも入れ先があり(漏れがない)、しかも入れ先が1つに決まる(重なりがない)状態を指します。

迷いが生まれるのは、重なりがあるときです。取引先で分けたフォルダと、書類の種類で分けたフォルダが同じ段に並ぶと、1つのファイルが両方に当てはまります。入れる人によって置き場所が変わり、同じ種類のファイルが2か所に分かれ、探すときには両方を開くことになります。

漏れを「その他」で埋めている

逆に、どこにも当てはまらないファイルが出ると、「その他」「未分類」「一時」といったフォルダが作られます。これは漏れの受け皿ですが、入れる基準がないので、判断に迷ったものが何でも入ります。やがて「その他」がいちばん大きなフォルダになり、中を探すのに時間がかかるようになります。

「その他」が膨らんでいるなら、それは1段目の分け方に足りない項目がある合図です。

階層が深く、名前が本人にしか分からない

分け方に迷うたびに下の段を足していくと、目的のファイルにたどり着くまでに5段、6段と開くことになります。途中の段の名前が「資料」「作業用」「新しいフォルダー (3)」のようにあいまいだと、作った本人でさえ、どこに何を入れたかを覚えていられません。

いまのフォルダを診断する

組み直す前に、いまの構成のどこで迷いが生まれているかを確かめます。当てはまる行が多いところから直します。

当てはまる状態起きていること直すところ
同じ段に、取引先名と書類の種類が並んでいる基準の混在(重なり)段ごとに基準を1つにする
「その他」「未分類」がいちばん大きい入れ先の漏れ1段目の項目を見直す
4段以上たどらないと目的のファイルに着かない階層が深すぎる3段までに収める
同じ書類の「最終」「最新」が何本もある版の管理がないファイル名に日付と版を入れる
自分以外の人が開くと、場所が分からない名前が私的名前の決まりを文字にして置く

次に、各段で使う基準を選びます。基準にはそれぞれ向き不向きがあります。

分ける基準向いている仕事弱いところ
業務の種類(経理、採用、研修など)担当する業務が決まっている事務・管理の仕事1つの案件が複数の業務にまたがると迷う
取引先・案件営業、制作、プロジェクト型の仕事取引先が増えると一覧が長くなる
年度・期間毎年くり返す手続き(決算、評価、予算)年をまたぐ案件が2つに割れる
書類の種類(見積書、契約書など)書類ごとに保管の決まりがある仕事1つの案件の全体が1か所で見えない

多くの仕事では、1段目を「業務」か「取引先・案件」、その下の段を「年度」にすると迷いが少なくなります。仕事の単位で大きく分け、時間で区切る形です。

フォルダを組み直す手順

1. 階層は3段までにする

国の行政機関の文書の扱いを定めた「行政文書の管理に関するガイドライン」(内閣総理大臣決定、2025年2月一部改正)は、文書をまとめたファイルを、業務の性質や内容に応じて三段階の階層構造で分類し、分かりやすい名称を付けることとしています。共有フォルダを保存先に使う場合も、この分類に沿った階層構造にするなど、管理しやすい構成にするよう求めています。

会社の書類も、個人のフォルダも、考え方は同じです。大きな分類・中くらいの分類・小さな分類の3段に収めると、たどる手間と、入れ先の迷いの両方が減ります。

2. 1段目の項目を決め、番号を付ける

1段目には、画面をスクロールせずに見渡せる程度の数(目安として10個以内)の項目を置きます。名前の先頭には2桁の番号を付けます。エクスプローラーは名前の順に並べるので、番号を付けると、よく使う順や仕事の流れの順に並びが固定されます。同じガイドラインが示す共有フォルダの例も、「01_総務係」「01_職員の人事」のように番号を付けた名前になっています。

営業の担当者なら、例えば次のような形です。

01_取引先
    01_A社
        2025年度
        2026年度
    02_B社
02_社内の手続き
    01_経費精算
    02_勤怠・休暇
03_提案書のひな形
90_参考資料
99_終わった案件

90番台は、どの取引先にも属さない共通の資料、99番は取引が終わった案件の保管場所に使います。番号を飛ばしておくと、あとから項目を足しても並びが崩れません。

3. 2段目と3段目の基準を1つずつ決める

2段目は「取引先ごと」、3段目は「年度ごと」のように、段ごとに基準を1つに決めて、紙に書いておきます。前出のガイドラインも、文書のファイルは年度ごとにまとめることを原則としています(業務によっては、事業の始まりから終わりまでなど、別の区切りも認めています)。

途中で「この段に、書類の種類で分けたフォルダも足したい」と感じたら、それは基準の混在の始まりです。足す前に、ファイル名で区別できないかを考えます。

4. 「その他」の代わりに、期限付きの仕分け場所を1つだけ置く

どうしても行き先が決まらないファイルのために、1段目の先頭に「00_仕分け待ち」を1つだけ置きます。「その他」と違うのは、空にする日を決めている点です。週に1回、中身を所定の場所へ移し、移せないものが続けて出てきたら、1段目に新しい項目を足す合図と考えます。

ダウンロードしたばかりの一時的なファイルは、ここに入れず、ダウンロード フォルダーに置いたままにします。

5. ファイル名の型を決める

フォルダが整っていても、ファイル名がばらばらだと、中を開くまで区別がつきません。名前の型を1つに決めます。

20260927_A社_見積書_v02.xlsx
(日付_相手や案件_内容_版)
  • 日付は先頭に、年・月・日の順で、月と日は2桁にします。国際規格 ISO 8601 と同じ並びで、名前順に並べるとそのまま日付の順になります
  • 「最終」「最新」を使わず、v01、v02 と版の番号を付けます。「最終」は、次の修正が来た時点で意味がなくなります
  • 使えない文字を避けます。 Microsoft の技術文書「ファイル、パス、名前空間の名前付け」は、Windows のファイル名に < > : " / \ | ? * の9文字を使えないとし、名前の末尾をスペースやピリオドにしないよう求めています。OneDrive と SharePoint でも、同じ9文字と、名前の先頭・末尾のスペースが使えません(Microsoft サポート「OneDrive と SharePoint の制限事項と制約事項」)
  • CON、PRN、AUX、NUL などの名前は付けられません。 これらは Windows が機器の名前として予約しているためです。OneDrive と SharePoint では、「.lock」「desktop.ini」や「~$」で始まる名前も使えません

6. フォルダ名とファイル名を短く保つ

保存できる場所の長さには上限があります。Microsoft サポート「ファイル パスの長さの制限とは」によると、Windows は既定でパスの長さを260文字までとしており、OneDrive と SharePoint では、フォルダの道筋とファイル名を合わせて400文字を超えられません。Office のデスクトップ アプリでは、フル パスが260文字を超えるファイルは、手元に保存してあっても開けないとされています。

階層を深くし、1つひとつの名前を長くすると、この上限に近づきます。別の人のフォルダにコピーしたときに、そちらの階層が深くて開けなくなることもあります。段は3段まで、名前は中身が分かる最短の語で付けます。

7. 決まりを1枚に書いて、フォルダの一番上に置く

1段目の一覧、各段の基準、ファイル名の型、「00_仕分け待ち」を空にする日を、テキスト1枚にまとめて1段目に置きます。前出のガイドラインは、ファイルの名称について、内容を端的に示すキーワードを使い、特定の担当者しか分からない表現や用語は使わないこととしています。自分が異動や休みでいない日に、ほかの人がその1枚だけで同じ場所に置けるかを基準にすると、名前のあいまいさに気づけます。

組み直すときの落とし穴

一度に全部を移そうとする。 何年分ものファイルを新しい構成に振り分けようとすると、途中で手が止まり、古い構成と新しい構成が混ざった状態が長く続きます。新しい構成は今日から使うファイルだけに使い、古いものは「99_旧フォルダ(2026年9月まで)」のようにまとめて入れておきます。必要になったときに、検索で探して移せば十分です。

共有フォルダを一人で組み替える。 共有フォルダの場所は、ほかの人のショートカットや、手順書に書かれた保存先、メールに貼られたリンクから参照されています。移動や名前の変更で、それらがたどれなくなることがあります。共有の構成を変えるのは、使っている人たちで決めることです。個人で直せるのは、自分用のフォルダとファイル名の付け方までと考えます。

分けすぎる。 中に2〜3件しか入っていないフォルダが並ぶなら、分けすぎです。1つのフォルダに数十件入っていても、ファイル名の型がそろっていれば、名前順に並べるだけで見つかります。フォルダを増やす前に、名前で区別できないかを考えます。

版違いのファイルを添付で回し続ける。 同じ資料の v01、v02 が関係者それぞれの手元に増えていくのは、ファイルを添付して回すやり取りの結果でもあります。やり取りの手段から見直す考え方はメールをチャットに移すときの使い分けで扱っています。

段の基準を、その場の都合で変える。 「今回だけ」と別の基準のフォルダを足すと、1年後には元の混在に戻ります。段ごとの基準を上下の関係で考える方法は、目的と手段を段に分けて整理する考え方とも共通します。

ファイル管理や情報共有のほかの記事は業務効率・IT の一覧にまとめています。

参考資料