なでしこ銘柄は、経済産業省と東京証券取引所が、女性活躍推進に優れた上場企業を選ぶものです。平成24年度(2012年度)から毎年度続いています。女性の活躍に力を入れる上場企業を、中長期の企業価値の向上を重視する投資家に向けて紹介し、投資を通じて会社の取組を後押しすることがねらいです。
令和8年度(2026年度)は、なでしこ銘柄を最大30社程度、別枠の「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」を最大20社程度選びます。数が限られるため、選ばれた会社は上場企業の中でも女性の活躍の取組が評価された会社だといえます。この記事では、選ばれる基準の考え方、えるぼし認定との違い、選ばれた会社の公表値の傾向と、転職先選びで確かめることを整理します。
なでしこ銘柄の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施 | 経済産業省と東京証券取引所の共同(平成24年度から) |
| 対象 | 上場企業(応募した会社) |
| 選ぶ数(令和8年度) | なでしこ銘柄は最大30社程度。Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業は最大20社程度 |
| 業種ごとの上限 | 2026年7月末時点の上場企業数が300社未満の業種は最大2社、300社以上の業種は最大3社 |
| 応募の方法 | 「女性活躍度調査」(共通調査票となでしこ銘柄調査票)に回答する |
| 令和8年度の募集 | 2026年8月31日から10月22日12時まで |
業種ごとに上限があるため、同じ業種の中で取組が進んでいる会社が選ばれる形です。
選ばれる基準の考え方
経済産業省は、企業価値の向上につながる女性の活躍を進めるには、次の2つを両輪で進めることが大切だとしています。令和8年度は、この2つを両輪で進める会社をなでしこ銘柄として選びます。
- 採用から登用までの一貫したキャリア形成支援:女性を採るだけでなく、育て、管理職や役員へ登用していくまでの支援
- 共働き・共育てを可能にする性別を問わない両立支援:男性も女性も、仕事と子育てなどを両立できるようにする支援
2つ目の両立支援が特に優れた会社は、なでしこ銘柄とは別に「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」として選ばれます。両方に応募できますが、なでしこ銘柄に選ばれた会社は、Nextなでしこには選ばれません。
令和8年度からは「殿堂入り制度」もできました。なでしこ銘柄に複数回選ばれているなど、業界の中で際立った取組を続けている会社を、審査の上で殿堂入り企業として認定します。
えるぼし認定との違い
女性の活躍を表すものとしては、厚生労働省のえるぼし認定もあります。2つは仕組みが違います。
| 項目 | なでしこ銘柄 | えるぼし認定 |
|---|---|---|
| 実施 | 経済産業省・東京証券取引所 | 厚生労働大臣(女性活躍推進法にもとづく) |
| 対象 | 上場企業 | 上場していない会社や中小企業も含む |
| 数 | 毎年度、最大30社程度を選ぶ | 基準を満たせば認定される |
| 選び方 | 応募した会社を毎年度審査して選ぶ | 会社が申請し、基準を満たしているかで認定する |
えるぼしは基準を満たせば何社でも認定されるのに対し、なでしこ銘柄は応募した会社の中から数を絞って選びます。えるぼしの段階と基準は女性が働きやすい会社の探し方で扱っています。
選ばれた会社の公表値の傾向
Mixum の会社名鑑では、厚生労働省の「しょくばらぼ」で、なでしこ銘柄に選ばれたこと(過去の年度を含む)を公表している133社を一覧にしています。このうち上場していて、従業員101人以上の会社の公表値を、それ以外の上場企業と比べました(2026年9月18日に取り込んだ公表値を、2026年10月2日に集計。どの年度に選ばれたかは問わない)。
| 公表している数字 | なでしこ銘柄に選ばれた会社の中央値 | それ以外の上場企業の中央値 |
|---|---|---|
| 管理職に占める女性の割合 | 11.5%(98社) | 7.5%(1,748社) |
| 男性の育児休業等の取得率 | 92.0%(86社) | 75.0%(1,333社) |
| 男女の賃金の差異(全労働者、男性を100としたときの女性) | 72.6%(98社) | 70.0%(1,705社) |
| 年次有給休暇の取得率 | 76.5%(85社) | 72.3%(1,165社) |
| 法定時間外・休日労働の月平均 | 15.4時間(85社) | 14.3時間(1,067社) |
選ばれた会社は、女性管理職の割合と男性の育児休業の取得率で、それ以外の上場企業より高い傾向がありました。一方で、残業の時間はほぼ変わりません。なでしこ銘柄は女性の活躍と両立の取組を見るもので、働く時間が短い会社を選ぶものではないためです。
この一覧は、会社がしょくばらぼで公表している分だけで、選ばれた会社のすべてではありません。最新の年度に選ばれた会社は、経済産業省のなでしこ銘柄のページで確かめます。
転職先選びで確かめること
- 選ばれた年度を確かめる:会社のサイトに「なでしこ銘柄」とあっても、何年度の選定かを見る。経済産業省のページには、年度ごとのレポートや選定企業の事例集が載っている
- 会社名鑑で一覧を見る:なでしこ銘柄に選ばれた会社の一覧で、応募先や同じ業種の会社が載っているかを見る
- 最新の数字を見る:女性管理職比率、男女の賃金の差異、男性の育児休業の取得率を、しょくばらぼや有価証券報告書で確かめる。業種ごとの目安は女性管理職の比率が高い会社と男女の賃金格差の統計にまとめている
- 配属先のようすを聞く:会社全体の取組でも、部署によって働き方は違う。面接で、配属先に管理職の女性がいるか、育児をしながら働く人がいるかを尋ねる
読み違えやすい点
- 選ばれていない会社は女性が働きにくいと思う:選ばれるのは応募した上場企業のうち、業種ごとの上限の中の数社です。上場していない会社は対象になりません
- 一度選ばれたらずっと続くと思う:選定は年度ごとです
- 残業が少ない会社だと思う:選定は女性の活躍と両立の取組を見るもので、働く時間の長さの順位ではありません
- 会社全体の取組が配属先にも当てはまると思う:部署ごとのようすは面接で確かめます
まとめ
- なでしこ銘柄は、経済産業省と東京証券取引所が、女性活躍推進に優れた上場企業を毎年度選ぶもの
- 令和8年度は最大30社程度。業種ごとに2社か3社の上限がある
- 基準の考え方は「採用から登用までの一貫したキャリア形成支援」と「性別を問わない両立支援」の両輪
- 両立支援が特に優れた会社は、別枠の「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」に選ばれる
- 選ばれた会社は女性管理職比率と男性の育児休業の取得率が高い傾向。選ばれた年度と最新の数字をあわせて確かめる