「女性が働きやすい」「女性が活躍中」という言葉は、求人票や採用ページでよく見かけます。ただ、言葉だけでは、実際に女性が管理職になっているのか、男女で賃金にどのくらい差があるのかは分かりません。
こうした点は、会社が女性活躍推進法にもとづいて公表している数字から、かなりのところまで確かめられます。2026 年 4 月 1 日からは公表の義務がかかる会社の範囲が広がり、確かめられる会社が増えました。この記事では、公表される数字の定義と読み方、えるぼし認定の段階、そして数字を探す場所を順に整理します。
見るのは 3 つ
女性が働きやすいかを数字で確かめるとき、見るところは次の 3 つです。
| 知りたいこと | 確かめられる数字・事実 |
|---|---|
| 女性が上の役職に就いているか | 女性管理職比率 |
| 男女で賃金に差がないか | 男女間賃金差異(全労働者・正社員・非正規の 3 区分) |
| 会社全体の取組が国の基準に届いているか | えるぼし・プラチナえるぼし・えるぼしプラスの認定 |
このほかに、男女の平均継続勤務年数の差や、男女別の育児休業取得率、平均残業時間なども、会社が選んで公表していることがあります。
公表の義務は 2026 年 4 月に広がった
女性活躍推進法の改正(2025 年 6 月 11 日公布、2026 年 4 月 1 日施行)で、情報公表の必須項目が次のように変わりました。
| 会社の規模(常時雇用する労働者) | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 301 人以上 | 男女間賃金差異 + 2 項目以上 | 男女間賃金差異 + 女性管理職比率 + 2 項目以上 |
| 101〜300 人 | 1 項目以上 | 男女間賃金差異 + 女性管理職比率 + 1 項目以上 |
| 100 人以下 | 努力義務 | 努力義務 |
初回の公表は、改正法の施行後に最初に終わる事業年度の実績を、次の事業年度が始まってからおおむね 3 か月以内に出すことになっています。たとえば 2027 年 3 月末に事業年度が終わる会社は、おおむね 2027 年 6 月末までに公表します。このため、101〜300 人の会社では、まだ初回の公表が出ていないこともあります。
100 人以下の会社は努力義務なので、公表していないからといって、取組がないとは限りません。
1. 女性管理職比率を読む
定義
女性活躍推進法の公表でいう「管理職」は、課長級と、課長級より上の役職(役員を除く)の合計です。課長級は、2 係以上からなる組織か、構成員が 10 人以上(課長を含む)の組織の長、またはそれと同じ程度の職務と責任を持つ人を指します。一般的に「課長代理」や「課長補佐」は課長級に入りません。
会社によって「課長」の範囲は違いますが、公表の数字はこの定義にそろえて出されています。
全国平均と比べる
厚生労働省「令和 7 年度雇用均等基本調査」(2026 年 7 月 31 日公表、常用労働者 10 人以上の企業)では、管理職等に占める女性の割合は次のとおりでした。
| 役職 | 女性の割合 | 前年度 |
|---|---|---|
| 課長相当職以上(役員を含む) | 13.8% | 13.1% |
| 役員 | 21.0% | 21.1% |
| 部長相当職 | 9.2% | 8.7% |
| 課長相当職 | 13.2% | 12.3% |
| 係長相当職 | 20.9% | 21.1% |
業種による差がとても大きく、課長相当職以上の女性の割合は「医療、福祉」が 53.6%と突出して高く、次いで「教育、学習支援業」21.3%、「生活関連サービス業、娯楽業」20.1%でした。医療・福祉の会社の 30%と、製造業の会社の 30%では、意味がまったく違います。同じ業種の平均と比べるのが公平です。
なお、この調査の「課長相当職以上」は役員を含み、会社が公表する女性管理職比率は役員を含みません。目安として比べてください。
もう 1 つの物差し:社員に占める女性の割合
管理職の女性の割合だけでなく、社員全体に占める女性の割合と並べると、昇進の道が開かれているかが見えます。社員の半分が女性なのに管理職の女性が 1 割に届かなければ、途中の段階で女性が減っている可能性があります。会社によっては、「労働者に占める女性労働者の割合」や「係長級にある者に占める女性労働者の割合」も公表しています。
2. 男女の賃金の差異を読む
定義
男女間賃金差異は、男性の平均賃金に対する女性の平均賃金の割合をパーセントで示したものです。「全労働者」「正規雇用労働者」「非正規雇用労働者」の 3 つの区分で公表することになっています。
対象期間や、対象にした労働者の範囲、賃金に含めたもの(たとえば通勤手当を除いたか)は会社ごとに決め、前提として書き添えることになっています。数字だけでなく、その付記も読んでください。
3 つの区分を見比べる
読み方のこつは、3 つの区分を並べることです。
- 全労働者の差が大きく、正社員どうしの差が小さい:女性にパートや有期の人が多いことが、差の主な理由と考えられます
- 正社員どうしでも差が大きい:女性が管理職や高い等級に少ない、職種で分かれている、勤続年数に差があるなどの理由が考えられます
会社は、数字の要因や課題の分析を「説明欄」に書くことができます。厚生労働省も、数字の大小だけでなく要因の分析と改善の取組を示すことを勧めています。説明欄に何が書かれているかは、会社の姿勢を見る手がかりになります。
全国の数字
厚生労働省「令和 7 年賃金構造基本統計調査」では、一般労働者の賃金(2025 年 6 月分の所定内給与)は男性 373.4 千円、女性 285.9 千円で、男女間賃金格差(男性=100)は 76.6 でした。前年は 75.8 です。
この数字は月々の所定内給与で出したもので、会社が公表する差異とは計算の仕方が違います。そのまま比べるのではなく、差の大きさの目安として使ってください。
3. えるぼし認定の段階を読む
えるぼしは、女性活躍推進法にもとづく行動計画を立てて届け出た会社のうち、女性の活躍の状況が優良な会社を厚生労働大臣が認定する制度です。評価するのは次の 5 つの項目です。
- 採用
- 継続就業
- 労働時間等の働き方
- 管理職比率
- 多様なキャリアコース
基準を満たした項目の数で段階が決まります。
| 認定 | 基準 |
|---|---|
| えるぼし 1 段階目 | 5 項目のうち 1〜2 項目の基準を満たし、実績を毎年公表。満たさない項目は取組を行い、実績が改善していること |
| えるぼし 2 段階目 | 5 項目のうち 3〜4 項目の基準を満たし、実績を毎年公表。満たさない項目は取組を行い、2 年以上連続で改善していること |
| えるぼし 3 段階目 | 5 項目すべての基準を満たし、実績を毎年公表 |
| プラチナえるぼし | 行動計画の目標を達成し、プラチナえるぼしの 5 項目すべての基準を満たし、公表項目のうち 8 項目以上を「女性の活躍推進企業データベース」で公表 |
同じ「えるぼし」でも、1 段階目と 3 段階目では満たしている基準の数が違います。認定マークの段階(星の数)まで確かめてください。
2026 年 4 月からの「えるぼしプラス」
2026 年 4 月 1 日から、えるぼし・プラチナえるぼしに女性の健康支援の基準を加えた「えるぼしプラス」「プラチナえるぼしプラス」を申請できるようになりました。加わる基準は次の 4 つです。
- 女性の健康上の特性に配慮した休暇制度と、時間単位の年休・時差出勤・フレックスタイム・短時間勤務・在宅勤務などのいずれかの制度がある
- 女性の健康への配慮に関する方針を示し、制度とあわせて社員に知らせている
- 女性の健康への配慮について、研修などで社員の理解を進めている
- 担当者を選び、女性の健康に関する相談に応じる体制を整え、社員に知らせている
体調に波があっても働き続けられる制度が整っているかを知りたいときの手がかりになります。
数字を探す場所
女性の活躍推進企業データベース
厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」は、会社が女性活躍推進法にもとづく情報を公表する場です。厚生労働省も、公表の場として最も適切だとしています。会社名で検索すると、女性管理職比率や男女間賃金差異などの数字と、説明欄、行動計画を見られます。
プラチナえるぼしの会社はこのデータベースで 8 項目以上を公表することが認定の条件なので、特に多くの数字が載っています。
会社の採用ページ・ホームページ
データベースではなく、自社のホームページで公表している会社もあります。採用ページの「数字で見る」「働く環境」などの欄や、サステナビリティの報告に載っていることがあります。
一般事業主行動計画
常時雇用する労働者が 101 人以上の会社は、女性の活躍に関する行動計画を立てて届け出て、公表することになっています。行動計画には、会社が自社の課題をどう見ているか、いつまでに何を目標にしているかが書かれています。数字の目標があるか、期限が書かれているかを見ると、取組の具体性が分かります。
公表していない会社を見るとき
100 人以下の会社は公表が努力義務なので、数字が見つからないこともよくあります。その場合は、求人票や面接で次のようなことを確かめると、判断の材料になります。
- 社員と管理職のそれぞれに占める女性の人数
- 女性の平均勤続年数(男性との差)
- 育児休業から戻った人が、いまも働いているか
人数の少ない会社では、割合より人数そのものを聞くほうが実態をつかみやすくなります。
まとめ
- 2026 年 4 月 1 日から、101 人以上の会社は女性管理職比率と男女間賃金差異の公表が義務。100 人以下は努力義務
- 女性管理職比率の全国平均は課長相当職以上で 13.8%(令和 7 年度)。業種で大きく違うので、同じ業種と比べる
- 男女間賃金差異は全労働者・正社員・非正規の 3 区分を並べて読む。付記と説明欄もあわせて見る
- えるぼしは 5 項目のうち満たした数で 3 段階。プラチナえるぼし、2026 年 4 月からのえるぼしプラスもある
- 数字は「女性の活躍推進企業データベース」と会社のホームページで探せる。行動計画で目標と期限を確かめる
