金融業,保険業の女性の管理職の割合は、全産業と比べてやや高めです。厚生労働省の令和7年度雇用均等基本調査で、課長相当職以上(役員を含む)に占める女性の割合は15.0%で、全産業の13.8%を上回りました。

ただし、役職ごとに見ると形がはっきりします。係長相当職では33.2%と全産業の20.9%を大きく上回る一方、課長相当職では17.3%、部長相当職では7.8%に下がります。女性の社員は多く、係長までは登用が進んでいるものの、その上の役職への登用はまだ少ない業種です。応募先を選ぶときは、管理職全体の比率だけでなく、役職ごとの数字と推移を見るのが確実です。

国の統計で見る金融業の女性管理職

雇用均等基本調査は、常用労働者10人以上の企業を対象に、厚生労働省が毎年行う調査です。令和7年度は2025年10月1日時点の状況を調べています。

役職金融業,保険業全産業
課長相当職以上(役員を含む)15.0%13.8%
係長相当職以上(役員を含む)20.7%16.2%
役員8.7%21.0%
部長相当職7.8%9.2%
課長相当職17.3%13.2%
係長相当職33.2%20.9%

係長から課長、課長から部長へと上がるにつれて、女性の割合が大きく下がるのが金融業の特徴です。全産業でも同じ傾向はありますが、係長の33.2%から部長の7.8%へという落ち幅は、ほかの業種より大きくなっています。役員に占める女性の割合は8.7%と、全産業の21.0%を大きく下回りました。

会社が公表している数字の中央値

会社ごとの数字は、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」や「しょくばらぼ」で、会社が自ら公表しています。Mixum の会社名鑑で、金融業・保険業の会社の公表値を集計しました(2026年9月18日に取り込んだ公表値を、2026年10月2日に集計)。

項目公表している社数4分の1の会社中央値4分の3の会社
管理職に占める女性の割合713社9.1%16.1%25.0%
役員に占める女性の割合404社0%9.0%15.4%
男女の賃金の差異(全労働者・男性=100)605社57.065.272.3
男性の育児休業取得率472社60.0%96.3%100%

管理職の女性の割合の中央値16.1%は、全業種の中央値(11.1%)を5ポイント上回ります。女性の管理職が0人と公表している会社は5.3%と少なく、多くの会社に女性の管理職がいます。一方、30%以上の会社は15.3%でした。

これは数字を公表している会社だけの値で、金融業・保険業全体の平均ではありません。会社が公表する「管理職」の範囲(課長級以上か、など)は会社によって違うことがあるので、注記を確かめてください。

賃金の差異は全業種で最も大きい側

男女の賃金の差異(男性の平均賃金を100としたときの女性の平均賃金)の中央値は65.2で、全業種の中央値72.8を大きく下回りました。公表している会社が50社以上ある業種の中で最も低い水準です。役職の高い人に男性が多いことや、職種のコース(総合職・一般職など)の男女の構成の違いが、平均賃金の差に表れていると考えられます。賃金の差異の数字は、制度の差だけでなく、役職と職種の構成の結果でもある点に注意が必要です。

2026年4月からの公表の義務

女性活躍推進法の改正により、2026年4月1日から、常時雇用する労働者が101人以上の会社に、男女の賃金の差異と管理職に占める女性の割合の公表が義務づけられました(それまでは301人以上の会社が対象)。法律の有効期限も2036年3月31日まで延びています。この規模の応募先であれば、2つの数字が公表されているはずなので、確かめやすくなりました。

応募先の登用を確かめる手順

  1. 業種の目安を知る:金融業・保険業の会社の女性管理職の割合の中央値は16.1%。国の統計では課長以上15.0%
  2. 応募先の数字を探す:女性の活躍推進企業データベースで、管理職と役員の女性の割合、賃金の差異を見る。会社名鑑の金融・保険の女性管理職比率が高い会社の一覧からも探せる
  3. 役職ごとに見る:係長・課長・部長と分けて公表している会社なら、どの段で女性が減るかを確かめる
  4. 推移を見る:3〜5年前の数字と比べ、増えているかを確かめる。行動計画の数値目標も参考になる
  5. 職種のコースを確かめる:総合職・一般職・地域限定などのコースの違いと、コースの転換の制度と実績を面接で尋ねる

女性が働きやすい会社を数字で探す全体の流れは、女性が働きやすい会社の探し方にまとめています。

読み違えやすい点

  • 管理職全体の比率だけで判断する:係長に女性が多いと全体の比率は上がりますが、部長への登用は別です
  • 「管理職」の範囲を同じと思う:会社によって、課長級以上か、係長級を含むかが違うことがあります
  • 人数の少ない会社の比率を大きく読む:管理職が少ない会社では、1人の違いで比率が大きく動きます
  • 賃金の差異を同じ仕事の賃金差と思う:役職と職種の構成の違いも含んだ、平均どうしの比較です

まとめ

  • 令和7年度雇用均等基本調査で、金融業,保険業の課長相当職以上の女性の割合は15.0%(全産業13.8%)
  • 係長33.2%・課長17.3%・部長7.8%と、役職が上がるほど女性の割合が大きく下がる
  • 会社名鑑で公表している713社の中央値は16.1%、男女の賃金の差異の中央値65.2は全業種で最も低い側
  • 2026年4月から、101人以上の会社に女性管理職の割合と賃金の差異の公表が義務になった
  • 役職ごとの数字・推移・コースの制度を合わせて、応募先の登用を確かめる

参考資料