転職活動を始めると、転職サイトと転職エージェントの両方の名前を目にします。どちらも「求人を探す手段」に見えますが、法律の上では別の事業で、仕組みも、守るべき決まりも違います。

この記事では、厚生労働省の求職者向けの資料をもとに、2つの違いと、事業者について確かめられる公開情報、使い分けで気をつける点を整理します。

法律の上での違い

転職サイト(求人サイト)転職エージェント
法律の上での事業募集情報等提供職業紹介(有料の場合は厚生労働大臣の許可が必要)
していること会社の求人の情報を求職者に届ける。求職者の情報を会社に届ける求人と求職の申込みを受け、会社と求職者の間で雇用関係が成り立つように間に入る
求人の選び方求職者が自分で検索して応募する事業者が求人を選んで示し、応募や日程の調整にも入る

厚生労働省のパンフレットによると、募集情報等提供は、会社から頼まれて募集の情報を求職者に届けることや、求職者から頼まれて求職者の情報を会社に届けることを事業として行うもので、求人サイトや求人情報誌が当たります。

一方で、求人サイトの事業者でも、あらかじめ決めた客観的な条件によらずに、自分の判断で情報を選んだり加工したりすることや、求職者に求人の情報を連絡すること、会社と求職者のやり取りの中身を加工することを事業として行う場合は、職業紹介の許可などが必要とされています。名前が「サイト」か「エージェント」かではなく、していることで区別されるわけです。

手数料はだれが払うか

有料の職業紹介事業者が受け取れる手数料は、職業安定法で決まった種類に限られています。主なものは次のとおりです。

手数料だれが払うか
上限制手数料・届出制手数料求人者(採用した会社)。上限制は法令で決まった最高額の範囲、届出制は厚生労働大臣に届け出た額
求職者手数料求職者。ただし、芸能家・モデルと、紹介で就いた仕事の年収が700万円を超える経営管理者・科学技術者・熟練技能者の職業に限られる

つまり、多くの転職では、転職エージェントの手数料は採用した会社が払い、求職者は払いません。事業者は、求人と求職の申込みを受けたあと、手数料に関する事項や返戻金の制度(短い期間で辞めた場合に手数料を返す制度)などを、求人者と求職者に示すことになっています。

厚生労働省のパンフレットは、求人者への手数料と求職者への手数料の両方について説明があったかを確かめるよう勧めています。

人材サービス総合サイトで確かめられること

厚生労働省は「人材サービス総合サイト」を運営していて、職業紹介事業者を探し、次のような情報を確かめられます。

  • 許可を受けた事業者として載っているか
  • 紹介で就職した人の数
  • そのうち、6か月以内に辞めた人の数
  • 手数料に関する事項
  • 返戻金の制度の有無と内容
  • 得意とする分野など(事業者が任意で載せる)

6か月以内に辞めた人の数は、職種や業界によって事情が違うため、パンフレットは参考の情報の一つとして見るよう注意しています。

転職エージェントについて決まっていること

厚生労働省のパンフレットには、求職者が確かめるとよい点として、次のような決まりが挙がっています。

  • 求職の申込みは、法令に違反する場合を除いてすべて受け付ける
  • 労働条件は、原則として最初に接触するときまでに示す:書面、ファクシミリ、電子メールなどで示す
  • 求職の申込みの対価としてのお祝い金は禁止:社会通念上相当な程度を超えて、求職者に金銭などを渡してはならない
  • 就職後2年間の転職の勧奨は禁止:自らの紹介で就職した人(無期雇用契約に限る)に、就職の日から2年間、転職をすすめてはならない
  • 紛らわしい名前の禁止:ハローワークと取り違えるような名前を使っていないか
  • 苦情の処理:あっせんのあとも含めて、求職者からの苦情を速やかに処理する体制を整えるよう努める

使い分けで気をつけること

  • 同じ求人に二重に応募しない:転職サイトで応募した会社に、エージェント経由でも応募すると、会社の側で混乱が起きます。どこから応募したかを一覧にしておきます
  • 条件は書面で確かめる:求人の条件は、求人票や労働条件の明示で確かめます。2024年4月からは、業務と就業場所の変更の範囲も示すことになりました。求人票の読み方は求人票の見方、面接での確かめ方は逆質問で働く条件を確かめるにまとめています
  • 会社そのものは自分でも調べる:どの手段で見つけた求人でも、応募先の働き方の数字は、厚生労働省のしょくばらぼなどで確かめられます。調べ方は会社の評判の調べ方にまとめています
  • 合わない求人は早めに断る:エージェントから示された求人が希望と違うときの判断と断り方は、転職エージェントに求人を押し付けられるときにまとめています

読み違えやすい点

  • 「サイト」と名乗っていれば職業紹介ではないと思う:していることで区別されます
  • エージェントの利用に求職者の費用がかかると思う:多くの転職では、手数料は採用した会社が払います。求職者から取れる職業は限られています
  • 6か月以内に辞めた人が多い事業者は悪いと決めつける:職種や業界で事情が違います。参考の一つとして見ます
  • 担当者の説明だけで条件を決める:条件は書面で確かめます

まとめ

  • 転職サイトは「募集情報等提供」、転職エージェントは許可を受けて行う「職業紹介」で、法律の上で別の事業
  • 有料の職業紹介の手数料は、多くの場合、採用した会社が払う。求職者から取れるのは、芸能家・モデルと年収700万円を超える一部の職業に限られる
  • 人材サービス総合サイトで、許可の有無、就職した人の数、6か月以内に辞めた人の数、手数料、返戻金の制度を確かめられる
  • 紹介で就職した人への2年間の転職の勧奨や、求職の申込みの対価としてのお祝い金は禁止されている

参考資料