休日に思いついた仕事の連絡は、多くの場合、月曜の朝に届けば間に合います。送る側は、忘れないうちに書いておき、予約送信で相手の始業後に届くようにするのがいちばん手軽な配慮です。本当に休日のうちに伝えなければならない用件だけを、電話など、あらかじめ決めた急ぎの経路で送ります。

受ける側は、チャットの通知を曜日単位で止め、急ぎの経路だけを残しておきます。休日の対応が続くなら、日時と対応した時間を記録し、労働時間や休日労働としてどう扱われるかを会社に確かめます。勤務時間外の連絡を断れる「権利」については、国の研究会が社内ルールづくりを促す方策を検討すべきだとした段階で、この記事で言い切れることはありません。

休日の連絡が負担になる理由

送る側は「送っただけ」、受ける側は「届いた時点で仕事」

送る側にとって、休日のメッセージは「忘れないうちに送っておいた」だけのことが多くあります。けれど受ける側は、通知を見た瞬間に仕事のことを考え始め、返事をしなくても月曜までその用件が頭に残ります。

開くまで、急ぎかどうかが分からない

通知には、急ぎかどうかは表示されません。急ぎでない連絡と急ぎの連絡が同じ経路で届く限り、受ける側は「念のため」すべてを開くことになります。

立場が上の人からの連絡は、返したくなる

上司や取引先からの連絡は、「返信は月曜で結構です」と書いてあっても、すぐ返したほうがよいのではと考えてしまいがちです。

休日に送る前の判断

休日に用件を思いついたら、送る前に次の表で振り分けます。

用件の種類休日に届ける必要送り方
月曜に読めば間に合う報告・依頼ない予約送信で、相手の始業後に届ける
忘れないように書き留めたいだけない下書きか自分宛てのメモに残し、月曜に送る
月曜の朝いちばんに判断してほしいない(ただし早めに届けたい)予約送信で月曜の始業直後に。金曜のうちに予告しておくとなおよい
事故・システム障害・顧客や従業員の安全にかかわるあるチャットではなく、電話など決めておいた急ぎの経路で

迷ったときは、「この連絡を月曜の 10 時に読んだら、何か困ることが起きるか」を考えます。困ることが思いつかなければ、休日に届ける必要はありません。

それでも休日に送るときは、返事の要否と期限を必ず書きます。

休日に失礼します。確認は月曜で大丈夫です。返信も不要です。 来週の打ち合わせ資料を共有フォルダに置きました。

予約送信の設定(主なツール)

メールやチャットの多くには、送信日時を指定して送る機能があります。以下は、各メーカーの公式ヘルプで 2026 年 9 月に確かめた手順です。画面の表記は更新で変わることがあるので、見当たらないときは各ヘルプを確かめてください。

ツール予約のしかた予約した後の確認・取り消し
Gmail(パソコン)メールを作成し、「送信」の横の下矢印から「送信日時を設定」を選ぶ左側の「予定」から開き、「送信をキャンセル」を押すと下書きに戻る
Outlook(新しい Outlook・Web 版)「送信」の横のドロップダウンから「送信のスケジュール」を選び、日時を指定する配信時刻まで「下書き」フォルダーに残る
Slack送信ボタンの横の矢印から送信日時を設定する。モバイルは送信アイコンを長押し「下書き&送信済み」の「送信日時を設定済み」から編集・再設定・キャンセルができる
Microsoft Teams(チャット)デスクトップは「アクションとアプリ」から「メッセージのスケジュール」を選ぶ。モバイルは送信ボタンを長押しする予約したメッセージから編集、日時の変更、削除ができる

ツールごとの注意点もあります。

  • Gmail は、送信日時を設定できるのが最大 100 件で、指定した時刻から数分遅れて送られることがあります。時刻は、設定したときのタイムゾーンで扱われます(Google「メールの送信日時を設定する」)。
  • Outlook の新しい Outlook では、IMAP や POP のアカウントではこの機能を使えません。従来の Outlook(クラシック版)では、「タグ」グループの「メッセージ オプション」から配信日時を指定する方法があり、その場合は送信時刻に Outlook がオンラインで接続されている必要があります(Microsoft サポート「Outlook でのメール メッセージの送信を延期または予定する」)。

予約の時刻の決め方

月曜の 9 時ちょうどに予約を集めると、相手の始業と同時に通知が重なり、朝の最初の時間がそれで埋まります。急ぎでなければ、始業から少し後の時刻にするか、用件の期限に合わせて火曜以降に送ることも考えます。

受ける側の線引き

1. 通知を曜日単位で止める

スマートフォンのチャットアプリは、平日の決まった時間だけ通知を受け取る設定ができるものがあります。

  • Slack:プロフィール写真から「環境設定」を開き、「通知を許可」を「平日」または「カスタム」にして時間帯を選ぶと、それ以外の時間は通知が一時停止されます。一時停止中でも、ダイレクトメッセージを送る人は 1 日に 1 回、緊急の連絡として通知を届けられます(Slack ヘルプセンター「Slack 通知を一時停止する」)
  • Microsoft Teams(モバイル):プロフィール画像から「通知」を開き、「通知のブロック」で「静かな時間中にブロック」を選びます。「終日」をオンにして曜日を選ぶと、その曜日は通知が鳴りません(Microsoft サポート「モバイル デバイス用の Microsoft Teams の非通知時間」)

勤務日の通知を時刻で区切る方法はチャットの通知疲れ対策で扱っているので、ここでは休日を丸ごと止めることに絞っています。止める前に、休日に対応が必要な役割(当番など)が自分にないかを確かめてください。

2. 急ぎの経路を 1 つだけ決めておく

通知を止めると「本当に急ぎのときに気づけない」という不安が残ります。チームで「休日に対応が必要な連絡は電話だけ」「当番の人にだけ連絡する」と決めておけば、チャットは安心して止められます。チームで決めておく項目は、時間外の連絡の扱いを含めたチームの決め方にまとめています。

3. 休日に対応したら、記録を残す

休日に連絡を受けて作業をしたときは、日時、連絡してきた人、内容、対応にかかった時間をメモしておきます。

4. 休日の対応がどう扱われるかを確かめる

厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(2017 年)は、使用者の明示または黙示の指示で業務に従事する時間は労働時間に当たるとし、該当するかどうかは就業規則の定めによらず、客観的に判断されるとしています。

休日にも種類があります。労働基準法第 35 条は、毎週少なくとも 1 回(または 4 週間で 4 日以上)の休日を与えることを定めており、この法定休日に働いた場合は 35%以上の割増賃金が必要です(厚生労働省「確かめよう労働条件」)。週休 2 日の会社では、休日の 1 日が法定休日で、もう 1 日は会社が決めた休日という場合があり、どちらに働いたかで扱いが変わります。自分の会社のどの曜日が法定休日かは、就業規則で確かめてください。

「つながらない権利」について分かっていること

厚生労働省の労働基準関係法制研究会の報告書(2025 年 1 月公表)は、「つながらない権利」を検討課題の一つとして取り上げています。報告書は、フランスなどで法制化の例があることを紹介したうえで、勤務時間外にどのような連絡までが許容でき、どのようなものは拒否できるのかについて労使で社内ルールを検討していくことが必要で、その話し合いを促す方策(ガイドラインの策定等)を検討すべきだとしています。

つまり報告書の段階では、休日の連絡を断れる権利が決まったわけではありません。今後の動きは、厚生労働省の発表で確かめてください。

休日の連絡の扱いに疑問があるときは、まず社内の人事・労務の窓口に確かめます。社内で解決しにくいときは、各都道府県労働局や労働基準監督署の中にある総合労働相談コーナー(無料)、法律に反している疑いがあるときは労働基準監督署、個別の法的な判断が必要なときは弁護士に相談できます。

実行するときの落とし穴

  • 予約した内容が、月曜までに古くなる。 金曜の夜に予約した報告が、土日のうちに状況が変わって正しくなくなることがあります。月曜の朝、送られる前に予約の一覧を見直す習慣をつけます。
  • 「返信は月曜で」と書きながら、問いかけで終える。 「〜でしょうか?」で終わる文面は、返事を求めているように読まれます。休日に送るなら、問いは月曜に回し、共有だけにします。
  • 「見るだけなら大丈夫」と通知を開く。 見た時点で、頭は仕事に戻ります。通知を止めた休日は、急ぎの経路以外は開かないと決めておきます。
  • 個人の工夫だけで済ませ続ける。 通知を止めても、休日の連絡が当たり前の職場では、止めた人が不利に感じます。休日の連絡の扱いは、チームや会社で決めることです。金曜のうちに仕事を締めて、休日に持ち越さない段取りは仕事を週末に持ち越さない方法で整理しています。

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参考資料