育休の制度は、法律で決まっているので、どの会社にもあります。求人票の「育児休業制度あり」は、実はほとんど何も区別していません。
差が出るのは、実際に取られているかと、戻ったあとも働き続けられるかです。そしてこの 2 つは、会社が国の制度にしたがって公表している数字から、かなりのところまで確かめられます。この記事では、男女別の育児休業取得率の読み方、くるみん認定の段階と基準、そして全国平均との比べ方を順に整理します。
見るのは「制度があるか」ではなく「使われているか」
子育てとの両立で確かめたいことは、たいてい次の 3 つに分かれます。
| 知りたいこと | 確かめられる数字・事実 |
|---|---|
| 育休を取れるか | 男女別の育児休業取得率 |
| 会社として両立支援に取り組んでいるか | くるみん・プラチナくるみん・トライくるみんの認定 |
| 戻ったあとに働き続けられるか | 残業時間、有給休暇の取得率、女性の平均継続勤務年数 |
いずれも、会社が「しょくばらぼ」(厚生労働省の職場情報総合サイト)や「女性の活躍推進企業データベース」、有価証券報告書に自ら出している値です。口コミのように書き手によって揺れる情報ではなく、定義と時点が決まった数字なので、会社どうしを同じ物差しで比べられます。
1. 男女別の育児休業取得率を読む
公表が義務になっている会社
育児・介護休業法では、男性の育児休業等の取得状況を年 1 回公表することが、会社に義務づけられています。対象は、常時雇用する労働者が 1,000 人を超える会社(2023 年 4 月から)で、2025 年 4 月からは 300 人を超える会社にも広がりました。公表はインターネットなど誰でも見られる方法で、事業年度が終わってからおおむね 3 か月以内に行うことになっています。
300 人以下の会社は義務ではありません。公表していない会社があっても、それだけで「取得者がいない」とは読めない点に注意してください。
2 つの算定方法
会社が公表する男性の取得率には、法律で決められた 2 つの算定方法があり、どちらかを選んで公表します。
| 算定方法 | 分子 | 分母 |
|---|---|---|
| ① 育児休業等の取得割合 | 育児休業等をした男性の数 | 配偶者が出産した男性の数 |
| ② 育児休業等と育児目的休暇の取得割合 | 育児休業等をした男性の数+育児を目的とした休暇制度を利用した男性の数 | 配偶者が出産した男性の数 |
② には、就業規則などで育児を目的とすると定めた会社独自の休暇が含まれます。数日の休暇でも数えられるため、同じ会社でも ② のほうが高く出やすいことを覚えておいてください。会社のページや資料に「どちらの方法か」が書かれていれば、あわせて確かめます。
また、分母はその事業年度に配偶者が出産した男性、分子はその事業年度に育休を始めた男性です。前の年度に生まれた子のために今年度育休を取った人は分子にだけ入るため、取得率が 100% を超えることがあります。誤りではありません。
全国平均と比べる
厚生労働省「令和 7 年度雇用均等基本調査」(2026 年 7 月 31 日公表)では、育児休業取得者の割合は次のとおりでした。
| 令和 7 年度 | 令和 6 年度 | |
|---|---|---|
| 女性 | 88.3% | 86.6% |
| 男性 | 50.9% | 40.5% |
これは、2023 年 10 月から 2024 年 9 月までに出産した女性(男性は配偶者が出産した男性)のうち、2025 年 10 月 1 日までに育児休業(産後パパ育休を含む)を始めた人の割合です。会社が公表する取得率とは数え方が同じではないので、大まかな目安として使ってください。
小さな会社では、対象者が 1〜2 人しかいない年もあります。1 人が取れば 100%、取らなければ 0% になるため、1 年分の数字だけで判断せず、何年か続けて見るか、分母の人数が分かれば一緒に確かめます。
2. くるみん認定の段階を読む
くるみんとは
くるみんは、次世代育成支援対策推進法にもとづく認定です。会社が子育て支援の「一般事業主行動計画」を立て、その目標を達成し、育休の取得や労働時間などの基準を満たすと、厚生労働大臣の認定を受けられます。常時雇用する労働者が 101 人以上の会社は行動計画を立てて届け出ることが義務で、100 人以下の会社は努力義務です。
認定には段階があります。
- トライくるみん:くるみんより基準がゆるやかな認定
- くるみん:標準の認定
- プラチナくるみん:くるみんまたはトライくるみんを受けた会社が、さらに高い基準を満たしたときの認定。毎年少なくとも 1 回、取組の状況を外部に公表することになっています
- くるみんプラス:上の認定に加えて、不妊治療と仕事の両立に取り組む会社への認定
2025 年 4 月から基準が上がった
くるみんの基準は、2025 年 4 月 1 日から引き上げられました。男性の育休の基準は次のとおりです。
| 認定 | 男性の育休等取得率(新) | 旧基準 | 育休等と育児目的休暇の取得率(新) | 旧基準 |
|---|---|---|---|---|
| トライくるみん | 10%以上 | 7%以上 | 20%以上 | 15%以上 |
| くるみん | 30%以上 | 10%以上 | 50%以上 | 20%以上 |
| プラチナくるみん | 50%以上 | 30%以上 | 70%以上 | 50%以上 |
(男性はどちらかの基準を満たせばよい。出典:厚生労働省・都道府県労働局 くるみん認定の手引き。2025年4月1日からの基準)
このほか、女性の育休等取得率 75%以上は据え置きで、新たに有期雇用の女性の育休等取得率 75%以上が加わりました。労働時間の基準も、くるみん・プラチナくるみんでは「フルタイムの労働者全員の時間外・休日労働の平均が月 30 時間未満、または 25〜39 歳のフルタイムの労働者で月 45 時間未満」に改められています(旧基準はフルタイムの労働者全員で月 45 時間未満)。
つまり、同じ「くるみん」でも、いつ認定を受けたかで基準が違います。認定の年度が分かれば、新しい基準で受けたものかどうかを確かめられます。
また、101 人以上の会社は、2025 年 4 月以降に立てる行動計画に、育休の取得状況と労働時間についての数値目標を入れることになりました。行動計画は公表されるので、数値目標の中身からも会社の取組の度合いが見えます。
3. 戻ったあとに働き続けられるかを読む
育休を取れても、戻ったあとに続けられなければ両立とはいえません。ここは 1 つの数字では分からないので、次の数字を組み合わせて見ます。
- 残業時間:時短勤務を終えたあとの働き方に直結します。月平均の法定時間外・休日労働の時間を確かめます
- 年次有給休暇の取得率:子の急な発熱などで休む場面は必ずあります。休みやすさの目安になります
- 女性の平均継続勤務年数と男女差:女性が長く働き続けている会社かどうかが表れます
- 女性の育休取得率:女性でも 100% に届かない会社はあります。全国平均の 88.3% と比べてみてください
どの数字も、会社によって公表しているものと、していないものがあります。公表していない項目は、面接の場で「育休から戻った方は、どのくらいいますか」「時短勤務を使っている方はいますか」と聞くときの材料にできます。
まとめ
子育てとの両立を確かめるときは、制度の有無ではなく、公表されている数字を 3 つの段で見ます。
- 男女別の育休取得率:算定方法が ① か ② か、分母の人数、全国平均(男性 50.9%・女性 88.3%)と比べる
- くるみん認定の段階:トライ・くるみん・プラチナの違いと、2025 年 4 月の新基準で受けたか
- 戻ったあとの働き方:残業時間・有給休暇の取得率・女性の平均継続勤務年数
数字は会社が公表した時点のものです。見るときは、いつ時点の値かもあわせて確かめてください。
出典
- 厚生労働省「令和 7 年度雇用均等基本調査」(2026 年 7 月 31 日公表)
- 厚生労働省・都道府県労働局「2025年4月から、男性労働者の育児休業取得率等の公表が従業員が300人超1,000人以下の企業にも義務化されます」(リーフレット)
- 厚生労働省・都道府県労働局 次世代育成支援対策推進法にもとづく行動計画とくるみん認定の手引き(2025年4月1日からの基準)


