障害のある方が会社を選ぶとき、「障害者雇用に力を入れています」という言葉だけでは、実際にどのくらい雇っているのか、長く働けるのかは分かりません。

一方で、障害者雇用には、法定雇用率、もにす認定、特例子会社といった国の制度があり、そこから公開されている情報で、取り組んでいる会社をある程度絞り込めます。この記事では、全国の数字の読み方、制度ごとの探し方、そして応募のときに使える合理的配慮の仕組みを整理します。

まず全国の状況を知る

法定雇用率は 2026 年 7 月から 2.7%

障害者雇用促進法は、会社に、常時雇用する労働者の一定の割合(法定雇用率)以上の障害者を雇うことを義務づけています。民間企業の法定雇用率は、2026 年 7 月 1 日から 2.7%になりました(それまでは 2.5%)。

これにより、常時雇用する労働者が 37.5 人以上の会社には、障害者を 1 人以上雇う義務があります。

令和 7 年の数字

厚生労働省「令和 7 年 障害者雇用状況の集計結果」(2025 年 12 月 19 日公表、2025 年 6 月 1 日現在)では、民間企業の状況は次のとおりでした。当時の法定雇用率は 2.5%です。

項目数字
雇われている障害者の数70 万 4,610.0 人(22 年連続で過去最高)
実雇用率2.41%
法定雇用率を満たした企業の割合46.0%
法定雇用率を満たしていない企業6 万 5,033 社
そのうち障害者を 1 人も雇っていない企業3 万 7,262 社

雇われている人のうち、身体障害のある方は 37 万 3,914.5 人、知的障害のある方は 16 万 2,153.5 人、精神障害のある方は 16 万 8,542.0 人で、精神障害のある方の伸び(前年比 11.8%増)が特に大きくなっています。

規模と業種で違う

法定雇用率を満たした企業の割合は、会社の規模で次のように違いました。

企業の規模実雇用率法定雇用率を満たした企業の割合
40〜100 人未満1.94%44.7%
100〜300 人未満2.18%48.6%
300〜500 人未満2.27%40.3%
500〜1,000 人未満2.41%44.5%
1,000 人以上2.69%57.5%

業種別の実雇用率では、「医療、福祉」が 3.02%と最も高く、「電気・ガス・熱供給・水道業」「生活関連サービス業,娯楽業」「複合サービス事業」(いずれも 2.54%)も法定雇用率を上回っていました。

法定雇用率を満たしている会社は半分に届かない、というのが全体の姿です。満たしていることは、それだけで 1 つの目安になります。

探し方 1:もにす認定の会社

「もにす」は、障害者雇用の取組が優良な中小事業主(常時雇用する労働者が 300 人以下)を厚生労働大臣が認定する制度の愛称です。2020 年 4 月に始まり、2026 年 6 月 30 日時点で 623 事業主が認定されています。

認定の基準

主な基準は次のとおりです。

  • 障害者雇用への取組(アウトプット)、取組の成果(アウトカム)、それらの情報開示(ディスクロージャー)の 3 つの項目で点数を付け、項目ごとの最低点に達したうえで、合計 50 点中 20 点以上(特例子会社は 35 点以上)を取っている
  • 雇用率制度の対象になる障害者を、法定雇用障害者数以上雇っている
  • 就労継続支援 A 型の利用者を除いて、対象の障害者を 1 人以上雇っている
  • 重大な労働関係法令の違反がない

点数には、どんな仕事を任せているか、職場の環境をどう整えているか、定着しているかといった中身が含まれます。

どこで確かめるか

厚生労働省のホームページに認定事業主の一覧が載っていて、事業主名から詳しい取組の内容を見られます。認定を受けた会社は、ハローワークの求人票や、自社の採用ページに認定マークを付けられます。

中小企業が対象なので、大企業にはこの認定はありません。

探し方 2:特例子会社

特例子会社は、障害のある方の雇用に特別の配慮をした子会社です。認定を受けると、そこで雇う障害者を親会社の雇用率に算入できます。令和 7 年 6 月 1 日現在で 631 社が認定を受けていて、5 万 3,710.5 人の障害者が雇われています。

厚生労働省は特例子会社の一覧を公表しています。特例子会社は、障害のある方が働くことを前提に、仕事の切り出しや職場の設備、指導の体制を整えていることが多いので、大企業のグループで働きたい場合の探し先になります。

探し方 3:会社の公開情報と求人

会社が出している数字

障害者の雇用率を自社のホームページやサステナビリティの報告で公表している会社もあります。見るときは、次の点を確かめます。

  • いつ時点の数字か(毎年 6 月 1 日現在で国に報告しています)
  • 法定雇用率(いまは 2.7%)を満たしているか
  • グループ全体の数字か、その会社だけの数字か(特例子会社を含めて計算していることがあります)

障害者向けの求人

ハローワークには、障害のある方を対象にした求人(障害者専用の求人)があります。求人票では、仕事の内容のほかに、職場で配慮できることや、設備の状況が書かれていることがあります。

応募するときに使える仕組み:合理的配慮

障害者雇用促進法は、募集や採用で、障害を理由に障害のない人と違う扱いをすることを禁じています(第 34 条)。そのうえで、募集・採用の段階で障害のある方から申出があれば、支障になっている事情を改善するための措置(合理的配慮)を講じることを事業主に求めています(第 36 条の 2)。事業主にとって過重な負担になる場合は除かれます。

たとえば、面接を筆談にしてほしい、試験の時間を延ばしてほしい、面接の場所を段差のない部屋にしてほしい、といった申出がこれにあたります。

応募の段階で会社の対応を見ることも、会社選びの材料になります。

  • 配慮の申出を伝えたとき、担当者が具体的に相談に乗ってくれたか
  • 入社後の配慮について、誰に相談すればよいかを説明してくれたか
  • 同じ職場で働いている障害のある方がいるか、長く働いているか

採用されたあとも、事業主は、障害のある方が能力を発揮するうえで支障になっている事情を改善する措置を講じる必要があります(第 36 条の 3)。

確かめる順番

障害者雇用に取り組んでいる会社を探すときは、次の順で確かめると効率的です。

  1. 中小企業なら、もにす認定の一覧に載っているかを見る
  2. 大企業のグループなら、特例子会社の一覧を見る
  3. 会社のホームページで、障害者雇用率とその時点を確かめる
  4. ハローワークの障害者向けの求人で、仕事の内容と配慮の内容を見る
  5. 応募のときに、合理的配慮の申出をして、会社の対応を確かめる

数字や認定は入り口です。最後は、自分の障害の特性に合った仕事と配慮があるかを、応募や見学の場で確かめてください。就職の相談は、ハローワークの障害者の専門の窓口や、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターでも受けられます。

まとめ

  • 民間企業の法定雇用率は 2026 年 7 月から 2.7%。37.5 人以上の会社に 1 人以上の雇用義務がある
  • 令和 7 年は、法定雇用率を満たした企業が 46.0%。満たしていること自体が 1 つの目安になる
  • 中小企業は「もにす認定」(623 事業主)、大企業のグループは「特例子会社」(631 社)の一覧から探せる
  • 会社が出す雇用率は、時点と、グループ全体の数字かどうかを確かめる
  • 応募の段階から合理的配慮を申し出ることができる。その対応も会社選びの材料になる

参考資料