作業の途中で「あれ、どうなってる?」と聞かれる。答えて、また手を動かす。30分後にまた聞かれる。1日の終わりに、何も進んでいない。

細かく確認されること自体より、中断のたびに集中が切れることが消耗の原因です。そして、この状況は上司の性格の問題として捉えると打つ手がなくなります。見え方の問題として捉え直すと、こちらから動かせる部分が出てきます。

確認が増えるのは、見えていないから

上司の立場からすると、担当者の作業は基本的に見えません。見えないものについて責任を持つのは不安なので、確認します。確認しか手段が無いからです。

つまり、細かい確認は、情報が不足しているという合図です。不足を埋めれば、確認する理由は減ります。

見えていない側が埋める方法は3つあります。

方法効き方手間
聞かれてから答える聞かれるたびに中断する毎回
定例の場でまとめて話す次の定例まで空白になる週1回
決まった時刻に短く出す聞く理由が消える1日数分

3つ目に寄せるのが、いちばん失う時間が少なくなります。中断は作業そのものより、元の状態に戻るまでの時間を奪います。1行書く時間のほうが、戻る時間より短く済みます。

1日1行で足りる

構えた報告は要りません。1日の終わりに、3行だけ書きます。

本日:◯◯の3件を完了。残り2件。 明日:残り2件を午前に片付け、午後は△△に着手。 詰まり:△△の仕様が未確定。明日中に決まらなければ相談します。

これをチャットの決まった場所に置くだけです。中身の詳しさより、決まった時刻に必ず出ることのほうが効きます。 出る前提になれば、上司は途中で聞く必要がなくなります。

3行目の「詰まり」を必ず書くのが要点です。ここが無いと、「順調です」だけの報告になり、止まっていることが伝わりません。止まっていないなら「なし」と書けば十分です。

書くときの言葉は、判断できる形にしてください。「だいたい終わりました」ではなく「5件中3件完了」。言い換えの一覧は報告の曖昧な表現をやめるにあります。

中断されにくい時間の作り方

報告を出しても、すぐには変わりません。並行して、こちらの時間の守り方も決めておきます。

  • 返信する時刻を決める。 チャットを常に見ている状態をやめ、午前と午後に区切って返します。急ぎのものは電話が来るので、取りこぼしません。
  • 返信の見込みを先に伝える。 「14時までは◯◯に集中します。それ以降に返信します」と書いておくと、待つ側も判断できます。
  • まとめて聞いてもらう形にする。 「確認事項があれば、16時にまとめて伺います」と提案すると、都度の往復が減ります。

どれも、応じないという話ではありません。 応じる時刻を決めるだけです。決まっていれば、相手も待てます。

会議や口頭確認を減らす提案の仕方

「報告が細かすぎます」と言うと、対立になります。言い方を変えるだけで、同じことが通りやすくなります。

言いたいこと言い方
頻繁に聞かれるのをやめてほしい「毎日17時に進捗をチャットに出します。それで足りない部分があれば教えてください」
確認の会議を減らしたい「事前に資料を出しておくので、会議は判断が要る点だけにしませんか」
途中で中断されたくない「午前中は集中して進めたいので、確認は午後にまとめさせてください」

右の列は、いずれも代わりの手段を先に出しています。 減らしたいものだけを言うと、上司の側は不安が残るので通りません。代わりがあれば検討の対象になります。

時間外の連絡について

業務時間外にも連絡が来る場合は、個人の工夫の範囲を超えています。

厚生労働省は、テレワークにおける長時間労働の対策として、役職者、上司、同僚、部下等から時間外等にメールを送付することの自粛を命ずることが有効だとしています。また、所定外深夜・休日は事前に許可を得ない限りシステムにアクセスできないよう使用者が設定することも有効な方法として挙げています。

つまり、時間外の連絡は職場の仕組みとして扱うべきものとされています。個人で断りにくいと感じるのは自然で、断り方を工夫する話ではなく、職場の運用として相談する筋の話です。

在宅勤務をしていると評価で不利になるのではないか、という不安も同じ枠で整理できます。厚生労働省は、人事評価について「企業が労働者に対してどのような働きを求め、どう処遇に反映するかといった観点から、適切に実施することが基本であり、テレワークを行っているか、出社しているかによって変わるものではありません」としたうえで、テレワークを行う者が、そのことを理由として他の労働者と比較して不利な評価を受けることは不適切な人事評価だとしています。

出社している人と同じ基準で見られるはずのものなので、見えるように出しておくことの意味はここにもあります。

記録に残す形を選ぶ

口頭で報告していると、後から「言った・言わない」になります。細かく確認される状況では、ここが特に問題になります。

書く場所は、上司が見る場所に合わせてください。自分が使いやすい道具でも、相手が見なければ意味がありません。

  • チャットに担当ごとのスレッドがあるなら、そこ
  • 共有の管理表があるなら、その更新
  • どちらも無いなら、日報のメール

新しい道具の導入から始めないでください。 導入の相談だけで時間が過ぎます。いまある場所に、決まった時刻に書くところから始めます。

書き方の順番は、現在地を先に、経過を後ろに。この並べ方は仕事できない人の話し方の特徴でも扱っています。

トラブルのときだけは、先に声を出す

ここまでは平常時の話です。トラブルが起きたときは、定時の報告を待たずに出してください。

待つと、上司が判断に入る時期が遅れます。 細かく確認されている状況では、この遅れが「やはり見ていないと駄目だ」という結論に直結します。逆に、悪い知らせを自分から早く出す人は、確認の対象から外れていきます。

第一報の型はトラブルを上司に報告する型に整理しました。

変わらないときの見極め

やることをやっても変わらない場合があります。3か月ほど続けて変化が無ければ、こちらの報告の問題ではありません。

次の3つを確かめてください。

  1. 自分だけか、周りも同じか。 部署全体なら、個人の対処では動きません
  2. 業務に必要な範囲か。 指示や指導そのものは業務の一部です。範囲を超えた言動が続く場合は別の問題です
  3. 体調に出ていないか。 眠れない、朝に動けない状態が続くなら、対処より先に相談が要ります

2に該当しそうなときは、各都道府県の労働局や労働基準監督署に設けられている総合労働相談コーナーなど、職場の外の窓口があります。3に該当するときは、産業医や地域の相談窓口を先に使ってください。いずれも、状況を整理してから動くほうが、選べる手段が多くなります。

つまずきやすいところ

  • 報告を増やしすぎる。 3行で足ります。長いものは読まれず、書く側も続きません。
  • 順調なときだけ出す。 詰まっている日こそ出してください。出ない日があると、その日を確認しに来られます。
  • 相手の性格の話にする。 直せない前提になるので、打つ手が無くなります。見えていないことの問題として扱うと、動かせる部分が残ります。
  • 1回の提案で変わると期待する。 習慣が変わるには数週間かかります。こちらの報告が定着してからでないと、確認の回数は減りません。
  • 時間外の連絡を、自分の断り方の問題として抱える。 職場の仕組みとして扱われるべきものです。一人で工夫する範囲を超えています。